三菱電機株式会社は、下水・工業排水再生システムの省エネ化・コンパクト化を実現するオゾン水洗浄式・浸漬型膜分離バイオリアクター(以下、Eco-MBR※1)の実証実験を、シンガポール公益事業庁(以下、PUB※2)のチャンギ水再生プラントで開始しました。
PUB、シンガポール国立大学ウォーターリサーチセンターと協力し、2016年12月まで実証実験を行い、2018年度の事業化を目指します。
- ※1:MBR:Membrane BioReactor
- ※2:PUB:Public Utilities Board
実証実験のねらい
当社は、1700台以上の納入実績を持つオゾン発生装置の技術を活かし、高濃度オゾン水でろ過膜を洗浄、目詰まりの原因となる有機物を分解・除去し、従来型MBRと比較して膜表面積あたり2倍以上※3 の処理水量を実現するEco-MBRを開発しました。ろ過膜本数を減らすことができるため、省エネ化、コンパクト化が可能となります。今回の実証実験では、主に以下の検証を行います。
- ※3:一般的なろ過膜を使用した浸漬型MBRとの比較(2016年7月11日現在、当社調べ)
- 省エネ性の検証
- ・従来方式MBRと比較し、消費電力などの省エネ性を検証
- 長期安定運転の検証
- ・高速ろ過運転を長期間安定して維持できるかを検証
実証実験の背景
生活水準の向上や産業の発展により、全世界において水資源の確保が必須となっています。なかでも、シンガポールは水資源不足が深刻化しているため、下水や工業排水の再利用に積極的に取り組んでおり、現在水需要の30%を再利用水でまかなうことが可能です。今回、PUBがチャンギ水再生プラントで取り組んでいるMBRプロジェクトに当社も参画し、本実証実験を通してEco-MBRの性能検証を行い、コンパクトで経済的な水再生システムの早期実用化を目指します。
今後の展開
当社はこれまで国内の上下水プラントの監視制御システムや、国内外のオゾン処理システムを中心に水環境ビジネスに取り組んできました。今後は、需要拡大が見込める海外の再生水市場に下水・工業排水の再生システムを展開することで、持続可能な水循環型社会の実現に貢献してまいります。