緑をめぐる対話(東部研究所地区)

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東部研究所地区内にある情報技術総合研究所(情報総研)が地元・鎌倉市の行政や生きものの専門家と行った対話の内容をご紹介します。

活動の「今後」について外部から意見を採り入れ

当社の情報技術総合研究所(情報総研)では、生きもの調査の結果を踏まえて、地域の行政や生きものの専門家と対話を行っています。いただいたアドバイスを参考に、今後の生物多様性保全に関する取組内容を検討し、活動のレベルアップを図る考えです。

これまでの対話内容

2015年

対話のテーマ
(1)2014年9月25日
「鎌倉市の環境保全活動」
(2)2015年2月9日
「情報総研が今後、鎌倉市と連携して実施できること」

実施日:2014年9月25日、2015年2月9日

対象
鎌倉市 まちづくり景観部みどり課

対話のテーマ

  • (1)2014年9月25日
    「鎌倉市の環境保全活動」
  • (2)2015年2月9日
    「情報総研が今後、鎌倉市と連携して実施できること」

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鎌倉市 まちづくり景観部
みどり課 課長補佐 兼
みどり担当係長事務取扱
永井 淳一 様

鎌倉市 まちづくり景観部
みどり課 課長補佐 兼
みどり担当係長事務取扱

永井 淳一 様


主なご意見

鎌倉市と企業との連携について

かつて鶴岡八幡宮の裏山に開発の手がのびようとしたとき、「周囲の山野も八幡宮の一部であり、後世に残すべきものである」と考えた鎌倉の人々は、反対運動を起こして山を守りました。これが日本初のナショナルトラスト運動、俗に言う「御谷(おやつ)騒動」です。鎌倉市はこのスピリットを受け継いで、古都の一部として緑を後世に残す活動を続けてきたのです。一方で、行政にできることには限界があります。そこを民間の方に手伝っていただけるならとてもありがたい。

情報総研の活動について

まず、生物多様性にも配慮して緑を増やすというところまで考えていらっしゃるのは、とてもいいと思います。そのうえでお願いしたいのは、「事業所の中」だけではなくて、「事業所の外」で行われている活動にも参加していただきたいということです。大企業としての「人の多さ」や「ネームバリュー」が活動を盛り上げる力になるはずですから。

市の活動のほか、地元の公益財団法人なども環境保全に取り組んでいますから、そうした活動に積極的に協力いただくといいと思います。情報総研さんとしても、社員の方の環境意識を育てる役に立つ活動です。

今後の連携について

事業所内での活動については、鎌倉市が把握している地元の生き物のデータをもとに、「植樹予定の樹種に問題はないか」といった観点からアドバイスできると思います。市の活動に協力をいただいている外部の専門家の方とも話し合っていただければ、より足並みをそろえて活動できるかもしれません。

事業所外での活動については、鎌倉市や地元の公益財団法人が活動を実施するとき、その内容をお知らせできると思います。

ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・鎌倉市の活動アドバイザーの方との対話
  • ・鎌倉市の環境活動への参加
  • ・鎌倉市が実施している環境活動のPRへの協力

対話のテーマ
「生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか」

実施日:2015年2月5日

対象
有識者3名:神奈川県立 生命の星・地球博物館 学芸員

対話のテーマ

「生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか」

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神奈川県立生命の星・地球博物館
学芸部長
勝山 輝男 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
学芸部長

勝山 輝男 様

神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員
苅部 治紀 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員

苅部 治紀 様

神奈川県立生命の星・地球博物館
動物担当学芸員
加藤 ゆき 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
動物担当学芸員

加藤 ゆき 様


主なご意見

2014年度の生きもの調査結果について

今回の調査でも多くの生きものが見られていますが、事業所内の自然はまだいろいろな可能性をもっています。例えば、水溜りでトンボの産卵行動が見られたり、チョウゲンボウが飛んできたりしている。そのような生き物は、潜在的に情報総研に定着する可能性があるといえます。

今後の情報総研の活動について

(1)テーマ設定と体制づくり

大切なのは「継続できる活動」にすることです。企業や学校では、せっかくビオトープなどをつくっても、管理者が異動などでいなくなり、維持できなくなるケースも珍しくありません。管理の方法を最初にしっかり決めておく、リーダーになれる人材を複数育てる、あまり手がかかる取り組みは避けるなどの配慮が必要です。

また、思ったような結果にならなかった場合も、その状況でできることを検討するほか、一度やめてみて他の方法を考えるなど、「順応的」に対応できる体制をつくってほしい。そのためにもまず明確なテーマを設定することが大切です。

一つ考えられるのは、上にあげた鳥やトンボのような、潜在的な利用者を呼び込むということです。さらに「研究所の敷地内」という場所を考えると、「人が手入れをしてきた自然を復元する」ことがテーマになるかもしれません。

日本の自然環境には、洪水や山火事などによる定期的な「リセット」で成り立っていたという一面もあります。天災への防備がととのった後も、草刈りや間引きなどで人が外圧をかけることで、里山や雑木林、草の茂った空き地などの環境が残されてきました。今、こうした場所は全国でも貴重になり、そこで暮らしていた生きもの、例えばトノサマバッタやヒバリなどの生息地が大きく減っている。企業が管理する敷地内なら、外来種などが侵入してもリセットできるなど比較的管理が容易ですから、これらの環境を再現しやすいといえます。


