働き方改革関連法の施行やコロナ禍によって、新たな就業管理システムへのニーズが高まっている。就業管理システム『ALIVE SOLUTION(アライブ・ソリューション)TA 就業システム(以下、ALIVE SOLUTION TA)』はそうしたニーズに応えるべく、特許を取得した「3点管理」、最新の法規にも対応した「遵法管理機能」などを搭載し、バージョンアップを重ねてきた。今回は同システムの特徴や使いこなし方を多角的に紹介する。
INDEX
いまこそ就業管理システムが
求められる3つの理由
2021年以降、就業管理システムへのニーズがますます高まっている。その理由は主に3つある。
1つ目は、働き方改革関連法の施行だ。2024年4月から自動車運転業務、建設事業、医師などにも「時間外労働の上限規制」が適用される。しかし、これらの業種では長時間労働や休日出勤がいまだ多く、勤務実態を把握するのは非常に困難だ。それでも、打刻から勤怠データを取得できる就業システムを使えば、労働時間を正確に把握でき、適切な注意喚起ができるだろう。
2つ目は、コロナ禍によるテレワークの普及だ。その影響について、三菱電機ITソリューションズ株式会社の営業担当者・蜂屋億人さんはこう話す。
蜂屋:コロナ禍以降にテレワークを導入したお客様は非常に多く、従業員の勤務状況を正確に把握したいという要望は増えています。また、近年はフレックスタイム制など、多様な働き方が認められるようになりました。従業員には大きなメリットがありますが、勤怠管理が複雑になり、労働時間や賃金の計算がとても大変だという声も耳にします。そうした課題を一挙に解決できる就業管理システムが求められているのです。
3つ目の理由が、「36協定(サブロク協定)(※)」をはじめとする規制だ。2019年4月には、36協定で定める時間外労働に「月45時間、年360時間」とする罰則付きの上限が定められた。また、労働基準法には「一定の条件を満たした従業員に年5日の年次有給休暇を取得させなければならない」という罰則付きの規制もある。こうした規制を守るためのシステム開発に取り組むシステムエンジニアの1人が、三菱電機ITソリューションズ株式会社の新井田一真さんだ。
※36協定:「時間外・休日労働に関する協定届」のこと。労働基準法第36条により、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働及び休日勤務などを命じる場合、労組などと書面による協定を結び労働基準監督署に届け出ることが義務付けられているため、一般的に「36協定」という名称で呼ばれている。
新井田:従業員が労働時間や休暇日数を勘違いすることはよくあります。一方で事業者側もそれに気づかず、結果として規制を守れない可能性があるのです。私たちが開発した就業管理システム『ALIVE SOLUTION TA』には、そうした勘違いや見落としを防ぐ機能を標準搭載しています。このシステムを利用することで、事業者側は特に意識しなくても、国の規制を守る、いわゆる遵法管理ができるのです。
ロングセラーの
就業管理システム
『ALIVE SOLUTION TA』は、従業員数300~5000名程度の企業を対象とした就業システムだ。
蜂屋:『ALIVE SOLUTION TA』がリリースされてから15年以上になりますが、その間に私たちは多くの企業から多様な社内ルールや各業種に特有の就業実態を学ばせていただきました。その中で蓄積したノウハウを反映しながら『ALIVE SOLUTION TA』はバージョンアップを重ね、幅広い企業に対応できるパッケージとなりました。
特許取得の「3点管理」で
勤務状況を正確に把握
就業管理の基本は、従業員の勤務時間を正確に把握することだ。『ALIVE SOLUTION TA』では「3点管理」という方法を用いて、勤務時間を正確かつリアルタイムに記録できる。
3点管理とは、次の3種類の時刻による管理のこと
①従業員が「自己申告」する始業・終業時刻
②「パソコンのログオン・ログオフ時刻」
③ゲート通過などの「入退室時刻」、もしくはタイムレコーダーで取得した時刻など
①の自己申告データと②③のうち、指定した2つの客観的データが自動的に記録される。
