品質管理は製造業にとって重要な業務です。適切な品質管理を行うことは、製品品質の維持・向上はもちろんのこと、不良品や廃棄による無駄の削減、生産性向上や作業負担の軽減など、数多くのメリットにつながります。また、品質に関わるトラブルの防止や原因究明には、検査データの厳密な管理が欠かせません。株式会社三菱電機ビジネスシステム(MB)(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL))は、品質管理業務の効率化とデータ改ざんを防止する品質管理システムを新たに開発しました。
左から、
株式会社三菱電機ビジネスシステム 第二事業本部 SE統括部長 清水 弘 氏
株式会社三菱電機ビジネスシステム 第二事業本部 営業統括部首都圏システム営業第一部長中島 正之 氏
株式会社三菱電機ビジネスシステム 第二事業本部 計画部営業企画グループマネージャー松崎 錦郷 氏
- 株式会社三菱電機ビジネスシステム(現社名:三菱電機ITソリューションズ株式会社)
大きなリスクをはらむ個人依存の検査データ管理
製品品質の高さは、日本の製造業の大きな特長です。ものづくり白書2018における調査では、「品質管理が現場力の強みである」と答えた企業の割合が44.4%に上りました。しかしここ数年、日本製造業の強みであるはずの品質管理において、検査データの改ざんや法律違反などの不祥事が複数発覚し、企業の品質管理体制が問われるようになりました。経済産業省も同白書の中で、組織として品質が担保される仕組みを経営者主導で構築すること、ウソのつけない仕組みの構築やトレーサビリティの確保を提言しています。
多くの大企業では、品質管理システムを導入し、組織として検査データの管理を行うことが一般化しています。その一方、大企業に比べて経営資源の制約が大きい中小の製造業では品質管理システムの普及が遅れています。
これまでに様々な企業向けシステムの開発に携わってきた第二事業本部 SE統括部長の清水弘氏は、品質管理の現状について次のように語ります。「中小製造業では検査データをデータベースではなく、Excelで記録、分析しているところが多いです。その結果、検査データの管理は担当者任せとなり、品質管理業務の属人化が進むなどの問題が生じています」
Excelのデータは、簡単に書き換えが可能な上、単純な誤操作でデータが失われるリスクもあります。重要なデータの管理が担当者任せになっている状態は、適切な品質管理体制とはいえません。
第二事業本部 営業統括部 首都圏システム営業第一部長の中島正之氏は、データ管理の重要性について次のように語ります。「万が一、品質問題が生じたときには、過去の検査データの信憑性が問われます。サプライチェーン全体で品質保証体制の強化が求められる中、これからは中小企業でも、検査データが改ざんされない形で管理され、品質問題が生じた時にトレーサビリティを実施できることが重要です」
しかしながら、中小企業ではシステム導入にかけられるコストや運用リソースに限りがあります。十分な機能を備えながらも、導入ハードルの低い品質管理システムが求められていました。
低コスト・SEレスで導入・運用が可能な品質管理システム
こうした中小製造業のニーズに応えてMBは、新たに品質管理システムを開発しました。
MBの品質管理システムは、検査指示書の作成と出力、計測データの入力とデータベースへの記録、管理図などのQCツールによる分析と合否判定、検査報告書の出力などが行えるソフトウエア製品です。本体価格150万円(税抜)というリーズナブルな価格ながら、一般的な製造業の品質管理業務に求められる十分な機能を備えています。しかもSEレスで導入・運用できる手軽さも魅力です。
マーケティングを担当する第二事業本部 計画部 営業企画グループマネージャーの松崎錦郷氏は、「品質管理で求められる標準的な機能をパッケージ化することで、お求めやすい価格を実現しました」と製品コンセプトを説明します。
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● 特長1 検査データはデータベースでしっかり管理
MBの品質管理システムは、入力した検査データをデータベースで一元管理します。データベースへのアクセスには、ユーザーごとに権限が決められており、誰が、いつ、どのデータを書き込み、変更したかというログが残るため、改ざんの抑止力になります。
大量のデータも容易に扱えます。「Excelで大量のデータを扱おうとすると、動作が非常に遅くなってしまいますが、MBが開発したシステムでは、データベース化しているため、パフォーマンスが低下することはありません」(松崎氏)
また、いつでも任意の条件で過去のデータを取り出すことができるので、品質向上や不良原因究明のためのデータ分析も容易になります。
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● 特長2 使い勝手の良い分析機能
「検査データの分析機能としては、管理図、ヒストグラム、散布図、パレート図に対応しています。計数値管理と計量値管理の両方に対応しているのが特長です」(清水氏)
合否判定はデータ入力と同時に行われます。
合否判定に使われる異常判定ルールは、管理限界外、連、上昇・下降、交互増減、2σ外、1σ外、中心化傾向、連続1σ外をサポートしています。
検査項目はユーザーが簡単に設定できます。
検査の実施に当たっては、検査対象ごとに作成した検査指示書が出力でき、指示書には検査結果を直接書き込むことが可能です。データの入力画面も、検査対象ごとに最適化されますので、効率よく間違いのない入力が行えます。
「Excelでは、作成者によってレイアウトや入力手順が変わってしまうことがありますが、MBの品質管理システムであれば常に同じ操作で入力できます」(清水氏)
検査装置が出力するCSV形式の検査データを取り込むこともできます。将来的には、タブレット端末を使った検査データの入力にも対応する予定です。また、検査の進捗状況も簡単に確認できるなど、品質検査業務全般の効率化を実現します。検査開始から終了までの一貫した使い勝手の良さは、専用システムならではといえるでしょう。
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● 特長3 カスタマイズが可能な検査報告書
検査報告書のレイアウトは、任意にカスタマイズが可能です。データベースの各項目を、Excelテンプレートのどのセルに当てはめるかを設定する「マッピング」機能を搭載。これにより、提出先の仕様に合わせたレイアウトが可能で、Excelで作られた既存の報告書からの移行も容易になっています。
Excelで十分という現場は試用版を体験して欲しい
MBでは、品質管理システムの導入を検討しているお客様のために、試用版を用意しています。
「試用版は一定の期間はすべての機能が使えます。まずはライトな感覚で自由に使っていただきたいです」(松崎氏)
品質管理業務の“脱Excel”を検討している現場はもちろん、“まだExcelで十分” と考えている現場でも、この機会に品質管理システムを試してみて欲しいと中島氏は語ります。
「今後、製造業ではデジタル化が進み、データの持つ価値も高まってくると考えられます。品質管理面においても効率的でより正確な管理が求められていくはずです。現状、Excelで管理できているお客様でも、MBが開発した品質管理システムをお試しいただければ、専用システムの使いやすさや信頼性、従来方法の問題点に気づいていただけると思います」