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ICT化することでコスト要因だった介護記録が新しい価値を創造する資産に変わる

2019年6月|EXPERT INTERVIEW

株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL))では、介護・福祉の現場における様々な業務課題を解決する介護・福祉総合ITソリューション「MELFARE(メルフェア)」を提供しています。ITインフラから業務システムの構築・運用・保守までワンストップで提供するMBは、これまでにも多くの介護事業者のICT化をサポートしてきました。ここでは介護業界の状況やこれから取り組むべき方向性について、長年介護業界に携わってきたMB 第二事業本部 首都圏システム営業第二部 第一課長 井上武志氏に伺いました。

株式会社三菱電機ビジネスシステム
第二事業本部 首都圏システム営業第二部 第一課長
井上 武志 氏

2001年株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)入社。2003年より16年間介護事業者向けシステムの営業を担当。2015年よりMB全社の介護システム事業推進を担当。2018年介護事業者向けに、MB初のAI・クラウドサービスの企画立案を実施。

株式会社三菱電機ビジネスシステム
  • 株式会社三菱電機ビジネスシステム(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社)

ICT化で求められる現場へのしっかりとした説明

井上氏は2003年から介護事業者向けシステムの営業を担当し、現在は介護システム事業推進担当として事業戦略を企画・推進しています。長年、介護業界に携わってきた井上氏は、現在の介護業界について次のように語ります。

「MELFAREに関心を持たれているお客様に共通するのは、人材不足をなんとかしたいという思いです。ICT化によって業務効率が上がり残業が少なく希望休が取りやすい職場が実現できれば、人材を募集するうえでプラスになります。経済産業省や厚生労働省からもICT化を進めていこうという具体的なメッセージが発せられていますので、経営者の方々の意識も大きく変わってきていると思います」

介護現場のICT化にあたっては、職員に対する事前の説明をきちんと行うことが重要だと井上氏は語ります。

「まず施設のトップから職員の方々へICT化の背景やメリットをしっかり説明していただくことが必要です。介護現場では、今までPCを使ったことのない人も多く、突然ICT化すると反発を招く恐れもあるからです。ICTは皆様に使っていただかないと業務効率は上がりません。ICTを全員で使っていこうという意思統一をしていただくことが必要です」

記録業務を大きく改善する
介護AI入力予測ツール「記録NAVI」

多くの場合、介護現場のICT化は介護記録システムの導入から始まります。MELFAREには今年、介護記録用の新しいツール「記録NAVI」が加わりました。記録NAVIは、介護記録の入力作業の効率化と記録内容の標準化を実現します。AIによる自然言語処理で、介護現場でよく使われる文例を作成。これをマウスやタッチパネルで選択するだけで、簡単に標準化された介護記録が作成できます。この入力方式は、介護現場の声を反映して開発されたものです。

「介護記録の作成にタブレットや音声入力を使っていたお客様から『タブレットは数値や選択項目の入力には便利だがやはり文章入力はキーボードを使った方が早い、また、音声入力は入力が容易な反面、利用者の前では使えず、記録内容の標準化が難しい』というご意見をいただきました。記録NAVIは、介護現場で実際に書かれた記録文書をAIで分析し、頻出する内容を文例化しています。このため入力項目に合わせて提示された候補を選ぶだけで、表現が統一された介護記録が素早く作成できます」(井上氏)

記録NAVIは、PCが苦手な人だけでなく、まだ記録業務に慣れていない新人職員や、外国人職員にとっても有用でしょう。

「記録内容を標準化し、客観的な内容を定型的に記録していくことによって、将来的にデータ分析を活用したサービスも可能になります。例えば、客観的なデータを使った利用者のご家族への説明資料作成や、AIを使った分析で利用者の介護度の維持や改善に役立てるなどが考えられます。ICT化によって、今まで義務やコスト要因でしかなかった介護記録を新たな価値を創造する資産に変えることができます」(井上氏)

MELFAREの概要

MBのMELFAREは、介護分野に適応した豊富なソリューションと経験を備え、介護事業のICT化を包括的にサポートする

働き方改革関連法や特定処遇改善加算で
就業・人事管理が必要に

井上氏は、介護業界は一つの転換期を迎えていると言います。
一つは働き方改革関連法の施行です。

「働き方改革関連法が施行されたことで、介護業界でも厳密な就業管理が必要になりました。例えば、今年から5日間の有給休暇取得が義務化されますが、介護業界は中途入社が多く年度の途中で入ってきた人の休暇をきちんと管理するのは非常に困難です」

シフトや休暇の調整は就業管理者の大きな負担になっているといえます。

「例えば50人の職員がいる施設で、職員の負荷のバランスを取りながらシフトを組むのは大変な作業ですが、専用ソフトを利用すれば、就業管理者がこうした業務で疲弊することを防げます」(井上氏)

また、10月からは介護報酬に特定処遇改善加算が加わります。これは十分な技能や経験を備えた介護福祉士がいる事業所に介護報酬を給付するものです。

「この加算が得られる施設とそうでない施設では、人材確保に大きな差がつくでしょう。事業者はしっかりとしたキャリアアップの仕組みを作る必要があります」(井上氏)

介護事業を支える重要な人材の確保や定着率向上のためにも、就業管理や人事管理のシステム化が必要になっています。

介護事業のICT化におけるMELFAREのメリットについて井上氏は次のように語ります。

「介護のICT化には、様々なソフトやハードを組み合わせる必要がありますし、ネットワークの構築やサーバー、システムの管理も必要になります。介護のICT化に必要なすべてをワンストップでご提供できることが、当社の一番の強みです。今年は様々な法律や制度の改正がありますが、この転換期を介護事情者の皆様と一緒に乗り越えていきたいと考えています。何かご相談ごとがありましたら、ぜひお問い合わせいただければと思います」