コラム
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2004年 2月分 vol. 4
近づく大型彗星。ねらい目は南半球。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


2004年2月、尾を伸ばし始めたリニア彗星(C/2002T7)。次に日本で見られるのは4月
下旬だ。明るくなってよ~。撮影者 大槻○○さん。撮影日 2004年2月18日 18時48分、撮影地 宮城県。  もうすぐ3月。春風にのって旅行にでも行きたい気分ですね。我が家ではGWごろに思い切って海外旅行をするか検討中。だって南半球で「二つの大型彗星」が同時に見られるという、稀有なチャンスがあるから。でもサッカーにしか興味のないムスコは「本当にスゴイの?」と疑わしい目で私を見る。彼はお年玉(数万円)を提供してくれる大事なスポンサー。納得して頂かなければならないのだが、どう説得しよう・・・。

 そこで天文雑誌「星ナビ」の上田敬司編集長に、「彗星、明るくなってますか~」と聞いてみた。2月下旬現在、少し尾を伸ばし始めたリニア彗星(C/2002 T7)は当初の予想より明るさを増してきており、5月中旬には0等星の明るさになる見込み。日本では4月下旬~5月始めの明け方の東の空と5月下旬の夕方、西の空に2~3等級前後で見えそうだ。一方ニート彗星(C/2001 Q4)のほうは予想よりやや暗め。「マックスでも2等級の明るさと予想されています」と上田さん。日本では5月中旬頃の夕方、西の空に2~3等で見える見込みで「双眼鏡は必須です」とのこと。リニア彗星が地球に再接近する5月19日は残念ながら日本からは見えない。日本で2つの彗星が同時に見えるのは5月末。しかしリニア彗星は地平線から10度ぐらいと低く、ニート彗星は3~4等の予想。ただ4月に入らないと両彗星の明るさは、はっきりとわからないのが難しいところだ。

 「オーストラリアで見た方がやっぱりいいでしょうか?」と聞く。「二つの彗星を同時に見るならオススメです。日本では見ることのできない南半球の星空だけでも見る価値はあります!」リニア彗星が最も明るくなる5月19日頃は新月のため夜空は暗く、絶好の条件。エアーズロックあたりでは西の天の川をはさんで北西にニート彗星、西南西にリニア彗星と素晴しい星空が見えそうだ。旅行会社各社も観測ツアーを組む予定で、星ナビ4月号(3月5日発売)に紹介される。

 ネットで調べてみると、既に彗星観測ツアーを受付けている旅行会社があった。(株)ワイルドナビゲーション。5月18日から7日間で18万円。オーストラリア北部のケアンズから内陸の高原に入る。代表の宮田さんはこれまでも皆既日食ツアーや天体観測ツアーを手がけてこられた星好きの方。今回のツアーは1年ほど前から企画し、現地の天候などを考慮し、乾燥した高原であり晴天率が高いことから、アサートン高原に決定。2月中旬から受付を開始したところ順調に申し込みがあり、定員を増やせるか現在検討中とのこと。

 平日に1週間の休みをとるのはツライ。ニュージーランドではGWの4月下旬に二つの彗星を同時に見られるらしい(最高光度ではないが)。ただ航空機の料金も高くなるし、場所によっては天候が崩れやすいところもあるとか。迷っちゃうなぁ。

「南半球の降るような星」がターニングポイントだった、と言う話をよく聞くだけに心惹かれます。皆さんはどこで彗星を見ますか?

星ナビ.com
http://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/