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「スマホ脳」から30年後には「○○脳」になる?

社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 「スマホ脳」から30年後には「○○脳」になる?社会の課題を素早く読み解くヒント集 3min column 「スマホ脳」から30年後には「○○脳」になる?

「就活」や「婚活」、さらに「推し活」から「終活」まで、今やスマートフォン1台で何でもできる時代だ。仕事はもちろん、読書や勉強、買い物やゲーム、運動だって、スマホがなければ始まらない。デジタルデトックスといわれる“スマホ絶ち”、あなたはたった一日でもできる自信はありますか?

数年前、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)という本がベストセラーになったことを記憶している人もいるだろう。同書によると、私たちはスマホを10分に1回手に取り、1日平均2600回触っているという。スマホ画面を見ているスクリーンタイムは1日平均4時間に達するが、1日2時間を超えるとうつ病のリスクを高めると警告している。著者は精神科医。スマホを脇に置くだけで、集中力や記憶力が低下するというのだから恐ろしい。

スマホは悪者なのか? いや、もちろんスマホは人類の優れた発明品である。著者によれば、「人間の脳がデジタル社会に適応できていないこと」が問題なのだ。それだけこれまでのデジタル機器の進化のスピードは速かった。

総務省の「情報通信白書」によると、1993(平成5)年ごろまでは携帯電話をはじめとする移動通信サービスの“黎明期”に位置づけられる。そのころまで人気だったのがポケットベルで、若者を中心に火がつき社会現象となった。家や職場ではなく、外出先の個人と連絡が取れるようになったのは画期的だったが、ポケベルはまだ「受信機能のみ」の一方向コミュニケーションだった。

それから98年にかけて、携帯電話が普及に向け急速に立ち上がった。NTTは従来のアナログ方式に代わり、デジタル方式(第2世代)の携帯電話サービスを始めた。携帯電話は小型化と低価格化を背景に次第に広がり、リアルタイムの双方向コミュニケーションが一般化した。95年には当時の携帯電話よりも安価な料金でPHSがサービスを開始している。

その後、2008年ごろまでが「フィーチャーフォン全盛期」とされる。フィーチャーフォンとは、日本で独自の進化を遂げたいわゆる“ガラパゴスケータイ(ガラケー)”である。NTTドコモの「iモード」など携帯電話に対応したインターネット接続サービスが登場し、「おサイフケータイ」に代表されるさまざまなオンラインサービスが可能になり、カメラやゲーム、音楽やワンセグ視聴など多様な機能が搭載された。当時、世界最先端のケータイが確かに日本から生まれていたのだ。かつてのポケベルも、メールなど文字によるコミュニケーション文化を育んだといわれる。

それ以降が、現在のスマホの登場とその普及期に当たる。米アップルが初代iPhoneを発表したのが07年。その後のスマホの急成長と需要の拡大はここで述べるまでもないだろう。

この30年間で人の生活やコミュニケーションの形態はガラリと変わったが、人の身体や脳の機能は簡単には変わらない。そう考えると、急速なデジタル社会の進展により身体に不調和をきたしても、むしろ自然なことではないだろうか。例えば、スマホのアプリなどは脳に快楽物質を放出する「報酬系」の仕組みを用いており、脳にとって魅力的なことから人は簡単にはやめられず、脳に徐々に疲労をため込んでしまう。デジタル生活は適度にデトックスしつつ、上手に楽しむことが求められる。

これから30年後の2053年は、人類はどんなデジタルツールを手にしているのだろう。そのころには、人は「身体」「脳」「空間」「時間」のすべての制約から解き放たれているかもしれない。実際に、その世界を目指した国の研究プロジェクトも進んでいる。1人が10体以上のアバターを操り、人工知能(AI)やロボット技術で身体能力や認知能力、知覚能力をどんどん拡張させていくという。人類も衰退せず、着実に進化を遂げていることを信じたい。

記事内の「iPhone」は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。「iPhone」の商標は、アイホン(株)のライセンスに基づき使用されています。

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