三菱電機株式会社は、パワー半導体向けウエハー対応として、硬度が高い多結晶SiC(炭化ケイ素)のインゴット(4インチ角サイズ)を40枚同時にスライス加工できるワイヤ放電加工技術を開発しました。本開発により、SiCスライス加工の生産性向上とSiC素材の有効活用が期待されます。
開発の特長
- 4インチ角の高硬度なSiC素材を同時に40枚加工可能な放電スライス装置を開発
- ・φ0.1mmの細線ワイヤ電極線を0.6mm間隔で周回させ、同時に40カ所でスライス加工することにより、生産性を向上
- ・熱による非接触加工のため、接触式加工に比べ、高速かつ狭い切り代でのスライスが可能※1
- ・同じインゴットからより多くのウエハーがとれるため、高価なSiC素材を有効活用
- ※1:加工速度80μm/min加工条件において、切断代220μm以下を達成
- SiCスライス加工用の専用電源を開発
- ・ワイヤ電極への40カ所の給電部を電気的に独立させ、同時に均一なエネルギーで加工可能
- ・SiCの素材特性にあわせた高周波電源の開発により、φ0.1mmの細いワイヤ電極線でも断線することなく連続加工が可能
今後の展開
高硬度なSiC素材をウエハーにスライスするマルチワイヤ放電スライス加工装置は、2015年度の製品化を目指します。
特許
国内22件、海外10件