(2)具体的な活動

手間がかかりにくい活動の例として、トンボ池の設置、鳥やコウモリのための巣箱の設置が考えられます。トンボ池も大きなものをひとつつくるのではなく、既製品のプラスチックケースを埋めただけの小さな池をいくつか組み合わせるだけでも効果があります。

また、草地があれば、定期的に芝刈りをして、エノコログサ(猫じゃらし)が残るぐらい、ススキが生えるぐらい…など一定の高さに保ってやるのも手。場所によって長さを変え、異なるタイプの植物を残せば、それぞれの環境に適応した虫などが来るでしょう。虫を食べる鳥、草地に営巣する鳥を呼び込むこともできるかもしれません。

博物館敷地内に設けられたトンボ池。
カエルも産卵に訪れる。
博物館敷地内に設けられたトンボ池。
カエルも産卵に訪れる。

なお、草地の管理には除草剤を使わないようにしてほしい。たとえそれ自体に毒性がないものでも、化学品なので、思わぬ影響が考えられますから。

トンボ池や巣箱の設置を手伝っていただくなど、社員の方や近隣住民の皆さんが取り組みに参加できる機会をつくることも大事です。自分のやったことですからその後の経過にも興味を持ちやすい。そこから日常的な生きものとの出会いを楽しめるようになってくれれば活動も長続きすると思います。観察しやすいよう双眼鏡などを貸し出してもいいですね。

今後の連携について

例えばトンボ池に水草を投入するだけでも、外来種の種や卵が一緒に入ってしまうことがあります。事前の配慮も必要ですので、計画がある程度定まった段階で相談してほしい。生態系が乱れた後からでは、対処も難しくなります。

事業所構内の広さや地形がわかる写真などを実際に見せていただければ、より具体的なアドバイスをすることも可能だと思います。

三菱電機グループ全体で配慮してほしいこと

世代交代によって、企業の中に、生きものに身近に接してきた世代が減りつつあります。それは言い換えれば、生きものを守るモチベーションの根源――生きものへの「懐かしさ」や「罪悪感」を持った人が少なくなっているということ。従業員の環境への意識づけに、これまで以上に注力して取組む必要があるでしょう。専用のプログラムを組んで、虫などに触る経験をさせてもいいかもしれません。

近年目立つのが、遊休地に豊かな生態系が生まれた後で、土地の用途が見出され、開発されてしまうケースです。三菱電機さんにはぜひ、メーカーとしての本業においても、こうした事態がないよう気を配ってほしい。例えば、環境のためを思ってソーラーパネルを導入したのに、設置にあたって希少な生きものの生息地をなくしてしまっては本末転倒です。事前に調査を行うなどの配慮があってこそ、環境にやさしいサービスと言えるのではないでしょうか。


ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・事業所構内のようすなどを有識者の方に実際に見ていただき、アドバイスをいただく
  • ・取組内容を検討。環境活動の担当者以外の従業員、また地域の方が参加できるようなものに
  • ・担当者が代わっても活動を継続するためのマニュアル作り

対話のテーマ
「生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか」

実施日:2015年2月5日

対象
有識者1名:東海大学教授

対話のテーマ

「生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか」

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東海大学 教養学部長
大学院 人間環境学研究科長
藤野 裕弘 様

東海大学 教養学部長
大学院 人間環境学研究科長

藤野 裕弘 様


主なご意見

2014年度の生きもの調査結果について

構内には水場がないということですが、水辺で見られるような生きものも観察されています。周辺に池のある公園や川などがあるようですが、主にどこから来ているのかを確認したいところです。営巣できる場所はなさそうなので、エサ場として利用しているのかもしれません。

今回の調査結果は簡易なものですので、反映されていない生きものもいると思います。例えば、調査時間が日中で、かつ目視に限られていますから、夜行性の生きものは見つからなかったと思われます。実際はネズミやもっと大きい哺乳類などもいるのではないでしょうか。

今後の情報総研の活動について

現状あまり除草剤は使っていないということですが、生きものへの配慮という点からも、今後も不使用を心掛けてほしい。草だけでなく虫に影響を与える可能性がありますから。

企業の活動という面から考えれば、「地域との連携」はひとつのキーワードになると思います。日本の企業は、「企業主体でCSRイベントを企画して、地域の方をお招きする」という形式が多いのですが、海外ではもう一歩踏み込んで、「来てくれた地域の方とも一緒にCSRの取組みを企画する」という形式もあるそうです。すぐには無理でしょうが、そのような取り組みを加えていけるといいですね。その際、緑化計画をきちんと立ててあれば活用できるかもしれません。

生きものを増やすという観点では、やはり水場は必須になるでしょう。飛べる虫や鳥、種を飛ばせる草はある程度自然に飛んできてくれますが、魚、そして飛べない水棲昆虫はむずかしいですね。水場をつくり、そうした生きものを移入することで、生態系を豊かにできるかもしれません。もちろん、外来種や遠方の生きものは地元の生態系を乱してしまいますから、近隣の池や川から生きものを採集する必要があります。

調査手法の面から見ると、生きものの研究を専門にしているような大学の研究室に協力をお願いしてもいいと思います。一例として東海大学の湘南校舎にも、主に川辺の生きものが対象ですが、フィールドワークを専門にしている研究室があります。

例えば植物など、特定の生き物の専門家が調査データを検証すれば、これまでとは違う視点でのアドバイスがいただけるかもしれません。多角的に検証することも検討してみてください。

ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・東海大学、他大学と調査で連携
  • ・複数の有識者に調査データの検証とアドバイスを依頼

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