ものづくり全体のIoT化、最適化へ向けて、FA-IT統合ソリューションで貢献する三菱電機。そこで核となる技術が「エッジコンピューティング」だ。
エッジコンピューティング活用が
実現するものづくりのIoT化
加速度的に進むIoT化の波は、製造業をはじめ様々な業界に大きな変化をもたらしている。あらゆる機器や設備がネットワークにつながれば、ものづくりの全体最適化に不可欠な膨大なデータを隅々にわたり、得ることができるようになる。一方で懸念されるのが、クラウドや上位システムへの負荷だ。IoT化の急激な成長に伴い、近い将来、データ通信量は従来の数十倍に増大し続けることが予想される。そこで要となるのが、エッジコンピューティングである。
「エッジコンピューティングとは、生産現場のデータをその場で分析し、必要な処理を素早く現場に反映できるというのが基本的なコンセプトです。これにより、リアルタイム性の向上、セキュリティの確保とともに、クラウドへ送るデータを必要最小限にまとめられるため、データ通信量の低減を実現します。とくに現場の改善を現場主体で実践しようと狙う日本の製造業にとって、非常に合った考え方だと思っています」と語るのは、三菱電機でFAシステム事業本部機器事業部長を務める三条寛和だ。
あらゆるニーズに対応する
三菱電機のFA-IT統合ソリューション
三菱電機は、エッジコンピューティングを核に、ものづくり全体のIoT化、最適化を実現するFA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」を提供してきた。「これまで培ってきたFA機器開発の技術力と、FAとITをつなぐ連携技術を最大限に駆使することで、生産面だけではなく、開発、生産、保守といったプロダクトライフサイクル全般のトータルコストの削減を実現します。さらに継続してご活用いただくことで、お客様のビジネスの価値向上、競争力の強化にもつながります」と三条。2003年より三菱電機名古屋製作所を筆頭に推進してきたe-F@ctoryは、今や自動車関連企業、電子部品企業を中心に、国内外問わず7700件以上の導入実績がある。
例えば、金沢村田製作所では、e-F@ctory導入に当たり、三菱電機のAI技術「Maisart」を応用したエッジコンピューティング製品を採用。これにより電子部品の歩留まりが向上し、月間約20時間、およそ100万~300万円のコストの削減を実現した。
「加えて、e-F@ctoryは大規模な新設工場から、小規模な既存ラインの特定部分の改善まで、あらゆる要望に対応できます。お客様のニーズに沿いながら、システムを革新するソリューションをご提案させていただきます。」(三条)
企業や産業の枠を超えた自由で
オープンな
プラットフォームの共同構築
さらに三菱電機は、日本初となるエッジコンピューティングのオープン・ソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」を提供するEdgecrossコンソーシアムに参画。Edgecross対応製品として、産業用PC「MELIPCシリーズ」、データ分析・診断ソフトウェア「リアルタイムデータアナライザ」などをリリースしている。これにより、アプリケーションベンダーや機器メーカーに依存しない、自由でオープンなシステム構築に貢献する。「今後もEdgecross対応製品の拡充を進めることで、日本だけでなく世界のお客様とともに競争力を高めてまいります。そしてお客様の持続的な成長をお手伝いすることで、我々三菱電機も持続的に成長していきたいです。」(三条)
2018年7月より秋葉原にオープンした「東日本FAソリューションセンター」では、三菱電機のFA機器の見学や、トレーニングスクールの受講ができる。実際に“見て、学び、試してみる”ことで、自社のIoT化や最適化に対する課題解決の糸口が見つかるかもしれない。
The voice of the person in charge
お客様の様々なニーズに
貢献できるソリューション
エッジコンピューティングの導入が必要なのは、大規模な生産現場だけではありません。そうした工場での導入効果は確かに高いですが、e-F@ctoryは新設や既設を問わず、小さな町工場の生産性向上や技術継承にも効果を発揮します。お客様それぞれのニーズに合わせたご提案が可能です。
三菱電機株式会社
FAシステム事業本部 機器事業部長
三条 寛和
2018年9月28日 日経BP社(日経ビジネス10月1日号)取材記事
※この記事は日経ビジネスオンラインSPECIALからの2次転載です。