東京駅前に竣工したばかりの超高層オフィスビル「常盤橋タワー」のトイレで、発売されたばかりのハンドドライヤー「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」の使い心地を体験した。さらに、三菱地所株式会社の同ビル開発責任者に、このハンドドライヤーを導入した経緯についてインタビュー。ビル管理者の知られざる気遣いと緻密な計算を公開する。
INDEX
- 明るく、軽やかな印象のエントランス
- 水が飛び散らず、素早くさっぱり
- ハンドドライヤー 選択の決め手は「安心感」
- ビルの省エネやメンテナンスに貢献
トイレでの手洗い後、手についた水分を吹き飛ばして乾燥させるハンドドライヤー。オフィスビルやショッピングモール、工場、病院、サービスエリアなどのトイレに欠かせない設備だ。新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた時期には運転を見合わせるところが多かったが、現在(2021年8月取材時)は、多くのオフィスで再稼働しているようだ。
2021年6月30日に東京駅の目の前に竣工したオフィスビル「常盤橋タワー」では、オフィスフロアのトイレに三菱電機製のハンドドライヤー「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」が120台導入された。就業者の安心・安全と快適性を考慮し、このモデルが選ばれたという。最先端のハンドドライヤーとは、どんなものなのか。完成したばかりのスタイリッシュなオフィスビルで体験した。
明るく、軽やかな印象のエントランス
JR東京駅から徒歩1分の場所にそびえたつ常盤橋タワー。地上38階、高さ212mと、この辺りでもっとも高いオフィスタワーだ(2021年8月時点)。
オフィスフロアへのエントランスは2階。柔らかな色調の木材がふんだんに使われ、ベンチなどにも多くの植栽があって、明るく開放的な雰囲気だ。
水が飛び散らず、素早くさっぱり
常盤橋タワーでは、地上38階のうちの30階分がオフィスとして使用される。各フロアには男性用と女性用のトイレがそれぞれ1か所ずつあり、左右両側に出入り口が設けられている。常盤橋タワーの開発を担当された三菱地所株式会社の岩崎哲也さんにご案内いただき、そのなかの一つに足を運んだ。
トイレに入ってすぐ、手洗い場の隣にハンドドライヤーが設置されていた。フロント部分の半円のライトがスタイリッシュな印象だ。
完成したばかりのこのフロアで、ハンドドライヤーを誰より早く使わせていただく。「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」は両サイドから手を入れて、手を上に引き抜くように使うのが正しい使い方らしい。早速濡れた手を入れてみると、熱すぎず冷たすぎない適温の風が吹き出し、手についた水滴が吹き飛ばされた。
横から手を入れ、上へと引き抜く。この動きを3、4回、10秒足らずで手が完全に乾いた。ハンドドライヤーの風が手首から指先まで満遍なくあたるので、手がすっきりする感じ。
最近は1日に何度も手洗いやアルコール消毒をするため、手肌が乾燥気味だ。あくまで個人的な感想だが、ハンドドライヤーを使い、短時間で手が乾けば、肌への負担が少なくてハンドクリームを塗る回数が減るかもしれない。
ハンドドライヤー 選択の決め手は「安心感」
三菱地所の岩崎さんに、オフィスフロアのトイレに「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」を導入した動機などについて伺った。
―― まず、常盤橋タワーのオフィスフロアの概要を紹介してください。
岩崎:オフィスフロアは全30フロア。全体で約8000人、1フロアあたり250〜260人ほどの就業者にお使いいただく予定です。竣工の段階で、オフィススペースの約9割がご成約済みで、徐々に入居が進んでいる状態です。
―― エントランスは明るくて、就業者やゲストを温かく迎えてくれるような印象でした。このカフェテリアもおしゃれな雰囲気で、居心地がとてもいいですね。
岩崎:ここは「MY Shokudo」といって、このビルの共用スペースの一つです。食事ができるのはもちろん、就業者のみなさんがコーヒーを飲みながら仕事をしたり、休憩や打ち合わせをしたり自由に使っていただけるスペースです。2021年8月18日には食事の提供が始まりました。レストラン業の方に運営をお願いしているので、料理やコーヒーのクオリティにも自信があります。
―― 仕事をしにくるのが楽しみになるスペースですね。さて、先ほど使わせていただいたハンドドライヤーについて教えてください。どういった経緯で常盤橋タワーへの導入が決まったのでしょうか。
岩崎:ハンドドライヤーはこういった大規模な施設に必要な設備です。ハンドドライヤーがあれば、手洗い後にさっと手を乾かせるので快適な上、濡れた手であちこち触る必要がありませんから衛生的です。ペーパータオルを設置した場合と比べて、周囲に水がポタポタ垂れることも減りますし、紙ゴミは出ず、コストも削減されますので、効率よく省エネにもつながります。
新型コロナウイルスの影響で一時、使用停止にはなりましたが、いずれは再開される見通しがあったため、ハンドドライヤーを設置しないという選択肢はありませんでした。その上でどういったものがよいかを検討していたときに「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」が発売されると聞きましたので、一斉導入を決断した次第です。
―― どのような点が、常盤橋タワーにふさわしいとお考えになったのですか?
岩崎:一言でいえば、「安心感」です。常盤橋タワーは、就業者のみなさんが安心して働ける環境づくりを重視しています。この観点からすると、衛生面に関してさまざまな配慮がある「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」には、ユーザーや入居企業に対して説得力があると考えました。
―― 「ココがいい」というよりも総合点で、ということでしょうか。
岩崎:そうですね。例えば、ボディ全面にウイルス抑制樹脂(リンク先ページ注記※8をご確認ください)が使用されている点や、水滴が飛散しにくいというのもユーザーにとって安心材料になるでしょう。コロナ禍が始まって以降、衛生環境への関心は確実に高まっています。オフィスを探されている企業の方々に対して、「このビルではこのように衛生に配慮しています」と具体的に示せる材料が多いほど、私たちの強みになります。ハンドドライヤーもその一つですね。
―― 「ジェットタオル スリムタイプ(衛生強化モデル)」には、設置空間の空気を循環清浄する機能が搭載されています。トイレの空気がきれいになるという点に期待はありましたか?
岩崎:トイレの臭気はビルの管理上、大きな課題の一つです。利用されている方は気づかないと思いますが、ビルではトイレの空気を相当強力に排気して、臭いを抑えています。このハンドドライヤーに搭載された空気の循環清浄機能を活用することで排気用ファンの運転を弱めることができるようになれば省エネにつながりますから、期待はありますね。
ビルの省エネやメンテナンスに貢献
岩崎さんのお話から、快適なトイレ環境の裏側には、オフィスビル運営者の目に見えぬ気遣いと鋭い経営戦略があることを初めて知った。これから、さまざまな場所でハンドドライヤーを使うたびに乾かしやすさやトイレの臭気などに注目したい。環境のよい建物にはきっと、快適なトイレがあるはずだ。