日本三景の一つである松島の地で宮城の地酒を中心とした酒販業を営む株式会社むとう屋。20年来の三菱電機のオフコンユーザーで、店舗経営にデータを活用してきた同社は、消費税の軽減税率対応を機に、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)が企画・開発し、株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)をはじめとしたビジネスパートナーが販売・サポートする酒類流通業向け販売管理システム「酒快Do(さけかいどう)」を導入しました。システムの刷新により、売上の前年比較などが容易になり、経営強化を実現しました。ハンディーターミナル(HT)を使った棚卸や空容器回収も実現し、業務効率が大幅に向上しました。
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宮城の美味しい地酒を造り手の思いとともに提供
宮城県松島の地で1946年(昭和21年)に創業したむとう屋。260余りの島々が浮かぶ風光明媚な松島湾の目の前に2階建ての店舗を構え、宮城県内の地酒やオリジナル酒などを販売しています。お店のこだわりについて、3代目の店主で代表取締役の佐々木繁氏は次のように語ります。
「宮城県内の蔵元の中で自信を持ってお薦めできる20の蔵元と取引きしています。宮城のお酒は口当たりが綺麗で、これから日本酒を始めてみたい方にも入りやすいのが特徴です。私どもはできるだけ専門用語を使わず、初心者の方にも分かりやすく、造り手である蔵元の思いを伝えることを心掛けています」
来店客の多くはリピーターで、松島町の内外から訪れるといいます。"家族で来店してもらいたい"という思いから、地元の梅やイチゴを使った子供でも飲める「松島サイダー」を独自に開発し、今ではスーパーの店頭にも並ぶヒット商品となっています。JR仙台駅の"駅ナカ"には地酒の飲み比べができ、地元産のおつまみも楽しめる「仙臺驛日本酒バル ぷらっと」を出店し、宮城のお酒のPRにも一役買っています。
消費税の軽減税率対応に向けてオフコンから酒快Doに切り替え
現在、従業員数は役員を含めて10名。店舗販売の他に町内外のホテルや飲食店などの事業者向けに、宮城の地酒、焼酎、ビール、リキュール、ワイン、ノンアルコール飲料などを販売しています。同社は、20年以上にわたり三菱電機のオフィスコンピュータ(オフコン)ベースの酒類販売管理システムを利用してきました。
「当社にとって販売管理システムは、経営に重要な役割を果たす必要不可欠なものです。以前から、松島町内外の売上、催事での売上、さらには地酒、焼酎、ビール、ワインなど酒類別の売上をすべて月次ベースで把握しながら販売計画を立て、お客さまに商品を提供してきました」(佐々木繁氏)
しかし、2019年10月の消費税増税に伴い、軽減税率対応が求められることから、これを機にシステム全体を見直すことにしました。専務取締役の佐藤華子氏は「近年は若い従業員も増えてオフコンの操作に戸惑うこともあることから、軽減税率対応に合わせて販売管理システムを刷新することにしました」と話します。
業務用酒販店向けシステムの完成度の高さとアフターケアの充実度を評価
新システムは、複数社の製品を検討した中から、製品自体の完成度の高さに加え、オフコン時代から長年にわたってサポートしてきたMBの実績を評価して、MDISの酒類流通業向け販売管理システム「酒快Do」を採用しました。当然、軽減税率対応済み製品であることも決めての一つとなりました。
「他社と比べて改めて分かったことは、製品の完成度もさることながらアフターケアの充実度でした。安心と信頼で選ぶならMBから引き続きサポートが受けられる『酒快Do』以外の選択はありませんでした」(佐藤氏)
システムは2018年4月に本稼働しました。オフコンに蓄積されていた過去20数年分のデータは必要に応じて整理・削除するとともに、「伝票の出力枚数を3枚にする」「全社分の売上実績を1年間分出力する」などの同社独自の追加要件に対しては、オプション機能の追加やカスタマイズで対応して新システムに移行しました。
「MBは事務担当者の声にも耳を傾け、私どもの作業負担が小さくなるように対応いただきました。使い方に不明点がある時にはコールセンターや営業担当者に電話をかければ丁寧に対応いただけます」(佐藤氏)
本稼働前に、従業員全員に操作教育を実施しましたが、ほとんど戸惑うことなく使い方を習得できたといいます。代表取締役 副社長の佐々木憲作氏は「若い従業員ほどPCの操作に長けているので習得に時間はかかりませんでした」と話しています。
経営の高度化に貢献するとともに日々の販売管理業務を効率化
新システムに切り替わったことで、旧システムで行ってきた実績データの閲覧・出力はより手軽になり、商品別、顧客別の売上推移などもパソコンの画面上で簡単に確認できるようになりました。
「オフコン時代は前年同月比などの売上分析を手作業で行っていましたが、新システムではパソコンの画面上で簡単に確認できます。販売実績もより細かく分かるので、これらの情報を基にこの地域の売上を伸ばそう、この商品に力を入れようといった販売戦略も立てやすくなりました」(佐々木繁氏)
新システムでは松島町内、松島町外のエリア別や、催事、インターネット通販といったルート別の売上、日本酒、ビールなどの酒類別の売上、酒屋などの得意先別売上、営業担当者別の売上などが一目で分かります。こうしたデータを参考に同社は現在、東北県産のワインに力を入れ、酒類全体に占める売上構成比を高めて収益基盤の拡大と安定を図ろうとしています。「今後、さらにデータが蓄積されていけばより多様な分析ができます。実績数値をタイムリーに見ながら経営戦略を練っていきます」と佐々木繁氏は話します。
業務面ではHTの導入により、それまで手書きで対応していた空容器の管理や、配達先での領収証の発行、店舗で月に1回実施する棚卸の作業が大幅に自動化され、効率化されました。
「特に棚卸作業の時間は、以前の3分の1に短縮されています。従来は従業員が紙の伝票と商品を突き合わせて目視で確認していたので、その作業に時間を要していましたが、HTの導入によってこの作業が不要になりました。効率化された時間は、チェック作業に割けるようになり、2重、3重のチェックによって棚卸の確認漏れや、JANコードの付け間違えなどが見付けやすくなりました。システム導入によって業務が効率化され、得意先への配達休日を1日増やして、週2日にすることができました。従業員からも休暇を取りやすくなったと好評です」(佐々木憲作氏)
宮城の地酒の売上拡大に向けシステムのさらなる強化を推進
現在は、消費税の軽減税率対応が始まる2019年10月に向けて、「酒快Do」の商品基本マスターの商品分類の確認および軽減税率対象商品の分類の整備を進めています。その後は、松島町内の地酒販売のシェアトップクラスのポジションを維持しながら、町外の売上拡大を目指していく考えです。
佐々木憲作氏は「当社にとって酒快Doは経営を左右する重要なシステムですので、MBにはプロフェッショナルとして、高いレベルのサポートの提供を引き続きお願いします。開発元のMDISには、基本機能の強化に加えて、POSレジのクレジットカード対応、キャッシュレス対応など店舗運営の効率化につながる付加価値の提供を期待しています」と話します。
むとう屋は、宮城県に根を張る酒販店として、地元の造り手の顔が見える日本酒を多くのお客さまに伝えていきます。