三菱電機株式会社は、様々な課題に含まれる最適化問題を計算機上で解くために、適用対象に応じた最適解の計算手法およびその複雑な計算を高速に行う「先進最適化アルゴリズム」を開発しました。
この開発成果により、最短経路で高速に板金を切り抜くレーザー加工機や、医師の操作を迅速にサポートする粒子線治療装置、燃料消費の少ない月探査機など、種々の実用システムの大幅な性能向上に貢献していきます。
開発の特長
- 最適化問題に対し最先端の解法を確立
- ・課題によって異なる最適化問題に対し、それぞれの最適解の計算手法と高速解法を提供
- ・計算の複雑さや多様な制約条件のためにこれまで最適値が見つけられなかった問題や、計算時間が長すぎて最適値が求められなかった問題に適用可能
- 最先端の解法で新たな機能、性能を実現
- ・レーザー加工機において、加工時間が最短となるような加工経路(切断順序とその接続経路)の自動生成機能を実用化することで、従来機に比べ加工時間45%短縮に貢献
- ・粒子線治療装置において、腫瘍以外への照射量を最小限に抑え、腫瘍部への照射量を最大化するために必要な照射パラメータを短時間で計算するなど、医師への対話的サポートを実現
- ・地球と月と探査機を考慮した最適化問題を解くことで、月探査機の月到着までに必要な燃料消費量を10%節約し、搭載可能重量が2倍となる軌道を自動生成
開発の概要
レーザー加工機 | 粒子線治療装置の 照射量決定 |
月探査機 | |
今回 | 加工時間45%減 | 短時間で立案する対話型支援ツールを実現 | 燃料10%節約。機器搭載可能重量2倍 |
従来 | 加工経路自動生成機能なし | 必要な計算時間が長く、翌日確認 | 燃料消費大 |
今後の展開
レーザー加工機用加工経路自動生成機能は、2012年11月に販売を開始しています。粒子線治療装置照射量決定機能の製品化時期は未定です。月探査機は2010年代後半に予定している日本の月探査機への提案を検討中です。