介護・福祉事務所の業務に必要なソフトやシステムをひとまとめにし、扱いやすくする福祉介護向けトータルソリューション「MERFARE(メルフェア)」。声でメモをとる、専用アプリで外部から日誌をつけられるようにするなどのサービスにより、現場スタッフの負担が大幅に軽減される。業務の効率化により、人手不足の解決に貢献するとの期待も高まる。
INDEX
- 「人手がほしい!」介護現場のピンチをICTが救う!? 前編
- 介護のICT化は18年前から
- 「MELFARE」がICT化を加速する
- 施設長・リーダーを悩ませるシフト管理がラクに
- 「声のメモ」で手書きの手間を大幅カット
- 訪問介護・訪問看護の移動時間をカット
- 手ぶらで入退室できる!
- 介護のICT化で働き方改革
「人手がほしい!」介護現場のピンチをICTが救う!? 前編
介護現場の人手不足が深刻化している。
介護事業所の6割が人手不足を実感(平成28年度「介護労働実態調査」より)。このままでは忙しさや労働環境の悪化からスタッフの離職を招き、さらに人手不足を加速させるかもしれない。そうなればサービスの低下や介護ミスによる事故にもつながる恐れがある。
現役世代の私たちにとっても、決しておろそかにできない問題だ。家族が、いずれは自分が介護される側になったとき、このままでは理想の介護サービスを受けられないかもしれないからだ。
実際に厚生労働省は、2020年代初頭には約25万人、2025年には約38万人が不足すると推計している。
介護のICT化は18年前から
こうした課題の解決策として期待されるのがICT化だ。
ICTとは「情報通信技術/Information and Communication Technology」のこと。従来使われていたIT(Information Technology/情報技術)という言葉に、ネットワーク通信による情報や知識の共有といったコミュニケーションの要素が加わった言葉だ。
実は介護の世界にはすでにICTが取り入れられている。そのきっかけとなったのが2000年にスタートした「介護保険制度」だ。介護事業所は電子請求やケアプランの電子化に着手。2014年にインターネット請求が始まったことで、2017年3月までに約5割の事業所がインターネット請求に切り替えている。意外なことに、数ある日本の産業のなかで介護業界はもっともICT化が進んでいる分野のひとつなのだ。
「MELFARE」がICT化を加速する
それではICTは人手不足解消にどのように貢献するのだろうか。
その一翼を担うことを期待されるのが、福祉介護向けトータルソリューション「MELFARE」(以下「メルフェア」)だ。「メルフェア」とは、介護・福祉事業所の業務に必要なソフトやシステムを組み合わせた総合的なITソリューションのこと。
仕事を効率化することで、人手が増えなくても現場の負担を軽くする。これが「メルフェア」導入の最大のメリットだ。ここからは「メルフェア」によるICT化がどのように介護現場を変えられるのか、具体的に見ていきたい。
施設長・リーダーを悩ませる
シフト管理がラクに
施設長・リーダーにとって大きな悩みのひとつが毎月のシフト作成。介護スタッフ1人1人について、それぞれの労働条件や希望休をもれなく反映しながら、シフト表の細かいマス目を埋めるのは非常に難しく、ストレスフルな作業だ。
もし、これまで手書きで何時間もかけてシフト作成をしていたのなら、「メルフェア」の「シフト管理システム」を採用してみる価値はある。あらかじめスタッフ全員のデータを入力しておけば、基本となるシフト案が自動的に作れるからだ。ダブルブッキングなどのミスも防げて、スタッフから「不公平」などの不満が出にくいのも特徴だ。
この「シフト管理システム」を導入したある施設(定員100人規模の介護老人保健施設)では、50名分のシフト作成時間が毎月約21時間から約8時間に激減。時給2000円で換算すると毎月約2万6000円コストダウンできた。
さらに、完成したシフト表を「就業システム『ALIVE SOLUTION TA』」と連動させれば、あらためて勤怠チェック表を手入力しなくて済む。パートのAさんは時給○円で何時間、正社員のBさんの残業時間は……といった手間のかかる給与計算もぐっと楽になるはずだ。
「声のメモ」で手書きの手間を大幅カット
介護スタッフはバイタルや食事、入浴の時間などのケア記録を手書きでメモして、あとで連絡帳や日誌に転記することが多い。他の人にも読みやすいようていねいに書くのは時間がかかるし、万が一書き間違いをすれば事故につながるリスクも否めない。ルーティンワークとはいえ、気をつかう大変な作業のひとつだ。
介護記録をICT化できればスタッフの負担は大幅に減るはず。それが進まない理由の一つに、スタッフにパソコンへの苦手意識がある。
この課題を解決できるのが、「メルフェア」に組み込める音声入力システム「Voice fun(以下「ボイスファン」)」だ。
例えば脈拍などバイタルをチェックするときは、スマートフォンやボイスレコーダーでデータを録音。介助中など、両手がふさがっているときや利用者から目が離せないときも声でメモがとれるため、かなりの時短になる。
録音した音声は、「ボイスファン」がそのままテキストにしてくれる。手書きでメモした場合も、マイクに向かって読み上げれば、自動的にテキストデータになるため、手で書き写すよりもラクだろう。
下のグラフは、キーボードに不慣れな人が10件分のレポートをデータ化する時間を比較したもの。キーボードでは3分以上かかるが、音声入力では作業時間が1分未満と、約3分の1まで短縮された。
訪問介護・訪問看護の移動時間をカット
ICT化は訪問サービスを担当するスタッフにも大きなメリットがある。これまではサービスの後、事業所に備え付けた記録表に記入するため、事業所に戻らなければならなかった。それが、訪問介護・看護専用のアプリを使えば出先でも記録を入力できるので、仕事からの直帰も可能になり、労働時間の短縮につながる。
また、手書きの記録は手元にあるときにしか見られないが、データ化しておけばタブレットやスマホですぐに記録を参照できる。訪問サービス中に何かトラブルがあったとき、事業所とリアルタイムでデータを共有できるという安心感も喜ばしい点だろう。
手ぶらで入退室できる!
介護施設のほとんどでバリアフリー化が進み、通行しやすくなっているが、内部に比べて出入り口を通過するのはどうしても一手間かかる。出入り口には安全のため、ほとんどの施設でオートロックを設置しているからだ。IDカード式の場合はカードを取り出す手間がかかるし、車椅子に乗っている人はカードリーダーに近づくのは大変だ。また、インターフォンの場合は呼び出しに応じるため、スタッフがつねに待機していなければならない。
この問題を解決できるのが、「ハンズフリー認証装置」だ。この装置は入退室管理システム「MELSAFETY(以下、「メルセーフティー」)」を介して「メルフェア」と連携できる。
ハンズフリー認証装置を使用する場合、利用者やスタッフはハンズフリータグを身につけていればいい。自動ドア近くに設置されたハンズフリーアンテナに近づくと自動で認証されてドアが開くという仕組みだ。
安全とともに、利用者の利便性も確保できる。これもICT化の大きなメリットだ。
介護のICT化で働き方改革
ICTによって仕事が効率化できれば、人手が増えなくても現場の負担は軽なり、離職者が減る可能性もある。介護業界の"働き方改革"は、ICTが実現してくれるかもしれない。
次回は介護事業者サイドから見たICT化のメリットを検証する。