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九州支社
ビジネス・導入事例

ZEB化のメリットを考える

脱炭素化が加速する今、
ZEBは「省エネ×快適性」を実現する。

  • 7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 9: 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11: 住み続けられるまちづくりを
  • 13: 気候変動に具体的な対策を

2050年のカーボンニュートラル目標達成に向け、脱炭素化に貢献する製品・ソリューション群に対する関心が高まる中、各企業が取り組むCSR活動が注目を集めています。こうした動きに対する具体的な施策の一つとして、三菱電機では、総合電機メーカー初のZEBプランナーとして、建物の「ZEB (ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」化を支援しています。
三菱電機では、ZEBに必要な空調、換気、照明、給湯、昇降機の5設備に加え、BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)を保有する総合電機メーカーとしての強みを生かし、個々の設備を組み合わせて設計、提案することで、業界トップクラスの省エネ性能を誇るZEBの最適解を提供しています。
今回の記事では、 ZEB化がもたらすメリットや意義について、株式会社久永様の導入事例を交えながら、ご紹介します。

[目次]

ZEBとは

ZEB (net Zero Energy Building:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、快適な室内環境を保ちながら、建物の高断熱化や設備の高効率化による「省エネ」と太陽光発電等の「創エネ」により、年間のエネルギー収支をプラスマイナスゼロにする建物のことです。

ZEB化のメリット

ZEB化のメリットとしては、建物を高断熱化することで、建物内部を魔法瓶のように温度変化のしにくい構造にし、さらに高効率な設備を導入することにより、「省エネ」と「快適性」を同時に実現します。また、災害時のBCP対策をはじめ、オフィス環境の効率化や快適性、そこで働く人たちの意識やウェルビーイングにまで好影響を与え、建物の資産価値、さらには企業のブランド価値の向上にもダイレクトに結びつくものとして大きなメリットをもたらします。

三菱電機にできること

三菱電機は、ZEBに必要な空調、換気、照明、給湯、昇降機の設備に加え、BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)を持つ総合電機メーカーとして、その強みを最大限活かすことで、ZEBに必要な設備の納入から運用サポート・保守までワンストップで提供しています。また、設備導入後も、各機器の稼働状況やエネルギー消費状況を見える化し、お客様の状況に合わせた運用改善を提案するサービスも提供しています。

 

九州・沖縄エリアは、費用対効果のメリットが大きい中小規模の建築物(延べ床面積2,000m2以下)の割合が比較的多いことと温暖でZEB化しやすい地域特性があることから、 ZEBの導入実績においても全国3位(※1)となっています。また、ZEB化の促進制度を整備する自治体(※2)があるため、ZEB化のハードルは低くなっています。三菱電機では、グループ会社と連携することで、ZEB化に向けたサポートを万全の体制で提供しています。

  • 一般社団法人環境共創イニシアチブのデータに基づく(2024年3月時点)
  • ZEB化支援制度に関しては、経済産業省/環境省/各自治体HPにて最新情報をご確認ください。

三菱電機におけるZEB実証例

「SUSTIE」について

 
実績値において、エネルギー消費量が大幅に削減!

三菱電機は、2020年にZEB(net Zero Energy Building)関連技術実証棟「SUSTIE®(サスティエ)」を情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に竣工しました。
竣工後3年間の運用実績では、いずれもエネルギー収支プラスマイナスゼロ(創エネ>創エネ)となり、『ZEB』を達成しています。運用時には、独自に開発した事前計画型のZEB運用技術により、竣工直後から最適運転を行うことで設計値を上回る省エネ性を実現し、3年目は基準値に対して117%削減となりました。

「SUSTIE」外観写真

今回、6,000m2以上の中規模で、かつ太陽光パネルを建物上だけに設置した構成により、敷地面積に余裕がない都市部でも、快適で働きやすい環境を維持しながら、運用段階における『ZEB』を実現できることを示しており、今後もZEBのさらなる普及に貢献していきます。

  • 年間の一次エネルギー収支がゼロまたはマイナスの建築物。ZEBの定義における最高ランクの評価。
  • 建築物省エネ法で定められている消費エネルギー量の基準。地域や建物用途などの条件ごとに値が異なります。
年間の一次エネルギー消費量の収支

省エネ×快適性

各所の壁面緑化
青空照明を導入した会議室
食堂

「SUSTIE」では、省エネに加え、健康性や快適性についても追求しており、昼光や自然風を用いた開放感のある吹き抜け空間に加え、大面積の壁面緑化パネルを各所に設置。窓のない会議室では「青空照明 misola(みそら)」を導入することにより、閉塞感のある執務空間を明るく自然な光で照らすことで快適化。
さらに、外気導入や非接触ドアを採用し、健康に配慮したオフィスのあり方も提案しています。

(1)「SUSTIE」について詳しくはこちら
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/sustie/index.html

(2)ZEB 関連技術実証棟「SUSTIE」が 「第62回空気調和・衛生工学会賞 技術賞」を受賞(2024年5月13日広報発表)
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2024/0513.pdf

株式会社久永様 インタビュー

株式会社久永様は、2021年に「宮崎支店」とグループ会社である「久永情報マネジメント株式会社」様の新社屋建造に際して、ZEB Readyによる「BELS認証」を取得した。
今回、3棟目として、川内オフィスの新築工事においても、ZEBを導入され(ZEBランク:『ZEB』)を達成された。ZEB採用の理由や導入意義などについて、久永修平社長に伺いました。

導入ソリューションと効果

室内環境を快適に保ちながら、 ZEB化によって年間エネルギー収支のプラスマイナスゼロを目指すため、各種設備とBEMSを導入し、快適で省エネ性の高いオフィス環境を実現しています。

ソリューション
空調(室内機)/換気
LED照明
太陽光発電
BEMS、BELS認証表示
  • 空調(室内機/室外機/コントローラー)・換気・LED照明
    納入元:三菱電機住環境システムズ株式会社
  • BEMS (ビルエネルギーマネジメントシステム)
    納入元:三菱電機ビルソリューションズ株式会社
  • 太陽光発電
    納入元:三菱電機システムサービス株式会社
一次エネルギー消費量の削減効果

空調・照明等を高効率機器にすることで、大幅な省エネが可能!

