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一畑電車で行く、出雲の旅
島根県の松江市と出雲市にまたがる、美しい湖・宍道湖(しんじこ)。
今回は、宍道湖沿いを走るレトロなローカル線・一畑電車(いちばたでんしゃ)で巡る旅を通じて、沿線のおすすめスポットとそれを支える三菱電機製品の事例をご紹介します。
島根県の松江市と出雲市にまたがる、美しい湖・宍道湖(しんじこ)。
今回は、宍道湖沿いを走るレトロなローカル線・一畑電車(いちばたでんしゃ)で巡る旅を通じて、沿線のおすすめスポットとそれを支える三菱電機製品の事例をご紹介します。
REPORTER
山陰営業所 所長福嶋 徹己
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広島にある中国支社から、2018年に中国支社山陰営業所所長として、初めて島根・松江の地に赴任しました。旅と食べ歩きを趣味としている私が、ローカル線の一畑電車に乗りながら、沿線の魅力を存分に紹介します。
HIGHLIGHT
AREA
今回の旅は、宍道湖のほとりにある「松江しんじ湖温泉駅」を出発点に、一畑電車に揺られながら、沿線の見所スポット「松江フォーゲルパーク」や当社製の電気設備が活躍する「布崎(ぬのざき)変電所」、一畑電車の運転体験ができる「雲州平田(うんしゅうひらた)駅」などを訪ね、終点にある出雲大社をめざします。
魅力いっぱいの美しい湖・宍道湖
宍道湖は日本百景に数えられる美しい湖で、夕景の美しさでも有名です。「日本夕陽百選」に選ばれており、湖に浮かぶ嫁ヶ島の彼方に沈んでいく落日の瞬間は、息をのむほどの美しさ。この日はあいにくの曇り空でしたが、湖面に浮かんだ小舟が、夕陽と重なりながら進んでいくのどかな光景には心が洗われます。
宍道湖は、淡水と海水が混じった汽水湖で、淡水魚と海水魚が共存しており、魚種が豊富です。なかでも、頭文字を取って“すもうあしこし”と表現されるスズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シジミ、コイ、シラウオは、“宍道湖七珍”という名産品として知られています。特に有名なしじみは、宍道湖で獲れる水産物の90%以上を占めるそうです(※)。
※参考: 宍道湖漁業協同組合
宍道湖を望む、絶好のパノラマビュ一
ホテル一畑(いちばた)
湖畔に建つ
「ホテル一畑(いちばた)」
は、絶好のレイクビューを誇るリゾートホテルです。ホテルの眼前には、宍道湖の美しい景観が広がり、まさにパノラマビュー。客室をはじめ、最上階の天然温泉やレストラン、ロビーラウンジなど、ここに泊まれば、ゆったりとくつろぎながら、湖の多彩な景色を存分に楽しむことができます。
このホテル一畑には、当社製のエレベーターが納入されており、宿泊者のスムーズな移動を支えているほか、客室にはテレビや低騒音・低振動の冷蔵庫が納入されており、快適なホテルライフに貢献しています。
「松江しんじ湖温泉駅」から
一畑電車で、出発
一畑電車の始発駅「松江しんじ湖温泉駅」は、1928(昭和3)年の開業当初は「北松江駅」という名称でしたが、温泉街ができ、その後、温泉街の名称変更などもあり、2002(平成14)年に現在の駅名になったそうです。ここからいよいよ旅のスタート!この日、乗車したのは、2016年デビューの新型7001系。のどかな田園風景の中をガタゴトと音を立てて走る姿は、懐かしいローカル電車そのもの。松江市〜出雲市の42.2キロを結び、地域の人から“ばたでん”の愛称で呼ばれる地元の交通機関ですが、松江市や出雲大社への足として、多くの観光客にも親しまれています。車窓から臨む宍道湖や沿線に続く日本の原風景のような景色など、そこここに風情が感じられました。
「松江フォーゲルパーク駅」で、途中下車
〜鳥たちとふれあえるテーマパーク
途中下車して、鳥たちとふれ合えるテーマパーク「松江フォーゲルパーク」を訪ねました。「フォーゲル」とは、ドイツ語で“鳥”のことだそうで、広大な丘陵地に広がる園内には、色とりどりの花が咲く温室や約90種類の世界の鳥が集まる2つの温室があります。フクロウの手乗せ体験では、アフリカワシミミズクの「ビビ」ちゃんとふれあうことができました。こんな間近で見たのは初めて。正直、最初はちょっと怖かったですが(笑)、慣れてくると、愛嬌たっぷりの表情が愛らしく思えてきます。そのほか、オオハシやエボシドリなどの熱帯の鳥たちのエサやり体験もでき、鳥たちとの幸せなひと時を過ごすことができました。
出雲名物「出雲そば」を堪能!
