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データの利活用を通してお客様のビジネス変革をサポート

2021年7月 | EXPERT INTERVIEW

経済産業省が2018年に「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」を公表してから早や3年。日本企業はDX推進に資する様々な施策を展開してきましたが2020年12月に同省が中間報告として取りまとめた「DXレポート2」によれば、「DXとはレガシーシステムの刷新である」といった誤解のもと、間違った方向にDXを推進している企業があると指摘しています。
三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)ではDXを個別のITソリューションの導入ではなく、データやデジタル技術の利活用を通してビジネスモデル自体を変革することと捉えています。今回は、製造業のお客様のDX課題解決に取り組んでいるMDISのエキスパート4人に話を伺いました。

左から、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造DX推進グループ グループマネージャー 中松 幸治 氏三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課 仁平 百合菜 氏三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造営業部 第二課 担当課長 中谷 壮志 氏三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課 韓 剛熙 氏

左から、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造DX推進グループ グループマネージャー 中松 幸治 氏
三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課 仁平 百合菜 氏
三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造営業部 第二課 担当課長 中谷 壮志 氏
三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課 韓 剛熙 氏

重要なことは、「ゆっくり急げ」
変えるところと、変えないところを見極める

トランスフォーメーション(変革)といっても、個別のITシステムや業務を変えればよいというわけではありません。競合相手に対する競争力の強化や、新たなビジネス領域への進出など、価値創造につながってこそ意義のある変革となります。対象範囲は企業の組織や文化に至る場合もあります。

正しい方向へ変革するためにはまず、マネジメント層から、営業現場、製造現場の担当者までそれぞれが自社の立ち位置や課題を「正しく認識する」ことが必要です。MDIS 産業第一事業部 製造DX推進グループ グループマネージャーの中松幸治氏は以下のように語ります。

「重要なことは、ヨーロッパの格言にもある“ゆっくり急げ”です。DXという流行りに乗った表面的な理解で拙速なIT投資をしてしまうとDXレポート2で指摘されているような“散発的なIT投資”で終わってしまいます。先送りする場合でも、受け身ではなく、自ら意識しているのであれば選択肢として間違いではありません。変えるところ、変えないところ、様子を見ておくところ、それぞれを見極めることが重要です」

何を変えるか、変えないかにおいては、まず自社の競争領域が何かをもう一度棚卸しすることです。DXレポートの第1弾には、ランザビジネス(保守運用)肥大化の要因としてアドオンやカスタマイズなどの個別開発が挙げられていますが、常に「個別開発=悪」という訳ではありません。競争領域につながるものはむしろ財産です。正・負どちらの遺産であるかを正しく認識することです。

「こうした判断をする際、三菱電機グループの情報システム・サービス事業を担うMDISの経験やノウハウは必ずお役に立てると信じています。量産から個産まであらゆるお客様に応じて変革のお手伝いができるのが私たちの強みです。」(中松氏)

作業員の高齢化や人材不足に直面する製造・保守の現場の課題をデジタルで解決

ここからは、製造現場におけるDXの実践例を紹介します。1つめのテーマは「現場作業の変革」です。製造や保守作業の現場では、少子高齢化の影響で労働人口が減り、作業員の高齢化や属人化が進む一方、作業員が持つ熟練の技術やノウハウに頼ってきた弊害で、IT化が遅れています。また、高所作業や大型機械を扱う現場での労働災害抑止も、重要課題であり続けています。従来は、社員教育や業務の工夫で対応してきましたが、デジタル技術の進展により新しい形での変革が可能になっています。

とはいえ、すべての工程にデジタル技術を適応できるわけではありません。MDIS 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課の仁平百合菜氏は「新たにデータやデジタル技術を用いるところと、人の手順やプロセスで対処するところを見極めることが重要です。デジタル技術の活用が目的化してしまっては意味がありません。目的はあくまで現場作業の変革であり、デジタル技術は手段の1つであると認識すべきです」と指摘します。

MDISでは、現場作業変革の一例として、アドバンスト・メディア社の音声認識技術「AmiVoice」を活用した現場情報共有ソリューションの開発を進めています。製造や保守作業の現場では、日々のミーティングを通して、ヒヤリ・ハットを共有したり、注意事項を確認したりしています。 紙と口頭による情報共有に留まる現場が多くありますが、記録の漏れや文字が判読できないことにより大事な情報が共有されない場合があります。音声認識技術を活用することで、現場での口頭コミュニケーションはそのままに、やりとりした情報をデータとして残すことができます。

「これまでもタブレットなどを導入し、現場で起こる事象をデータ化する試みはありました。しかし、現場でお互いに声に出しあうことは意識を高めるうえでとても重要です。 拙速な機器導入に対して現場で拒絶反応が起こることもありました。音声認識技術により、声を出すところは変えることなく、データを収集して分析することで業務改善や安全性向上が可能になります。現在、このソリューションをあるお客様に試用いただいており、ここでの実績をベースに他のお客様へも展開していきます」(仁平氏)

もう1つの変革事例は、マイクロソフトのバーチャルヘッドセット「Microsoft HoloLens 2」を活用した現場作業の支援です。カメラを内蔵したヘッドセットから現場の映像をリアルタイムに外部に送ることで、オフィスや自宅などで待機している熟練作業員が遠隔から指示を出したりすることが可能になります。現在、AmiVoiceなどとも組み合わせて、現場作業員が遠隔からの支援を受けながら目の前の作業に集中できる仕組みを開発しています。

