北海道・千歳エリアで、資源リサイクル事業を展開するリサイクルファクトリー株式会社。同社は、将来を見据えて産業廃棄物の受け入れ業務の効率化を決断。旭川計量機株式会社、株式会社スゴー事務機を通して三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)のネットワークカメラ用録画・配信サーバー「ネカ録」を活用して廃棄物搬入受付システムを再構築しました。これにより無人での受付と証明書発行を可能とし、1日4 時間の受付延長と休日受付を実現しました。ICカードとネットワークカメラを用いた非接触の受付は、アフターコロナの新たなスタイルとしても注目を集めています。
目次
廃棄物搬入の受付時間拡大に向けて自動受付システムの構築を検討
リサイクルファクトリーは、「リサイクルが可能な物はすべて再利用・再資源化する」をコンセプトに、「省資源・省エネルギー・本来のリサイクル」を地球に優しい方法で実現しています。千歳・道央エリアに65ヘクタール以上の敷地を有し、自然の摂理にかなった資源リサイクルを行うことがポリシーです。
同社が取り扱っている廃棄物は、木くず、コンクリート、陶磁器くず、残土など多岐にわたります。中でも家屋やビルの建材に使われている石膏ボードのリサイクルは、北海道の農業の発展に大きく寄与しています。代表取締役 会長の本村孝幸氏は次のように語ります。
「石膏ボードからは、農業に適した優良なカルシウムを効率よく抽出することができ、化学的な研究でも農作物の生育促進に貢献することが実証されています。私たちは石膏ボードからカルシウムを抽出する技術を独自開発し、リサイクルした肥料を道内の農家と直接取り引きしています。高品質な農作物の生産、鮮度期間の延長、収量増に貢献し、北海道の農業を魅力ある業種に変えることが私たちのチャレンジです」
同社では、収集運搬業者から事業所に持ち込まれる産業廃棄物は、有人窓口での手続きを経て受け入れています。そのため受付が可能な時間は、平日と土曜日の8時から17時までに限られていました。そこで同社は受付時間の拡大に向けて、受付業務を自動化・無人化するシステムの構築を検討しました。
「毎朝受付開始の8時前から事業所の前に収集運搬業者のトラックが行列している光景を見て、これはビジネスチャンスだと思いました。収集運搬業者にとっても、朝の早い時間から夜間まで廃棄物を搬入することができれば、道路混雑の時間帯や道路規制の影響を避けながら効率的に動くことができます。当社としても受付の自動化で担当者の業務負担を軽減することにつながり、一石二鳥以上のメリットがあると考えました」(本村氏)
API連携によるシステム開発の容易さと様々なカメラが使用できる汎用性を評価
産業廃棄物搬入の自動受付システムの導入は、千歳・道央エリアに4ヵ所ある同社の事業所の中から、規模的に導入がしやすい2019年にオープンしたばかりの北広島事業所から実施しました。自動受付システムと連携する画像サーバーにはMINDの「ネカ録」を採用し、入場ゲート等に設置したネットワークカメラで撮影した動画から静止画を選択して受入処理証明書を印刷します。
画像サーバーにネカ録を採用した理由は、同社が導入したトラックスケールシステムとAPI連携が可能で、開発工数を抑えながら短期間で構築できることにありました。トラックスケールシステムとは、トラックが入場ゲートに設置された計量台に乗ると、自動的に積載物の重量を計算し、取り引きに必要な情報を管理するシステムです。
その他にもネカ録が様々なメーカーのネットワークカメラに対応している点や、開発パートナーがMINDから技術支援を受けられることなども採用のポイントになりました。
ネカ録の採用決定後、2021年7月からシステムの構築を開始し、4カ月後の11月には有人受付での自動化を実現しました。その後、各種調整やテストを経て2022年4月から無人化を開始しています。10台のネットワークカメラが24時間施設内や計量事務所内を高画質で撮影し、それをネカ録が約10日間分保持し続けます。
1日4 時間の受入拡大を実現。収集運搬業者の利便性向上に貢献
現在、トラックスケールシステムと連携した自動受付システムは、リサイクルファクトリーのカード会員向けのサービスとして、登録事業者なら無料で利用することができます。
収集運搬業者のトラック運転手が入場ゲートで会員カード(ICカード)をカードリーダーにかざすと、ゲートが自動的にオープンします。そのまま進んでトラックをトラックスケール上に止めると、重量測定と同時に入場カメラや荷台カメラで撮影を開始します。トラック運転手は、計量事務所に設置したセルフ受付機でタッチパネルを操作して受付手続きを済ませます。
場内に進んで荷降ろしを終えた後は、出場ゲートで再びトラックの重量を測定し、再度セルフ受付機を操作すると受入処理証明書やマニフェスト(産業廃棄物管理伝票)がプリンターから出力されます。カメラは荷降場にも設置されているため、受入処理証明書は写真付きでの発行も可能です(有料)。
自動受付システムの導入により、産業廃棄物の受付時間は6時から18時までとなり、有人受付と比べると、朝で2時間、夕方で1時間、昼休み1時間の合計4時間分の受付時間拡大に加え、日曜・祝日の対応(お盆・正月除く)も可能になりました。
「収集運搬業者からは、画期的なサービスと非常に喜ばれています。ビジネスとしてはわずかな規模の拡大ですが、利便性の高い事業者として業界に貢献できると自負しています。今後は商業施設で夜間の改築や解体工事が増えることが予測され、これらのニーズにも対応していきたいと考えています」(本村氏)
無人化・自動化は有人での受付業務にも効果をもたらしています。受付が自動化されたことで、受付担当者は搬入が集中する朝の時間帯でも負担を感じることなく業務ができるようになりました。受付時には人との接触もなくなり、コロナ禍の感染対策にも貢献しています。
画像鮮明化等の機能強化と他事業所への横展開を検討
リサイクルファクトリーが業界に先駆けて構築した自動受付システムは、収集運搬業者からの評判が高く、利用企業数が着実に増えています。今後は稼働状況を見ながら、オペレーションやシステム機能の改善を続けていく予定です。
「現在ネカ録は自動受付システムとの連携用途で利用していますが、今後は防犯カメラのレコーダーとしても利用したいと考えています。そのためにも、AIカメラで進入車両を追跡し、オートフォーカスによって精細でクリアな画像が保存できるように機能強化を進めていきたいと思います」(本村氏)
さらに、他事業所への横展開も検討中で、本村氏は「北広島事業所より規模の大きい千歳事業所や、都市型のリサイクル施設として開設の準備を進めている札幌事業所に対しても、各事業所の業務や収集運搬業者のニーズに合わせて自動受付システムを導入していきます」と語ります。
リサイクルファクトリーは、地球にきわめて優しいリサイクルを実現し、循環型社会に貢献していきます。