松江フォーゲルパーク内に、出雲名物「出雲そば」の約200年前の味を再現したお店があると聞き、行ってみました。
そば亭「不昧(ふまい)庵」で食べられる出雲そばは、江戸時代に、松江松平藩7代藩主で茶道不昧流の祖として知られる松平治郷(不昧公)が奥出雲を訪れた際に振る舞われた蕎麦膳の味を再現したもの。運ばれてきたのは、水だけで捏ねた十割蕎麦です。この手打ち蕎麦を濃い目の蕎麦つゆでいただくのが特徴。蕎麦は実の黒皮を残しているので、色合いも黒っぽく、歯ごたえがあります。蕎麦の風味がつゆと絡み、噛めば噛むほど蕎麦本来の味わいが広がります。
一畑電車の運行を支えて
〜布崎変電所を訪問
再び一畑電車に乗り、「布崎駅」を目指します。訪れたのは、一畑電車の電力供給源として、1927(昭和2)年に建設された布崎変電所。一畑電車の電化と発展を担い、2011(平成23)年には国の登録有形文化財(建造物)に指定された鉄筋コンクリート造りの歴史的な建築物です。一般公開はされていませんが、今回、特別に見学させていただきました。変電所として今も現役で活躍しており、ここには当社の電気設備が納入されています。
装置の製造番号を記したプレートには、“昭和38年8月”との刻印があります。私が生まれる前から一畑電車を支え続けていると思うと感無量。趣のある建物に歴史の重さを感じるとともに、それだけ長い間、一畑電車の運行を支えてきた当社製品の重要性・信頼性を実感します。近い将来、この装置も更新の時を迎えますが、こうした歴史ある装置に関われることに、今から大きなやりがいを感じます。
「雲州平田駅」で、一畑電車の運転体験!
次の目的地「雲州平田駅」では、日本最古級の一畑電車「デハ二50形」の運転に挑戦します!“デハ二”とは、“デ(電動車)”“ハ(普通車)”“二(荷物室)”といった車両の種類や設備を示した略称。体験運転用のデハ二53は、1929(昭和4)年製造の荷物室がある車両です。この中には、車両方向の切換装置・逆転器(R.V)のほか、マスターコントローラー、ブレーキハンドル、パンタグラフを上下させる電磁弁など、多くの当社製品が採用されています。
一畑電車運輸部の妹尾さんにご指導いただき、いよいよ駅構内の専用路線、約120mを走らせます。指差確認で安全を確かめ、マスターコントローラーを回すと、ゆっくり動き出します。難しかったのは、ブレーキ操作。滑らかに停止するため、最後にブレーキの力を抜きますが、その加減が難しく、どうしてもガタンと車両にショックを与えてしまいます。しかし、妹尾さんにお手本をお願いすると、すっと滑らかに停車。熟練の技を実感します。とても貴重な体験でした。
ついに到着!「出雲大社前駅」
終点「出雲大社前駅」から、出雲大社へ向かいます。出雲大社の正しい読み方は“いづもおおやしろ”で、「古事記」にも記されており、縁結びの神として知られます。2018年10月に建て替えられた勢溜(せいだまり)に立つ大鳥居をくぐり、参道を進むと、毛利輝元の孫が寄進したという銅鳥居、そしてその奥には、荘厳な佇まいの拝殿と御本殿が見えてきます。ひと際目立つのが、大注連縄(おおしめなわ)。長さ6.5m・重さ約1トンで、一般の神社の注連縄とは左右逆向きです(※詳しくはこちら)。拝殿の左手・奥にある神楽殿には、長さ13.5m・重さ5.2トンという日本最大級の大注連縄があります。大国主大神(おおくにぬしおおかみ)が祀られている御本殿は、“大社造(たいしゃづくり)”と呼ばれる日本最古の神社建築様式で、国宝に指定されています。
神の国として知られる出雲の国には、毎年旧暦の10月に、日本中から八百万(やおよろず)の神が集まるといわれます。10月が“神無月(かんなづき)”というのはそのためで、逆に神々を迎える出雲では、“神有月・神在月(かみありづき)”といいます。この場所は、神様が集まるにふさわしい荘厳な趣と清らかな空気に満ちているように感じました。
今回、一畑電車ののどかな旅を通じて、松江から出雲までの沿線の魅力をじっくりと味わうことができました。宍道湖や周辺の田園風景を眺めると、こういう暮らしの中にこそ大切なものがあることに改めて気付きました。これからも歴史や自然、文化・伝統などを大切にしつつ、三菱電機の先進技術・社会貢献活動を通じて、地域に貢献できる仕事を続けていきたいと思います。
山陰三菱電機機器販売株式会社
布崎変電所の電気設備など、今回の訪問先のさまざまな電機品は、三菱電機グループの山陰三菱電機機器販売株式会社とともに営業活動を行い、納入しているものです。
山陰三菱電機機器販売株式会社は、1937年に島根県松江市で創業し、2017年に創立80周年を迎えました。三菱電機のグループ企業として山陰地区(島根・鳥取)を拠点に事業を展開しており、工場やビルに関連するFA(ファクトリーオートメーション)機器、空調機器、ビルシステム(エレベーター等)ならびに映像機器や各種電源設備などの販売を行っています。今後も山陰地区の発展のために地域社会に貢献する先進的な三菱電機グループの製品を提案し、エコな“ものづくり・まちづくり”をサポートして参ります。