三菱電機株式会社において、社会インフラに関する製品やサービスを提供する社会システム事業本部。同事業本部は本社フロアのフリーアドレス化とテレワークの本格導入を契機に、紙文書の削減プロジェクトに着手。三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)の「ペーパーレスBPO(紙文書電子化)サービス」を採用し、膨大な紙文書をMDISのコンサルティングにより短期間で的確に分類し、効率的かつ効果的に電子化。どこからでも文書情報にアクセスでき、検索性を高めることで、より働きやすい環境を実現しています。
社会本変革プロジェクトグループ 業務プロセスグループマネージャー 兼 企画グループマネージャー 松下 省吾 氏 (左)
社会本変革プロジェクトグループ 専任 菊池 武治 氏(中)
社会本変革プロジェクトグループ担当 草彅 志麻 氏(右)
テレワーク環境の整備に向け
「紙ゼロ」を目指すプロジェクトが発足
水環境システムを始め、河川管理・防災情報などの安全・安心な社会づくりに貢献する機器・サービスを提供する「公共」、鉄道車両用機器やサービスを提供する「交通」、情報を「送る」技術で、快適なコミュニケーションをサポートする「通信」の3分野を中心としたビジネスを通して、社会を支えている三菱電機株式会社 社会システム事業本部。
同事業本部がペーパーレス化に取り組むきっかけになったのは、働き方改革の推進に向けて、本社オフィスをフリーアドレス化することでした。同事業本部は本社ビルの中でも人数が多く、今後も増加する所属員を考慮し2020年半ばからフリーアドレス化のプロジェクトを開始しました。新型コロナウイルス感染症対策の一環でテレワークを全面的に導入したことに加え、フリーアドレス化のプロジェクトがペーパーレス化に拍車をかけました。社会本変革プロジェクトグループ 専任の菊池武治氏は次のように語ります。
「コロナ禍で在宅勤務を原則とした中でも、書類の処理やハンコの承認のために多くの社員が出社せざるを得ない状況に陥りました。そこでテレワーク環境整備とフリーアドレス化の2つを目的としてペーパーレス化を加速させることにしました」
同事業本部は、公共機関、鉄道会社、通信事業者等の取引先と業務を行う特性上、取り扱う紙文書の量は膨大です 。納入した製品は10年、20年と長期にわたり稼働するものも多く、書類は長期間の保管が求められます。徐々に電子化が進んではいるものの、オフィスのキャビネットや倉庫の中には過去からの膨大な紙文書やマイクロフィルムが保管されており、必要な書類を探し出すのも一苦労でした。
「こうした課題がある中で、三菱電機グループ全体で2020年にペーパーレス化・ハンコレス化を目指すZIP(Zero Inkan, ZeroPaper)プロジェクトが発足したこともあり、私たちもペーパーレス化を進めることになりました」(菊池氏)
コンサルティングサービスの提供を評価し
MDISの紙文書電子化サービスを採用
紙文書の電子化に向けてパートナーの選定を開始した社会システム事業本部は、数社のサービスを検討した中から、MDISの「ペーパーレスBPO(紙文書電子化)サービス」を採用しました。社会本変革プロジェクトグループ 業務プロセスグループマネージャー 兼 企画グループマネージャーの松下省吾氏は、MDISの選定理由について次のように語ります。
「決め手は、電子化を加速するためのコンサルティングサービスが用意されていたことです。書類の要・不要の仕分け、現物をみながらの実地でのアドバイス、プロジェクトの計画・進捗管理といったメニューが用意されていたのはMDISだけで、私たちと伴走してもらえるという安心感がありました」
2021年1月にMDIS の採用を決定した後、2月から4月にかけて本社の一部門を対象にペーパーレス化のトライアルを実施しました。トライアルで紙文書を電子化するまでの手順を検証・確認した後、5月より本社全体を対象に紙文書の仕分けと電子化を拡大し、12月までに作業を終了しました。
並行して2021年10月から全国の支社のうち、5つの支社を対象に本社同様のペーパーレス化のプロジェクトを進めており、2022年12月の完了を予定しています。
本社のペーパーレス化プロジェクトでは、ワーキンググループを立ち上げて各部門からリーダーを召集し、部門単位で「廃棄」「倉庫保管」「手元保有」「電子化」の4種類に仕分けを進めていきました。ただし、同事業本部は所属組織が多数あり、ペーパーレス化を推進するにあたり、取りまとめ担当者の高負荷が懸念されました。
「ワーキンググループには、MDIS の担当者にも参加していただき、仕分けの判断に迷った際には直接協議して最終決定することにしました。MDIS の担当者には、書類を保管しているキャビネットも直接見てもらい、ファイルを判断する時の注意点、書類の中身を見る時の注意点など、個別のアドバイスを受けました。MDISがワーキンググループ内で対面やオンラインでの会議を通して直接コミュニケーションを取ってくださったことで各部門は大量の書類も的確に処置を判断することができ、進捗管理等についても私たちの負担が軽減されました」(菊池氏)
紙文書を大幅に削減し、社員の働き方改革に貢献
社会システム事業本部のペーパーレス化のプロジェクトは、フロア内のキャビネットを全体で大幅に削減することができ、テレ-ワークの推進やコクヨ株式会社の協力を得て取組中のフリーアドレス化に大きく貢献しています。社会本変革プロジェクトグループ 担当の草彅志麻氏は次のように語ります。
「書類を取り扱う機会の多い社員からは、紙文書の確認や整理のためだけに出社する必要がなくなったといった話を聞いています。他にも、想像以上に書類の占有スペースが広かったことに驚いたという感想が届いています。ただし、仕事の仕方が一足飛びに紙から電子へと変わったわけではありません。現在でも紙文書で行う業務が多く残っています。それらが徐々になくなり、電子化が社内全体に浸透していくことで、プロジェクトの成果が見えてくると期待しています」
今後期待されている効果としては、電子化による書類の検索性の向上、ペーパーレス化による紙のコスト削減、セキュリティーの強化などが挙げられており、社会本変革プロジェクトグループでは随時その成果を確認していく予定です。
日常業務の電子化を徹底し、紙を増やさない運用へシフト
今回のプロジェクトで過去の紙文書の廃棄、倉庫保管、手元保有、電子化を実現した社会システム事業本部は、今後も日常業務の中で電子化を徹底し、紙文書を増やさない運用にシフトしていく計画です。さらに今回の仕分け作業では電子化対象外とし倉庫保管や手元保有で留まっている紙文書についても、中身を精査しながら可能な限り電子化を進めていく考えです。
一方、同事業本部の傘下にある神戸製作所、伊丹製作所など各製作所ではそれぞれが文書管理の効率化を進めていますが、将来的には各製作所の担当部門の意見をヒアリングしながら、一貫したペーパーレス化を進めていく構想をもっています。MDISに対しては、社内の継続的な電子化の取り組みや関連会社のペーパーレス化を含めて、この先も様々な支援の協力を要請するほか、働き方改革、風土改善、業務改善などに関しても新たなソリューションの提供を期待しています。「業務の改善に向けたITツールや、他社の成功事例の紹介などを通して、私たちの働き方改革の支援をお願いします」
(松下氏)
社会システム事業本部は、社会インフラ向け製品・システム・サービスの提供により、持続可能で安心・安全・快適な、豊かな社会の実現に貢献していきます。
紙文書の電子化におけるコンサルティングサービスの効果