緑をめぐる対話(静岡製作所)

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生きもの調査の結果に基づく構内緑地の方向性

2016年7月6日、静岡製作所、緑地整備を担う三菱電機ライフサービスの担当者が参加して、今後の緑地整備のあり方を検討する意見交換会を開催しました。意見交換会には、生きもの調査や緑地活用策の検討業務を委託した(株)環境アセスメントセンターの担当者にもご出席いただき、“よりみち緑地”についても活発な質疑応答が行われました。


“よりみち緑地”に関する主な質疑応答
株式会社環境アセスメントセンター
調査計画部 植物調査課 植物調査課長
桒原 淳 様

株式会社環境アセスメントセンター
調査計画部 植物調査課 植物調査課長

桒原 淳 様

技術士(環境部門・自然環境保全)、生物分類技能検定2級(植物)、植栽基盤診断士、自然再生士

株式会社環境アセスメントセンター
企画部 企画部長
馬場 美也子 様

株式会社環境アセスメントセンター
企画部 企画部長

馬場 美也子 様

技術士(環境部門・環境保全計画)、環境カウンセラー(市民部門)、1級ビオトープ計画管理士、環境再生医(上級自然環境部門)

  • Q:静岡製作所、三菱電機ライフサービス担当者による質問
  • A:(株)環境アセスメントセンター担当者からの回答
  • Q“よりみち緑地”のコンセプトを改めて確認したい。
  • A静岡製作所周辺に分布する緑地や製作所内の緑地が抱える課題と、それらを踏まえた静岡製作所に求められる緑地イメージから、製作所内の限られた緑地を有効に活用し、生物多様性保全に配慮した緑地とすることを前提としました。つまり、鳥類や昆虫類(チョウ類)が、餌を食べたり、休息したりするために一時的に立ち寄れるような、“よりみち”できる緑地とすることが目標になります。あくまで、立ち寄ることが目的であり、緑地に生物が定住することを目的とはしていません。また、植栽する植物は地域性を考慮しますが、「木々が生える山を再現する」といったような、自然の完全再現を目的とした緑地でもありません。
  • Q樹木を選定する際のポイントは?
  • A静岡製作所内の緑地の状況から、鳥類が餌とする実のなる樹木や、昆虫類(チョウ類)の食草・吸蜜対象となる植物が少ないことが分かっています。そのため、鳥類やチョウ類が好む植物を地域性を踏まえて選定しています。今回整備した“よりみち緑地”の緑地方針「静岡市平野部の二次草地」(人が維持する草地)は、チョウ類以外の昆虫類も利用することが可能な環境です。結果的に、生きもの同士のつながりから、それらを餌とする鳥類や昆虫類が立ち寄ることにも期待していますので、最初から多くの種類の植物を選定していません。
  • Q草の種類を増やしたり、刈り取りの高さも高・中・低など階層分けしたりした方がいいのでは?
  • A“よりみち緑地”には、低木、高茎草本、低茎草本、地被草本と高さの違う植物を植栽した場所と、あえて植栽していない場所をつくりました。整備した時点で、すでに空間的な多様性(高低差、疎密)が生まれていますので、さらなる階層分けは必要ないと考えています。今後、新たな植物が侵入・定着することで、“よりみち緑地”は様々な植物によって、より複雑な状態になると予想しています。

  • Q植物はどのくらいで成長する?
  • A植物の生育状態は植栽基盤の土壌状態や栄養状態に大きく左右されるため、植栽した植物ごとに、1年目や2年目の成長程度を予測することは困難です。将来を予測するには、まず植栽した植物のモニタリング調査を行い、成長のスピード、開花・結実・葉色、活力などをもとにして生育状態の健全性を評価することが必要です。
  • Q生きものを「呼び寄せる」効果はどのくらいであらわれる?
  • A植栽1年目の植物は、植栽による影響を受けるため、それほどの成長は見込めません。ただし、1年目であっても開花していればチョウ類や他の昆虫類が吸蜜に、低木は止まり木として、また結実していれば、その実を餌として鳥類が利用するなど、生物を呼び寄せる効果はあります。
  • Q“よりみち緑地”を育てる上で注意すべき点は?
  • A鉢植えに植えた植物とは異なり、地植えの植物は、移動しながら植物自身が適した場所を探し、定着します。従って、数年すると、植栽した場所とは違う場所で生育している、ということが良く起こります。今回整備した敷地の中で十分に生育していくためには、ある程度人間の力(維持管理)も必要になります。施肥を行うことも問題ありません。植栽後の維持管理は、一般的な造園管理と同じものとなります。ただし、扱っている植物が一般的な造園植物とは異なることから、植栽後のモニタリング調査を続けていき、管理のポイントとなる事項を「管理の手引き」として整理し、維持管理を行う方々に周知することも必要と考えます。
    また、今回植栽したものとは異なる植物が“よりみち緑地”の主要な構成種になることがあり得ます。植栽した植物が枯死したとしても、他の植物がその生態的地位を受け継いでいくことができていれば、“よりみち緑地”として次の段階に進めたと評価できます。つまり、今回植栽した時点が“よりみち緑地”としてのスタートで、植栽した植物やこの緑地を利用する生物によって最も適した状態に、「これから変化していく」ことを想定したものであることを理解して、“よりみち緑地”を育てていくことが重要だと考えています。
  • Q雑草は抜いた方がいい?
  • A生えても良い草もあると考えています。他の植物が新たに侵入・定着する余地を十分残した配植のため、今後もいろいろな植物が侵入・定着すると思います。ただ、整備後に侵入した植物であっても、それが外来植物の場合は、目標とした「静岡市平野部の二次草地」の特性を失うことになるため、多様性の向上に寄与しているとは言えません。また、在来植物でも、他の植物を被圧し、緑地の変化を妨げるぐらい生育が旺盛な植物の場合は、外来植物と同じことが言えますので、そのような植物は抜いた方が良いと思います。活かすべき植物と抜くべき植物を明らかにしてくためには、緑地の変化をモニタリングにより把握していくことが必要だと考えています。

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