厚生労働省によると、高齢者の急増により、2025年には介護職員が、2019年に比べてさらに32万人必要になると推計されています。※1
深刻な介護の人材不足対策として介護記録業務のICT化が進められていますが、介護現場にはパソコンなどの扱いに不慣れな職員が多く、思うように浸透していません。
また、業務経験の浅い新人スタッフや外国人労働者は、介護記録作成に時間が掛かっているのが現状です。
そんな介護現場の状況を改善すべく、三菱電機ITソリューションズ株式会社(MDSOL)は、2021年7月に介護AI入力予測ツール「記録NAVI」をリリースし、介護現場の業務改善をサポートしています。
この度、さらなる業務改善に向けて、介護AI記録分析ツール「けあらぽ」を開発(近日発売)しました。
記録NAVIで「科学的な根拠」となるデータを入力
介護AI入力予測ツール「記録NAVI※2」は、自然言語処理(AI)により、誰でも簡単なタッチ操作により、文例を選択するだけで介護記録を作成できます。
記録NAVIで入力された介護記録は統一化された文章で登録されているため、「科学的介護」で必要なデータとして活用でき、精度の高い分析が可能となります。
また、入力業務が効率化することで、介護スタッフは介護サービス利用者と向き合う時間が増え、より質の高い介護が可能となります。
けあらぽで介護記録を分析
介護AI記録分析ツール「けあらぽ」は、アップロードされた介護記録のCSVデータをBI評価値で採点し、分析しやすいようにグラフ化します。
文章で書かれた介護記録を数値データへ変換することで、介護担当者の経験と勘ではなく、データによる「科学的な根拠」を基に傾向を分析し対策を立案、適切な介護を実践することができます。
記録NAVIとけあらぽの連携
記録NAVIで入力した介護記録をけあらぽへアップロードし、BI値による評価・分析を行います。 この分析結果をLIFEへ利用することで、精度の高いADL評価結果が得られます。
高齢化の状況
内閣府の2021年版高齢社会白書※3によると、2020年の総人口に占める65歳以上の割合は約29%となっており、今後このペースで推移した場合、2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると予測されています。
すでに超高齢社会に突入している状況であり、今後、介護サービスの需要が高まることは容易に推測できます。
このため、厚生労働省では、介護制度の持続可能性を確保できるよう根拠(エビデンス)に基づく介護「科学的介護」を推進しています。
科学的介護とは
厚生労働省が推進する「科学的介護」とは、単に介護の必要な高齢者の身の回りの世話をするだけではなく、高齢者の尊厳を保持して、自立した日常生活を支援するように、科学的な根拠に基づいて行う介護です。この「科学的な根拠」にあたるデータとして、厚生労働省では2021年から介護現場の情報をフィードバックできる「科学的介護情報システム(LIFE)」を推進しています。科学的介護では、介護サービス計画書を作成し、PDCAサイクルを推進するとあります※4。