三菱電機株式会社は、次世代超大型望遠鏡TMT® ※1 の主鏡を構成する分割鏡を交換するロボットを開発しました。本ロボットを核とする世界初※2 の分割鏡交換システム(以下SHS)※3 により、安全にかつ効率的に鏡を交換することで観測時間拡大を実現し、宇宙で最初の銀河やそのなかで誕生した宇宙で最初の星々の正体を解明する観測など、新しい天文学の研究分野の開拓に貢献します。
- ※1Thirty Meter Telescope(30メートル望遠鏡)
- ※22016年2月17日現在(当社調べ)
- ※3Segment Handling System(分割鏡交換システム)
開発の特長
- 3つのビジョンセンサーにより正確に鏡の位置を計測
- ・センサーまわりのチェッカーマークを鏡に映すことにより、計測が困難な鏡の位置と姿勢を、正確に認識
- ・3つのビジョンセンサーを使用し、ロボットの分割鏡への安全なアプローチを実現
- 高精度の力覚制御技術により優しく分割鏡を交換
- ・6軸の力覚センサーにより、分割鏡にかかる1キログラム以下の反力を検出し、鏡への負荷が小さくなるようにロボットの位置と姿勢を制御
- ・約250キログラムの分割鏡の重さで発生する構造変形の影響も考慮した力覚制御技術により、わずか0.5ミリメートルの隙間の取り付け軸に、過大な負荷をかけずに優しく鏡を交換
- パラレルリンク機構により安全な鏡の運搬を実現
- ・独立して動作する6本のリンクを並列配置した独自のパラレルリンク機構により、上下のロングストロークを確保しながらXYZ軸の移動とそれぞれの回転の合計6自由度の駆動を実現
- ・主鏡に傷をつけないための安全な空間を、主鏡と移動するロボットの間に確保
次世代超大型望遠鏡TMTの主鏡
口径30メートルの主鏡は、合計492枚の分割鏡で構成され、最外周の分割鏡は14.5度の傾斜があります。分割鏡(六角形)1枚は、対角1.44メートル、重量は約250キログラムです。観測性能を維持するために全ての鏡を2年に1回交換し、洗浄・蒸着を順次行う必要があります。