もうすぐ6月、そろそろ梅雨入り。雨の日はお出かけして外食をするのをためらう人も多いだろう。しかし買い溜めをして、毎日自炊をすることは大変。たまには息抜きも大切。こんな時はフードデリバリーに頼りたい。
コロナ禍も相まって、フードデリバリーの文化は定着した。しかし日本のフードデリバリーは最近始まったものではない。なんと江戸時代から盛んだったそうだ。
江戸時代中期。江戸の町には「振り売り(棒手振り)」と呼ばれる商人たちがいた。うなぎや寿司、天ぷらなどを天秤棒で担ぎながら売り歩くサービスで、台所が狭かったり無かったりした長屋に住む人々から大きなニーズがあったと言う。
時は流れ電話が普及するようになると、飲食店へ直接電話をかけ注文ができるようになった。1985年には「ドミノ・ピザ」が東京・恵比寿に開店。店舗に飲食スペースを持たず、デリバリーに特化。創業から35年以上経つ現在は、日本全国900店舗、全世界で18,000店舗も展開するほどになった。
次は日本を飛び出し、世界のフードデリバリー文化を覗いてみよう。
まずはお隣・韓国。韓国では配達サービス全般を「ペダル」と言う。「早い、安い、気軽、種類の多さ」が特徴で、ちょっとしたおつまみもデリバリーするほどだ。また、返却する皿類は洗わなくて良い。深夜対応する店も多く、電話一本で気軽に夜食にありつけられるのは有難い。
韓国の地方では、コーヒーサービスのデリバリー文化もある。「タバン」と呼ばれる喫茶店では、風呂敷で包んだインスタントコーヒーを運び、出前先でコーヒーを淹れる。こちらも気軽に注文することが可能だ。
インド・ムンバイには面白いサービスがある。「ダッバーワーラー」と呼ばれる、19世紀ごろから今なお続く「弁当配達人」だ。インドは宗教上の理由で、人によって食べるものが異なる。そのため家庭で作った弁当を食べる人が多い。ダッバーワーラー達は、各家庭から弁当箱を集め、昼までに職場へ届ける。月額は日本円にして500~600円という驚きの安さで、5,000人ほどの配達人達が毎日約20万食を届けている。
世界各地で、それぞれの文化と共に定着しているフードデリバリー業界は、「Uber Eats」の登場で大きく様変わりしたと言えるだろう。
タクシー配車サービスで有名なUberが、2014年に米カルフォルニア州で始めたフードデリバリーに特化したサービスで、2016年には日本に上陸した。
Uber Eatsは、飲食店・配達人・注文者の3者が気軽に利用できるシステムを構築。飲食店は[注文受付-配達-集金]のトータルサポートにより、デリバリーサービスへ参入しやすくなった。配達人は、雇用されず個人事業主として配達を請け負うため、気軽に働きやすい。さらに注文者は、アプリから好きな料理を選び、自宅だけでなく公園などの好きな場所で受け取ることが可能。お花見で、出来立ての料理を食べることができるのだ。
Uber Eatsは、テクノロジーを取り入れている。例えば、注文者がアプリ上でオーダーを行うと、すぐに到着予想時間が表示される。待ち時間の最適化に高度なAI技術が使われているのだ。
そしてフードデリバリーは進化を続けている。「人が料理を運ぶ」という時代は、たちまち廃れてしまうかもしれない。美味しい料理をもっと気軽に。それを可能とするのは、ロボット達かもしれない。そんな時代がすぐそこまで来ている。