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実績あるサービスメニューにEシールを加えて総合的なトラストサービスを展開していきたい

2020年12月 | Expert interview

Eシールのような認証技術の利活用において重要な役割を担っているのが電子証明書の発行などを行うトラストサービスプロバイダーです。三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)も、以前から様々なトラストサービスを提供してきました。ここでは日本におけるeシールの現状と、その普及によってビジネスにどんな変化が期待されるかなどについて、MIND セキュリティ事業部 ジャパンネット部 第二課 エキスパート 宮﨑洋光氏に伺いました。

三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
セキュリティ事業部 ジャパンネット部 第二課 エキスパート
宮﨑 洋光 氏

2006年三菱電機情報ネットワーク株式会社(MIND)入社。配属後、PKI(Public Key Infrastructure)技術をベースとした医療分野向けの電子認証サービスやネットワークサービスの企画・立上げ・運用を担当。現在は電子署名サービスやeシールなどを含めたトラストサービス事業全般を推進。

電子署名やタイムスタンプなどのトラストサービスを提供

宮﨑氏は、長年、セキュリティや認証関係の事業に携わってきました。

「セキュリティ事業部では、電子証明書の発行や認証局の運用といったトラストサービスの提供を行っています。また、証明書を使って電子文書に署名を付与するための『長期署名クラウドサービス』というツールやクラウド基盤も用意しています。トラストサービスの設置・運用には専門的なノウハウが必要で、設備も堅牢なものが必要です。お客さまにはMINDにそれら全てが備わっていることを評価していただいています」

eシールが普及するためには法的な整備が必要とされています。その進捗状況について、宮﨑氏は次のように説明します。

「総務省のワーキンググループでは、eシールを含めた各種トラストサービスの現状とその必要性を議論してきました。今年度はeシールを世の中のインフラとして使うときに、国としてどんな制度を立ち上げるべきかということを、海外の動向も踏まえながら検討しています。MINDは超スマート社会におけるトラストサービスの在り方や環境整備を推進する『トラストサービス推進フォーラム』に参加し、そこを通じて総務省のワーキンググループに意見を出してeシールやトラストサービスの法整備を後押ししています」

グループ内での正当性の確認や改ざん防止には現在でも有効

eシールは、目的に合えば法整備を待たずとも導入することが有用だと宮﨑氏は話します。

「ビジネス文書を電子化するうえで一番怖いのは、その電子文書を誰が作ったのか、作った後に改ざんされているかどうかが分からないことです。eシールを使うことでこの二つの問題を解決できます。eシールはすでに確立された技術を応用したものであり、現状でも特定のグループ内における電子文書の正当性の確認や非改ざん性の証明に対しては十分な効果を発揮しています」

先行してeシールを導入しておけば、将来、法律が制定された後には、法的に有効なeシールに置き換えるだけで、認証のレベルを向上させることができます。

そのほか、モノの正当性を確認するトラストサービスの導入も法律の整備に先駆けて進んできているそうです。IoTやスマートデバイスの普及でニーズが高まっているためです。MINDでもスマートデバイス用電子証明書発行サービス「DeviCERT(デバイサート)」を提供しています。

ハンコの代用に留まらないeシール利用のメリットと可能性

eシールの利用範囲は請求書や領収書といった経理分野に留まりません。

「eシールの利用は書類の発行元を守ることにもつながります。例えば、ある企業のものだとされる偽の電子文書が出回ったとき、何も対策をしていなければ企業はそれを偽物だと証明することが非常に困難です。しかし、普段から電子文書にeシールを付与していれば、当社の資料ではないと簡単に証明することが可能になります」(宮﨑氏)

さらに、eシールと電子文書の機械可読性を組み合わせることで、事務処理の効率を飛躍的に高めることも可能です。

「様々な取引先から届いた電子請求書に対して、正当性の検証から金額の読み取り、支払までをシステムが自動的に行えるようになります。電子文書の正当性や内容に問題があった時だけ警告が出て人間が確認するようになります」(宮﨑氏)

従来はEDIのような特定の企業間に限られていた自動請求・支払がオープンな世界でも実現可能になるわけです。

「そのためにはeシールを発行している事業者の信頼性を自動的に確認できる仕組みが必要になります。EUでは”トラステッドリスト(TL)”という形でそれが実現されており、日本でも同様な仕組みができることが期待されています」(宮﨑氏)

トラストサービスにおける多くの実績を有するMIND

MINDにおける今後のトラストサービスへの取り組みについて宮﨑氏は次のように展望します。

「MINDにはこれまで電子証明書やタイムスタンプの発行、認証局や長期署名クラウドサービスなどを提供してきた実績があります。加えて、トラストサービスと連携するお客さまのシステムをお預かりするデータセンターやVPN回線も備えています。こうしたソリューションをオールインワンで提供できるのがMINDの強みです。今後はこれにeシールを加え、あらゆるトラストサービスを提供できるようにしていきます」

将来的には、より手軽に電子署名が利用できるツールの提供も検討しているそうです。

「トラストサービスが広く普及するためには、誰でも使えるようなツールが必要です。そこで現在MINDでは、自社で電子契約システムを持たないお客さまでもクラウド上で電子契約が行えるサービスを準備しており、企業間の様々な契約や企業内の検印に使えるサービスにしたいと考えています。電子契約システムには様々な製品があり、取引相手が同じものを利用しているとは限りません。そうした場合にもMINDのような第三者が提供する電子契約サービスを使うことで、スムーズな電子契約が可能になるでしょう」(宮﨑氏)

MINDの長期署名クラウドサービス

MINDの長期署名クラウドサービスは、電子署名・タイムスタンプを容易に導入・利用できるクラウドサービス。署名部分を置き換えることでeシールにも対応可能