三菱電機株式会社は、気液界面での放電により生成したOHラジカル※で難分解性物質を高効率に分解する、工業廃水や下水の処理・再利用に適用できる新たな水処理技術を開発しました。
これにより、持続可能な水循環型社会の実現に貢献していきます。
- ※ヒドロキシルラジカル:極めて強い酸化力(酸化還元電位2.85eV;オゾン2.07eV)をもつ酸化剤
気液界面放電水処理技術を適用した工業廃水再利用システム概念図
開発の特長
- 気液界面での放電により生成したOHラジカルで難分解性物質を分解
- ・傾斜面に電極を配し、湿潤酸素ガス中を流下する被処理水の気液界面にパルスコロナ放電を誘起してOHラジカルを発生
- ・OHラジカルの強い酸化力で、塩素やオゾンでは分解が難しい界面活性剤やジオキサンなどの難分解性物質を二酸化炭素や水などへ分解
- 酸素の再利用と装置の簡素化により、低コストの再利用水システムを構築
- ・OHラジカルを高効率に生成し、既存のオゾンと紫外線(UV)照射を組み合わせた促進酸化処理に比べて2倍の分解効率を達成
- ・湿潤酸素ガス中での安定放電技術により、酸素の再利用が可能となり、酸素使用量を削減
- ・反応器のモジュール化により装置構成を簡素化し、促進酸化処理に比べて装置コストを低減
開発の概要
難分解性物質除去方式 | 特長・課題 | ||
今回開発 | 気液界面放電による促進酸化法 | 高効率にOHラジカルを生成し、既存A方式の2倍の分解効率を達成 酸素使用量を90%削減 |
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既存方式 | A | オゾンとUV照射を組み合わせた促進酸化法 | UVランプ寿命による交換・維持費が課題 オゾン発生時の酸素コスト低減には、オゾンの高濃度化が必要 |
B | 活性炭に難分解性物質を吸着させ除去する活性炭処理法 | システムは簡易だが、活性炭の再生・交換にコストが発生 |
今後の展開
本開発は、国立大学法人山形大学理工学研究科南谷研究室の技術協力の基に進めています。工業廃水再利用装置として2018年度の事業化を目指します。