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アルキメデスから浅草十二階まで。人間は「上る」ことに貪欲だ!

社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column アルキメデスから浅草十二階まで。人間は「上る」ことに貪欲だ!社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column アルキメデスから浅草十二階まで。人間は「上る」ことに貪欲だ!

「なかなか来ないな…」とエレベーターホールで嘆いたことは、あなたもあるだろう。大きなビルにオフィスがあり出社をしている人は、出勤時や昼時、退社時間帯に乗り降りするのもかつては一苦労だった記憶があるのでは?だが、最近はどうだろうか。「エレベーターが来ない」とイライラする回数が減っているのではないだろうか。エレベーターの見た目は大きく変わっていないが、私たちが知らないところで、絶え間ない進化を続けている。

通称「浅草十二階」。1890年(明治23年)に開業した東京・浅草の観光タワー「凌雲閣」は木造れんが建て12階、一説には高さが50メートルを超えていたという。当時としては画期的な高層ビルだったが、目玉となったのが日本初の電動式エレベーターだ。

エレベーターは当時から役割は変わっていない。時代が変わろうが、箱形の乗り物が人やモノを主に垂直方向に運んできた。メーカーはモノをより効率よく、人をより快適に運ぼうと開発を重ねてきた。その結果、速さは目を見張るほどの進化を遂げている。

凌雲閣のエレベーターは1階から8階まで移動するのに約2分かかったが(停止階は1階と8階だけだった)、現在、横浜ランドマークタワーの日本最速のエレベーターは1階から69階の展望台まで40秒もかからずに到達する。それでも振動や風切り音を含めて乗り心地を優先し、加速を抑えているというから驚く。

時代とともに短くなったのはエレベーターに乗っている時間だけではない。私たちを悩ましてきた「待ち時間」も大幅に短縮している。
急いでいるのに、待てど暮らせどエレベーターが来ない。エレベーターホールでかご(エレベーター)がどの階にいるのか表示を見ながらヤキモキしたことは誰もが一度や二度はあるだろう。
エレベーターの待ち時間は30秒を越すとイライラする人が多く、1分が限界ともされる。1分以上になると待ち時間の2倍を待ったと感じるという試算もある。

近年は、かごの位置の表示を示さないビルが増えているが、これはイライラの増幅を防ぐためともいう。
というのも、複数台のエレベーターがあるオフィスビルなどでは、ボタンを押したとしても、必ずしもその階から最も近いかごが止まるとは限らないからだ。エレベーターはビル全体で考えて、長く待つ人を減らす運行になっている。時間帯などから待ち時間が最も長くなる状態を想定して、そうした事態を防ぐように運行パターンをエレベーター自身が決めている。
つまり、ボタンを押したところで、本来ならばすぐ乗れるのに素通りされている可能性もあるし、他の階に止まりそうだったかごが引き返してきて自分のフロアに止まる可能性もある。エレベーターは私たちが思っているよりも平等主義なのだ。

エレベーターの「音」も進化している。一部のエレベーターは上がり下がりで到着音を変えている。音を変えることで、利用者はわざわざ行き先を見て確認せず、音で気づける。もちろん、初めて使う人は気づかないだろうが、そのビルで働いている人やよく訪れる人は無意識に上下の音を学習する。これは認知心理学でも明らかになっている。

エレベーターの歴史は記録上は紀元前236年にまでさかのぼり、アルキメデスが考案した人の力でロープと滑車を操作する装置が起源といわれている。その頃からエレベーターの原理は大きく変わっていない。ただ、人やモノを安全に快適に運ぶための試行錯誤はこれまでみてきたように日夜重ねられている。運行システムや音など仕様の大きな変更だけでなく、時代ごとの細かなニーズも汲み取り反映している。それはコロナ禍でも変わらない。

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