「宇宙でラーメンを食べる。」日本人ならではのそんな願いがかなおうとしている。2001年夏から宇宙食ラーメン「Space Ram」を開発してきた日清食品が、NASDAで行われた報告会でその内容を初めて明らかにした!
まず、注目の「麺」。問題になったのは、無重力の宇宙空間では麺が縦横無尽に広がり食べられないこと。その解決策として3つの方法が検討された。 (1)麺を短くする。 (2)麺を長ーい1本にする。 (3)一口サイズにする。結局採用されたのは(3)の一口サイズ。麺は丸い固まりになっているが、口の中に入れて噛むとバラバラに広がる。名づけて「Sphere(スフィア)麺」。Sphereは球。宇宙で食べる「地球型ラーメン」ってわけか・・。
そして、「スープ」。塩分を含むスープは飛び散ってしまうと宇宙船内の機器に悪影響を及ぼしかねない。そこで飛び散らないようにとろみをつけることにした。しかしあまりとろみがありすぎると、ラーメンスープらしくない。でんぷんや増粘剤を検討し、とろみはあるものの、口の中でさらっとした食感となるスープを開発。スープの中に麺があるというよりは、麺にスープがからみついている感じになる。味のほうは、宇宙では刺激のある味を好む傾向があることから、「濃い目」。当初はしょうゆ味だけだったが、野口宇宙飛行士のリクエストでカレー味やみそ味などフレーバーバリエーションが加わることに。
具のオススメはエビ。シャトルの調理設備「ギャレー」ではお湯が最高で70度までしか出ない。70度では通常のラーメンはもどらず、特別にもどるような麺の開発に苦労したが、具のエビにとって70度は最適な温度だとわかった。「プリプリしておいしいんですわ」。と開発にあたった日清食品「Dream Ten」(10人の開発者達)の一人、中川晋さん。
この宇宙食ラーメンは、NASAの宇宙食専用容器にパッケージされる。200mlの容器に70度のお湯を注いで待つこと数分。パッケージをはさみで開けると中にはSphere麺数個が浮かぶ。「ラーメンをズルズルすすって、スープをゴクゴク飲むというイメージとはちょっと違いますね」と中川さんに言うと、「NASAの調理形態や安全性の基準が厳しかった。それにスープがもっとさらさらでいいかどうか、宇宙で実際に食べてみてもらわな、わからんからねぇ」。宇宙で「仮説を検証」してその後マジに宇宙食ラーメンを開発するつもりらしい。
このラーメン、2003年3月に打ち上げ予定だったスペースシャトルで宇宙に行き、飛行5日目と12日目に野口さんたちが食べることになっていた。大のラーメン好きの野口さんは「食べながら遊ぶ」と意欲満々。それにしても、いっぺん試食させてほしいなぁ。
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