例えば、自己申告した時刻と、客観的に取得した時刻の差異が大きい場合、退勤申告後に仕事をしている可能性がある。そこで、一定以上の差異がある場合はアラートが表示され、従業員にはその理由の入力が求められる。管理者はその理由を見て、自己申告した時間が正しいかどうかを判断できる。
新井田:3点管理の時刻の取り方は、お客様の働き方に合わせて臨機応変に対応できます。リモートワークの場合は、ゲート通過時刻やタイムカード打刻のデータは取得できませんが、自己申告時刻とパソコンのログオン・ログオフ時刻、スマホでの打刻時刻が記録できるため、管理者側からは「チェックがしっかりできて安心」という声をいただいています。
苦労せずして法規を遵守
『ALIVE SOLUTION TA』のユーザーから最も評価が高いのが「遵法管理機能」だ。この機能を利用すると、36協定を超えていないか、時間外労働の状況はどうかなどをリアルタイムでチェックできる。
蜂屋:月末にひと月分の勤怠データの締め処理を行う企業もありますが、それでは36協定を超過していたのに数週間気づかなかったなどの問題が起こる可能性があります。しかし、『ALIVE SOLUTION TA』では勤務状況が即座にシステムに反映されるため、規定時間を超える前に労使双方が気づくことができ、法規や社内ルールを間違いなく遵守できるのです。
管理者にも従業員にも
分かりやすいシステム
『ALIVE SOLUTION TA』には、ほかにもさまざまな機能が搭載されている。その一例が「確認・注意喚起機能」だ。例えば、時間外労働の累計時間がリミットに近づくと、表示が黄色や赤に変わるので、従業員自身が勤務時間を調整しやすい。
確認・注意が必要な情報は管理者(上司)に共有されるため、部下に「今月は残業禁止」などの指示や負荷調整の判断をしやすい。
「承認機能」は、管理者にとって便利な機能だ。管理者の画面に表示されるのは、原則として承認可能な情報のみ。注意すべき部分は赤や黄色で表示される。そのため、管理者はチェック漏れを心配せず承認でき、ルール違反などを見落とすリスクが低い。
コロナ感染対策との連動も
新型コロナウイルス感染症の拡大以降に開発されたオプション機能が「顔認証・自動検温システム」だ。現在、多くの企業では入口での検温を行なっている。その際、顔認証によって個々の従業員を判別し、入退室時刻と検温データを関連づけて記録する。
新井田:万が一感染者が出た場合に、さかのぼって検温データを検証し、濃厚接触者をいち早く把握するとともに、感染拡大の防止につなげることができます。新型コロナウイルス感染症対策と経済活動を両立したいという要望を多くの企業からいただき、開発に着手してから約半年というスピードでリリースしました。
この機能は、広いフロアに大勢が集まっているオフィス、感染症対策にとくに気を遣う食品メーカーなど、幅広い企業で有用だ。
健全に働ける
職場作りに貢献したい
『ALIVE SOLUTUON TA』を有効に使うコツを聞いてみた。
新井田:『ALIVE SOLUTUON TA』は、設定できる項目が1000通り以上と豊富で、標準機能の範囲でかなり幅広い社内ルールに対応できます。ですから、まず標準機能の範囲で運用することをご検討いただき、『ALIVE SOLUTION TA』で行える勤怠管理に合わせて、社内ルールの調整や変更をお勧めします。その上で、不足する機能だけをアドオン開発をすることで、コストを抑えて効率のよい就業管理ができると思います。
蜂屋:働きすぎによって心身の健康を損なってしまうことがあります。そういったことが起こらないように、健全に働ける環境づくりにもぜひ役立てていただきたいです。このシステムをフル活用すればサービス残業をゼロにできるのではと思います。ちなみに私は有給休暇を毎年20日前後は消化しています。『ALIVE SOLUTION TA』の画面を見ながら、「この日は休めそうかな」「ここで長い休みを取ろうかな」などと計画するのが楽しみです。
『ALIVE SOLUTUON TA』を活用することで、事業者は法規に則った就業環境をつくり、従業員の健康を守ることができる。従業員は自分の働き方を調整しやすく、テレワーク中や外勤中も『ALIVE SOLUTUON TA』を介して勤務状況を上司と共有しやすい。このシステムを有効活用すれば、公平で多様な働き方をスムーズに実現できるかもしれない。