三菱電機株式会社は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「技術試験衛星9号機」のプライムメーカーに選定され、通信の高速大容量化に対応した世界最先端の衛星バス技術開発に向けた設計に着手しましたのでお知らせします。今後、本技術を活用して国際商用衛星市場での競争力を強化し、当社の衛星ラインアップを拡充することで、2021年度(予定)の技術試験衛星9号機の打ち上げ後に商用通信衛星の年間2機の受注を目指します。
技術試験衛星9号機の特長
- 高速大容量の通信需要に対応できる世界最先端の衛星バス
- ・発生電力25 kW級の大電力・大容量を実現し、通信衛星の高速大容量化の需要に対応
- ・6kWの国産大出力ホールスラスタシステム※1を搭載することで、軽量化・全電化を実現
- ・大出力ホールスラスタシステムにより、衛星打ち上げ後の軌道到達時間が諸外国の全電化衛星※2と比べて短くなり、顧客への軌道上納入が早期化
- ・国産GPS受信機を初めて静止衛星に搭載することで、軌道遷移および軌道制御の自律化運用を実現し、軌道上での衛星運用を省力化
- ※1電気的な力を使って推力を得る推進方式の一種。化学推進方式と比べ燃費が良く、衛星軽量化による打ち上げ価格の低減と大容量のペイロード搭載が可能となる。
- ※24.5 kW級電気推進システム使用
背景と狙い
政府の宇宙基本計画において、通信・放送衛星に関する最先端技術の獲得・保有は、我が国の安全保障および宇宙産業の国際競争力双方の観点から重要と位置づけられています。「技術試験衛星9号機」は、その開発を通じて世界市場で競争力のある衛星技術を獲得し、関連する宇宙産業や科学技術基盤の維持・強化を図ることを期待されています。
一方、当社は標準衛星プラットフォーム(DS2000)で、国内官需衛星および商用通信衛星を多数受注していますが、世界市場では通信衛星の高速大容量化が求められており、大規模衛星バスの投入が必須となっています。
この市場環境の変化の中で、当社はJAXAと共に開発・製造する「技術試験衛星9号機」を通じて発生電力25 kW級までをカバーする全電化衛星を当社衛星バスのラインアップに追加し、市場ニーズに対応する体制を構築します。これにより、「技術試験衛星9号機」が打ち上げられる予定の2021年度以降、商用通信衛星の年間2機の受注獲得を目指します。
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