コラム
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2005年 7月分 vol.1
世界からプレス2600人!シャトル打ち上げ
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


2005年5月、NASAケネディ宇宙センターでリハーサル中の野口飛行士。いい表情だ。(NASA)  コロンビア号の事故から約2年5ヶ月。延期に次ぐ延期のあと、ようやくスペースシャトル・ディスカバリー号の打ち上げが7月13日15時51分(現地時間)に決まった。「やっとここまで来た」という野口さん。ついに宇宙に飛びたてる。打ち上げの取材に世界から集まるプレスは2650人。ロンドンのテロで警戒態勢が強まる中、宇宙への復活の日は近い。

 今回の打ち上げ取材のセキュリティは、911テロの影響でかなり厳しくなっている。特に外国メディアに対して。JAXA広報に言われたのは「まず報道ビザをとってください。」ということ。そこでアメリカ大使館に出向き、長い列に並びビザ取得に要した時間は3時間。私のようなフリーランスの場合には、どんな仕事で取材が必要かという証明書を、出版社から英語で発行してもらわなければならなかった。

 そして報道ビザ番号を明記して、NASAウェブから申し込み。ところが約1ヵ月後、「あなたの契約している出版社はNASAのインターナショナルリストに入っていないから取材できない」という返事。ガーン! 日本では実績も歴史もある名の通った出版社なのに・・・。さっそく、NASAにクレームメールをたどたどしい英語で書きつつ、別の雑誌社で再度アタック。ようやくパスを受け取ることができた。ふー、やれやれ。

 いったん許可が出ると、NASAケネディ宇宙センター(KSC)の広報担当から連日案内メールが来る。詳細な地図入りのCD-Rを国際便で送ってもくれた(シャトルが印刷してあってカッコイイ!)。夜中まで仕事しているようで、「7月○日はプレスパスを出さないって連絡したけど、リクエストが多いのでやっぱり、この日も発行します」とか、ご苦労様なのだ。でも以前はKSCのプレスセンターまで、自分の車で入っても良かったのに、海外メディアはゲートでおろされて、そこからはNASAのバスで移動(徒歩移動は禁止)、スーツケースのような大きい荷物は持ち込み禁止とかセキュリティは厳しい。記者会見だって、2500人が入れるようなスペースはなかったと思うし、取材はかなり混乱しそうな感じだが、数が多いだけに打ち上げの時は、お祭り騒ぎにように盛り上げるかも。

 ところで気になるハリケーン「デニス」。打ち上げ可能な時間帯は1日に10分以内。つまり3時51分から4時の間に天気が悪ければ、次の日に打ち上げは延びてしまう。 でも野口飛行士は「打ち上げ、ミッション、着陸と見せ場を作ります」と伝えてくださった。とても落ち着いていて、意欲に満ちている。こっちも気合いれて取材しよう。野口さんが無事に宇宙に飛び立ち、3回の船外活動を成し遂げ元気で帰ってくるように。しっかり見届けたい。