「現場経験が乏しい作業員でも一定水準以上の作業がこなせるようにすることで、熟練の作業員不足の課題を解決することができます。けがや加齢、育児・介護などで、現場に出ることが難しくなった場合でも、遠隔から参加することでこれまでの経験を活かすことが可能になり、新しい働き方の実現にも貢献します」(仁平氏)

日本では働き手が様々な課題に直面しており、現場作業はその影響をもっとも受けやすい業務です。だからこそ、MDISはより良い方向へ変革する試みを絶え間なく続けていきます。

FAとITの両方のノウハウを融合しデータ収集・活用の最適解を提案

2つめのテーマは、工場などの「生産現場の変革」です。生産現場では、設備の稼働率向上と品質改善が永遠の課題となっています。近年は工場のオートメーション化が進み、加工から、組み立て、検査まで様々な機器設備が活用されていますが、多くの企業はそれらが生み出すデータを活用しきれていません。「収集する方法がわからない」「集めたデータの活用の仕方がわからない」といった声が聞こえてきます。

機器設備の稼働データはシーケンサ(PLC)から収集するケースが多いですが、FA機器の領域とITの領域は近いようでいて実は距離があります。企業のIT部門だけでは手に負えないことが多く、FAとITの両方のノウハウがなければデータの収集と活用は上手くいきません。MDIS 産業第一事業部 製造営業部 第二課 担当課長の中谷壮志氏は「三菱電機グループは多岐にわたるFA機器・製品群と様々なIT技術の2つを保有しており、両方の観点を踏まえた最適な解を提案することができます。生産現場のデータの集め方についても様々な選択肢を提示し、設備と連携したデータ分析のソリューションを提案します」と語ります。

最初のステップになるのが、データを収集して「見える化」することです。その際、やみくもにデータを集めても意味がありません。生産現場のIT化を熟知するMDISでは、データ活用や分析を意識したデータ収集の仕組みを提供します。

「時系列に連続したデータを単に収集するだけではなく、ロット番号や製造指図などと紐づけることで“意味のあるデータ”として分析に活用することができます。そこで私たちは製造現場の豊富な経験と知識を活かし、お客様と会話しながら稼働率向上や品質改善につながるデータの意味づけを意識して設計を進めていきます」(中谷氏) データ分析においては、統計解析やITのスキルが欠かせません。MDISでは統計解析やITに加え、ビジネススキルを持ったデータサイエンティストを自社で育成しており、その知見を生かした製造業のDXソリューションの提案・導入が可能です。

一方で、安価な予算で手軽にデータを分析して不具合の予兆をつかんでみたいというニーズに対しても、自動分析ツールを活用した分析サービスを用意しています。

「データ分析のステップとして、自動分析ツールによるPoCから専門的な分析支援サービスまで、幅広い要望に対応できますので、気軽にご相談ください」(中谷氏)

ERPのクラウド活用の提案を通してDXに求められるIT運用のノウハウを提供

3つめのテーマは、クラウド活用によるIT運用の変革です。製造業において基幹業務を司るERPは経営の根幹を支える基盤であり、不具合などによる計画外の停止は許されません。特にグローバルに事業展開する製造業では、24時間365日の安定運用が必須です。そのためERPを運用するインフラはこれまで、自前でハードウェアを調達するオンプレミス型が主流でした。

しかし近年は、セキュリティー面の不安が払拭されてきたことから、外部のインフラ基盤をネットワーク経由で利用するクラウドサービスが 普及し、有力な選択肢となっています。MDIS 産業第一事業部 製造システム第二部 第二課の韓剛熙氏は次のように語ります。

「今やERPは、DXにおけるデータ利活用の中核をなす基盤、いわゆるデジタルコアといえます。ERPのクラウド化と、顧客管理、データ分析などのSaaS型クラウドサービスとの連携により、デジタルシフトを進めることが可能になります」

中核の基盤とはいえ、ERPの構築・運用コストの肥大化は避けなければいけません。従量課金が基本のクラウドサービスを効果的に活用するためには、中長期な視点でのインフラ設計、運用設計が重要となります。

「クラウドを採用する場合、業務システムやアドオンの視点に加え、基盤の視点が必要です。MDISでは、クラウドを活用する際は、従量課金のメリットを活かして検証作業を短期間に圧縮したり、移行において一時的にサーバーの処理能力を増強してダウンタイムを短縮したりすることで、SEの工数も含めたトータルのコスト低減を意識したプロジェクト推進を行っています」(韓氏)

現在、クラウドサービスにはメジャーなパブリッククラウドとしてアマゾン ウェブサービス(AWS)やMicrosoft Azureなどがあります。ERP開発元が運用面も含めたマネージドサービスとして提供するものもあり、SAP社のSAP S/4HANA プライベートクラウドエディションが注目されています。

「ERPベンダー提供のマネージド型クラウドサービスであれば、お客様は基盤の管理を考える必要がなく、短期間でSAP S/4HANAへのコンバージョンとクラウドへの移行でDXに向けた土台を築くことができます。周辺のSaaS型クラウドサービスの導入、ERPとの連携も短期間に実現できます」(韓氏)

多様なクラウド環境の経験を持つMDISは、お客様のご要望、制約事項を踏まえた選択肢を提示いたします。新規導入から既存環境の移行まで、あらゆるシーンに対応できます。

以上がMDISにおける製造業DXの最前線です。これらはほんの一例ですので、今後も三菱電機グループの中で培ったMDISの知見とノウハウを生かし、共創的パートナーとして、お客様の変革を支援していきます。

以上がMDISにおける製造業DXの最前線です。これらはほんの一例ですので、今後も三菱電機グループの中で培ったMDISの知見とノウハウを生かし、共創的パートナーとして、お客様の変革を支援していきます。