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中堅・中小製造業のコーディネーターとしてスマート工場化をサポート

2019年12月|EXPERT INTERVIEW

株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL))は、生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」を中核に、中堅・中小製造業の業務課題を解決するITソリューションを提供しています。MB第二事業本部 SE統括部長 清水弘氏に中堅・中小製造業のスマート工場化の現状や、それに対する同社の取り組みなどについて伺いました。

株式会社三菱電機ビジネスシステム
第二事業本部 SE統括部長
清水 弘 氏

1984年 同社(MB)に入社。中堅・中小製造業が多い東海地区を商圏とする中部支社に配属後、生産管理システムの設計・構築を担当。入社当時からオフィスサーバでの生産管理システム構築に従事。2004年より「Factory-ONE 電脳工場」の取扱いを始め、以降は同パッケージをベースとしたITソリューションの提供に従事。

株式会社三菱電機ビジネスシステム
  • 株式会社三菱電機ビジネスシステム(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社)

最も重要なことは目的を明確にする

MBは、中堅・中小企業向け生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場」を中核として、入出荷検品システム「検品の達人」をはじめとする多くの周辺パッケージを扱っています。こうしたパッケージは、様々な業務ノウハウがシステム化されているだけでなく、低コストに素早く導入できるという大きなメリットがあります。

清水氏は、パッケージのメリットを最大限に享受するためには、業務を標準化し、カスタマイズを最小限に抑えることが必要だと語ります。

「例えば、取引先から受け取るEDIデータの項目(フォーマット)が取引先ごとに大きく異なる場合、システム側ですべてを取り込もうとすると、大きなコストがかかってしまいます。このような場合は、できるだけ標準的な情報に絞って取り込むほうがよいでしょう。また、製造現場への作業指示の出し方が製品によって異なるケースもよくあります。これも現場ごとのやり方の違いを減らして、できるだけ標準化することが望ましいです」

システム導入の目的をはっきりさせておくことで、こうした問題を防ぐことができると、清水氏はアドバイスします。

「経営者にとって、システムを使って本当に知りたい情報は在庫なのか、原価なのか、あるいは進捗管理をしたいのか、といったことを明確にすることで、目的からずれているカスタマイズを最小限に抑えることができます」

目的の重要性はIoTの活用でも同様です。何のためにデータを集めるのか、あらかじめはっきりさせておくことが重要だといいます。

すでに多くの中堅・中小製造業が
スマート工場化への取り組みを推進

これまで多くの中堅・中小製造業のシステム導入に携わってきた清水氏は、現在の中堅・中小製造業のスマート化やIoTへの取り組みについて次のように語ります。

「部分的なプロセスや特定の設備に限れば、生産管理と製造現場のデータ連携やIoTを使ったモニタリングなどの取り組みは、多くの中堅・中小製造業が試みています」

IoTの活用や生産管理と製造現場のデータ連携は、スマート工場化の重要な要素です。同社が手掛けた案件でも、長年使われていたオフコンベースのシステムをFactory-ONE 電脳工場に置き換え、実績や検査情報をリアルタイムに連携させることで、大きな効率化を実現したケースなどがあります。

ただ、多くの中堅・中小製造業ではこうした取り組みが部分的、あるいは試験的な段階に留まっており、依然として生産管理と製造現場のシステムが分離しているケースが多いといいます。

「最近は中堅・中小製造業でも、高性能なレーザー加工機やロボットが入っている工場がたくさんありますが、こうした機器が基幹システムとデータ連携しているところはまだ少ないのが実状です」(清水氏)

情報システム部の不在が
データ連携を難しくしている

清水氏は、中堅・中小企業において生産管理側と製造現場のシステムが連携していない理由のひとつとして、情報システム部門の不在を挙げます。

「大企業では、情報システム部門が管理側と製造現場をつなぎ全体最適なシステムを作ることができます。こうした部門のない中堅・中小企業では、管理側と製造現場がそれぞれ別個にシステムを構築することがほとんどです。間をつなぐ役割の部門が存在しないため、有効だと分かっていてもなかなかデータ連携を進めることができません」(清水氏)

こうした中堅・中小企業において全社的なデータ連携を実現させるためには、例えば経営トップ直轄で、双方の現場を知るメンバーから構成されるプロジェクトチームを作るといった方法があります。

また、システムの稼働後にも、データと実績との乖離を定期的にチェックして基準情報を見直すことも重要だといいます。スマート工場では、システムやデータの役割がより重要になります。ソフトウエアやハードウエアの導入だけでなく、情報活用に適した組織構成に変えることも必要になるかも知れません。

現場のニーズをもっと知り
製造業の課題解決をサポート

これからの製造業にとってデータの重要性が更に増すことは間違いありません。そのためには全社的な見える化やデータ連携が必要になりますが、前述のように、多くの中堅・中小企業にはそれを担う人材やノウハウが不足しており、外部のサポートを必要としています。

清水氏は、今後、MBがスマート工場をコーディネートする役割を果たしていきたいと語ります。これまでにもFactory-ONE 電脳工場と自動倉庫システムとの連携や、工場内搬送機との連携(下図)、検査装置との連携などを行ってきた実績があります。今後はこうしたノウハウを集約し、生産管理と製造現場の連携をより強力にサポートできる体制を整えていくとのことです。

製造現場連携システムの概要

新基幹業務システムの情報を基に、自動倉庫の入出庫を制御。
また、搬送機を制御して自動倉庫の部材を製造現場へ搬送。

「製造現場と基幹システムの連携をコーディネートするためには、現場にどのようなニーズがあるのか、お客様にとってどのようにつなげるのがよいのかを更に知る必要があると考えています。製造業のお客様の課題解決や新しい取り組みに対して、当社はできるだけのサポートをさせていただきますので、ぜひ、お声がけいただけたらと思います」(清水氏)