コラム
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2003年 9月分 vol. 2
宇宙旅行カップルシート47億円
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


2001年4月、世界で初めて宇宙に飛び立ったチトー氏(左端)。(提供:Space Adventure)  2005年、宇宙旅行は画期的な展開を見せるに違いない。一つは、国際宇宙ステーションへの宇宙旅行がペアで可能に。もう一つは、高度約100kmの宇宙に上昇しておりてくる弾道飛行が運行開始の見込み大。

 アメリカ・バージニア州に本社があるスペースアドベンチャー(SA)社は2001年にデニス・チトー氏、2002年にマーク・シャトルワース氏の宇宙旅行を手がけた民間会社。プログラム開発部長のチャック・サモンズ氏ほか幹部が来日。詳しい内容を聞いてきました。

 チトー氏やシャトルワース氏の宇宙旅行は、ロシアからソユーズロケットで打ち上げられていたが、3人乗りのソユーズロケットのうち、旅行客に割り当てられたのは1席のみ。それが2席に拡大された。つまり、ペアで行く宇宙旅行が可能になる。「ペアで行くと割引があるのでは?」と淡い期待が浮かんだが、一人当たり2千万ドルという料金は変わらない。ふたりだと、約47億円が必要! ハネムーンにしてはゴージャス過ぎる・・・。

 もちろん、これまでのように1人分のシートを買うことも可能。ロシアの星の町で約4ヶ月間の訓練を受ければ、2004年末から2005年始めに打ち上げ可能。2004年と言えば、スペースシャトルの飛行再開が予定されているが、宇宙旅行はソユーズロケットで打ち上げられるため、「シャトル飛行再開に関わらず打ち上げられます」とサモンズ氏。


新型ロケットプレーン「スペースシップ・ワン」。乗客が乗り込むのは下のほうの宇宙船。高度100・への弾道飛行を2005年に実現見込み。
 そしてもう一つが弾道飛行。2003年4月、新型ロケットプレーン「スペースシップ・ワン」の開発が成功し現在は実験試作段階(写真)。パイロット1人、乗客2人が搭乗し空輸用ジェット機にぶら下げられてリフトオフ。途中切り離されて大気圏を越え高度100kmまで上昇。眼下の地球を眺めながら約5分間の無重力を体験し、おりてくる約1時間の飛行。料金は9万8千ドル(約1150万円)。政府の認可を得られれば、商業宇宙飛行が実現することになる。約100名(日本人含む)がウェイティングリストに名をつらねている。

 やっぱり高い。DSPACEに多数寄せられている質問「いつになったら、一般人に手の届く料金で宇宙へ行けますか」と聞いてみた。サモンズ氏の答えは「鍵はロケット。画期的な新しい輸送機ができないと宇宙旅行の料金は下がらない。スペースシップ・ワンがその第一歩です。これがうまく行けば、地球を周回するロケットに発展する可能性がある。何年後? うーん、50年後ぐらいでしょう。」まずは第一歩に期待しましょう。

スペースアドベンチャー
http://www.ntt-ts.co.jp/sa/