コラム
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2007年 5月分 vol.2
アキ(星出彰彦宇宙飛行士)と仲間たち。つくばで訓練。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


星出飛行士と一緒に飛行するメンバーたち。左から船長のマーク・ケリー、パイロットのケネス・ハム(富士山登山経験あり)、カレン・ナイバーグ(星出飛行士とペアで仕事)、星出彰彦、ロナルド・ギャレン(カレンとロナルドは若田飛行士と海底訓練に参加経験あり)、マイケル・フォッサム、スティーブン・ボーエン(マイケルと3回の船外活動を行う)。 スペースシャトルの打ち上げが成功した。昨年12月のミッションから約半年ぶり。シャトルミッションが順調に続けば、2008年には日本の「きぼう」実験棟がいよいよ宇宙へ。「きぼう」を宇宙に運ぶ、星出彰彦宇宙飛行士ら7人の飛行士たちが、つくば宇宙センターでの訓練のため来日。6月5日に記者会見を行った。

 2008年4月に打ち上げが予定されているSTS-124(STSはシャトルの打ち上げ番号)の船長はマーク・ケリー飛行士。これが3回目の飛行となるベテラン飛行士だ。彼曰くこのチームは「ニュージャージー州に関連が深い」そうで、船長とパイロットのケネス・ハムがニュージャージー出身。そして「アキ(星出彰彦飛行士のことをメンバー達はこう呼んでいる)も7歳までニュージャージーに住んでいた」。7人中5人が初飛行で、飛行経験があるのは船長と、船外活動のベテラン、マイケル・フォッサム氏の二人。

 「きぼう」は3回に分けて打ち上げられるが、その核となるのが2回目の飛行となるこのミッション。「きぼう」のメインの実験室となる「船内実験室」とロボットアームを打ち上げて国際宇宙ステーションに取り付け、起動させる。その責任者となるのが星出飛行士。具体的にはロボットアームを使って実験室を取り付けたり、実験室の中に入ってバルブを開けたり、先に打ち上げてあったきぼうの船内保管室から実験ラックを移動したり。長い年月をかけて開発してきた「きぼう」に、息を吹き込む大事な仕事なのである。

つくば宇宙センターにある船内実験室のモックアップの中で。室内の環境をコントロールする装置の操作訓練を行っているクルー達。(提供:JAXA)  チームメンバー達が星出飛行士について一様に評価したのは「英語力」。船長曰く「アキは私より英語がうまい。パーフェクトイングリッシュだ」。「英語がうまくて日本語を話せないかと思うほど。『これ日本語でなんて言うの?』と聞いたらノートを見て答えたよ(笑)」(ロナルド・ギャレン飛行士)。その英語、聞いてみたい。もちろん、船長はアキの宇宙飛行士としての技量も「素晴らしい」としっかり評価していたのは言うまでもありません。

 6週間前に訓練を始めたばかりのチームだが、なかなかイイ雰囲気。ルーキー(新人飛行士)たちは模範解答が多くやや緊張感が漂うものの、ムードメーカーは2度目の飛行でチーム最年長のフォッサム飛行士と見た。終始ニコニコとフォロー。それもそのはず、娘さんの結婚式を日曜日に終えたばかり。星出飛行士もご結婚なさっていたことがクルーからぽろっと暴露され(奥様はサトミさん)、会見後記者に突っ込まれて照れてました。おめでとうございます。

 つくばでの全員そろった訓練期間は4日間と短いが「つくば山登山」「カラオケ」「やきとり」などなど、日本も堪能するぞ! と意気込むクルー達でした。