三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)は20数年にわたり、大手金融機関向けを中心に様々なユーザーが求める最適なネットワーク環境を提供してきました。しかしながら近年では、ネットワーク環境を自ら構築・運用する「内製化」やクラウドを中心とした既存のサービスを利用する「サービス化」を検討するユーザーも少なくありません。こうしたニーズの変化に対応するべく、MDISではこれまでの数多くの実績をもとに独自のサービスを事業化。ユーザー企業のネットワーク担当者が利用できる検証環境(ラボ)や様々な自動化ツールをサービスとして提供しています。
目次
数千拠点、数万台規模の構築・運用を支える「ネットワークソリューション」
MDISは長年、大手金融機関の基幹業務やサービスを支える大規模かつ高品質なネットワークの構築・運用を手掛けてきました。
金融第一事業部営業第一部第一課課長の藤井圭介氏はMDISのネットワークソリューションの強みを以下のように語ります。
「メガバンクのネットワークは、国内だけでなく海外も含めた大規模なものになっています。端末数は数万台、拠点数は数千拠点、拡張やリプレースなどの工事件数は毎年数千件に上ります。金融系ネットワークはトラブル発生時の影響が大きいため、極めて高い信頼性が要求されます。MDISはこうした大規模かつ高品質なネットワークの設計、構築、運用といった業務をワンストップで提供してきました。この実績を通じて、MDISにはネットワークに関する高度な技術とノウハウがあります」
ネットワークの革新に取り組むユーザーにワンストップサービスで培った技術を提供
MDISが取り組んできたネットワークソリューションは、技術やユーザーニーズの変化に合わせて進化してきました。近年のトレンドとして金融第一事業部ネットワーク統括部次長の森田大介氏は、ソフトウェア化、内製化と自動化ニーズの高まりを挙げます。
「近年、効率的なネットワーク環境を実現するSDN(SoftwareDefinedNetwork)の導入事例が増えています。また内製化を進めて自社内に技術ノウハウを蓄積したいというユーザーも増えています。
もう1つは自動化です。これまで手作業で行っていた設定作業を自動化して、業務スピードを上げたいという要望も高まっています」
こうしたニーズの変化に応えるため、ネットワークソリューションの中で汎用的に使えるサービスをソリューション化し提供しているのが「ネットワークラボサービス」と「ネットワーク設定自動化サービス」です。
SDN環境構築時にも利用できる「ネットワークラボサービス」
「ネットワークラボサービス」は、MDISが抱えるネットワーク検証環境を、社外のユーザーがリモート接続し利用できるサービスです。MDISが保有するネットワーク機器やサーバー、あるいはユーザーの持ち込み機器を組み合わせ、検証に必要な環境を自由に構築することができます。もちろん金融機関に限らずあらゆる業種のユーザーが利用できます。
ネットワークを構築する際には、事前にテスト用の環境(ラボ)を用意して検証作業を行うのが一般的です。ただし、自社で独自のラボ環境を構築・管理するには大きなコストがかかります。金融第一事業部ネットワーク統括部第二課サーティファイドプロフェッショナルの青島晃宏氏は、同サービスのメリットについて次のように語ります。
「ネットワークの検証作業のために社内ラボの設置に取り組んでいるユーザーもいらっしゃいます。しかし実際にラボを設置しようとすると、物理スペースや電源設備の確保が難しく、また周辺機材や配線にもコストや設置の手間がかかります。MDISのネットワークラボサービスをご利用いただくことで、これらの課題が解消されます」
検証のほか、人材育成のトレーニング環境としても利用可能
ネットワークラボサービスでは、ユーザーの持ち込み機器も含め、ネットワーク機器の設置や接続はMDISが代行します。ユーザーはインターネットVPN経由のリモート操作で利用できるため、現地に来ていただく必要はありません。
また、必要であればMDISエンジニアのアドバイスやサポートを受けることも可能です。
なお本サービスは、最低1ヵ月から利用することができます。「必要な時だけ使いたいというニーズと、自社の検証環境として長くキープしておきたいというニーズの両方にお応えできます。また機器の検証だけでなく人材育成のトレーニング環境としても使っていただくことを想定しています」(藤井氏)
構成管理ツールAnsibleを活用した「ネットワーク設定自動化サービス」
「ネットワーク設定自動化サービス」では、ネットワークの構築や管理に必要となる機器の設定を自動化するツールを提供します。これらのツールは、構成管理ツールであるAnsible(アンシブル)とMDISの独自開発技術を組み合わせて作られています。単に設定を自動的に行うだけでなく、設定後の動作検証も含めて自動化することが可能です。また、定型処理のメニュー以外にカスタマイズやオーダーメイドにも対応します。
「提供するツールは、私たち自身がネットワークの設定を効率化するために開発してきたものです。実際に大手金融機関に導入した実績あるツールをベースに、自動化の対象範囲を広げるなど、さらにパワーアップしたものになっています」(青島氏)
「今まで手作業で行っていた作業に自動化ツールを導入することで、業務の効率化、コスト削減、さらに人為的なミスがなくなることから品質向上が実現できます。また、高度な専門スキルを持たない人材でもネットワーク運用が行えるというメリットもあります」(森田氏)具体的なサービスメニューとしては以下のようなものがあります。(一部抜粋)
具体的なサービスメニューとしては以下のようなものがあります。(一部抜粋)
•定型的な設定ファイルの適用作業
•パスワード定期変更作業
•OSバージョンアップ
•定義ファイルからの設定ファイル作成/設定/設定後の比較/テスト
今後もサービスメニューは追加される予定です。「ユーザーによって自動化のニーズは異なりますし、その企業固有の設定手順もあります。既存の自動化ツールをカスタマイズすることはもちろん、メニューにはない新しい作業を自動化することも可能です」(青島氏)
MDISの強みについて、森田氏は次のように語ります。
「MDISの大きな強みの1つがネットワークラボです。ここには、最先端のネットワーク機器を配備した大規模検証環境が用意されており、“新しい製品や機能のシミュレーション”“出荷前の検証”“トラブルの再現試験”などが行われています。一方でメーカーにとらわれず、新しい製品や技術に常に触れることができるため、日々進化する技術を捉えながらプロフェッショナルの育成にも力を入れています」
今後の展開について、藤井氏は次のように語ります。
「検証ラボと自動化という2つのサービスは、 私どもが培ってきたノウハウと、ユーザーのニー ズを上手くマッチする形でリリースすることがで きました。MDISでは、引き続き世の中の流れ やユーザーのニーズに柔軟に対応したサービス を提案していきたいと考えています」