  • 建築物省エネ法で定められている消費エネルギー量の基準。
  • 削減率は、再生可能エネルギーを加えた設計一次エネルギー消費量の基準一次エネルギー消費量からの削減率を指します。

対談出演者のご紹介 ※2024年3月時点

株式会社久永
代表取締役社長
久永修平 様
三菱電機株式会社
鹿児島営業所 所長
兵藤文彦
三菱電機株式会社
九州支社 事業推進部 企画課
荒川千那

株式会社久永様のご紹介

1919年に久永度量衡店として創業。測量器具の製造・販売から、OA機器、オフィス家具の販売を加え、現在は、建設DX事業、ビジネスDX事業、ビジネス空間ソリューション事業を柱に、お客様の事業の費生産性向上に資する幅広い分野のサービス、ソリューションを提供しています。

所在地
鹿児島県鹿児島市東開町5-11
URL
https://kk-hisanaga.co.jp

対談

経営と直結したSDGs
兵藤
今回の川内オフィスにおけるZEB導入は、宮崎支店やグループ会社・久永情報マネジメント株式会社様での効果を実感されたからでしょうか?
久永
もちろん、それは大きいですね。それぞれの新社屋がZEB Readyを取得して約2年経ちましたが、快適な環境で仕事ができると、社員には好評です。外気の暑さ・寒さに対して、室内の温度が一定に保たれているので、ロスナイの換気だけで、エアコンの使用頻度が少なくなり、電気代も50%削減できています。
もともと弊社が創立100周年を迎えるにあたり、持続可能な会社のあり方を考えていた時、SDGsの考え方と出会い、17項目全てが経営につながると感じました。これを経営のツールとして実行すれば持続可能な会社になり、会社も成長し、さらに、SDGsのパートナーを増やせば、地域も成長する、そういうストーリーを描くことができました。
兵藤
SDGs経営の発端ですね。
久永
SDGsの17項目に関して、当社の経営方針とリンクするゴールを事業に取り入れ、経営理念に沿った4つの目標として「人財育成と社員の健康」「環境配慮の事業活動」「価値ある製品・サービス」「社会貢献とイノベーション」を掲げました。これらを事業計画に落とし込み、実践していけば、会社は持続可能だと、そう考えたのです。
兵藤
経営とSDGsが直結していて、すべての行動が、そこにつながるということですね。
久永
"経営理念"と"SDGs"と"事業計画"は同軸にあるべきで、それを事業計画の中の取り組みの一つとしてSDGsを位置付けると、別物になってしまう。経営と直結することによって、会社全体で社員ひとりひとりが自分事として取り組むことができるのです。
企業価値につながるもの
久永
ZEBの導入は、「環境配慮の事業活動」の項目に紐づく取り組みと捉えており、カーボンニュートラル、太陽光発電、電気自動車(水素自動車)、ゴミ問題、リサイクルなど、環境配慮に関わることは常にアンテナを張りながら、できることはすべてやる、先手で進めるというのが、私たちのスタンスです。
荒川
そうした活動は、久永グループ全体のブランドイメージの向上にもつながっていると感じます。
久永
今の若い人たちは環境意識が高く、とても敏感です。就職活動でも、ホームページを見て、当社のSDGsに対する取り組みに共感して興味を持ち、会社を訪ねてくる。当社のオフィス環境は、カフェやホテルのラウンジ風の柔らかい雰囲気で、緑や樹木の温もりが感じられるので、心安らぐ環境を好む若い人に対しては絶大な訴求効果があります。
荒川
開放感に溢れていて、ストレスフリーな環境がすごく心地よく感じます。入社の動機がSDGsに根ざしているというのも、御社の魅力の一つとして、企業価値につながっていると思います。
久永
人材採用が難しい時代なので、こういうところで働きたいと思ってもらえる環境づくりは、特に意識しています。省エネというと我慢のイメージがありますが、ZEBは全くそんなことがない。ちょっと寒い、ちょっと暑いと感じた時は、エアコンを少しだけ入れると、すぐに快適な状態になります。断熱やロスナイの効果はもちろんですが、トータルなソリューションとして快適な環境が生み出されていて、そこが総合電機メーカーとしての御社の底力で、信頼につながるところだと思います。エネルギーを使わない建物にすることが、そのまま快適な職場環境に直結しているので、今後も、グループ各社、できるところから少しずつ取り組んでいきたいと考えています。建物を建てるのであれば、環境に配慮したZEBを選択するのは当然であり、むしろZEBにしておかなければ、10年後はまったく価値のない建物になってしまうでしょう。私からすれば、ZEBにしないのは不思議なくらい。企業活動をしている以上、環境配慮はコストと捉えるのではなく、投資と考えるべきで、地球環境が危機的な状況にある中で、企業経営に従事するものには、そこの意識転換が必要なのではないでしょうか。

—ありがとうございました。

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