職る人たち—つかさどるひとたち—

これからの暮らしを彩る、
ものづくりの若い力

安藤商店・絵付け職人 河合 寛恵 安藤商店・貼り職人 浅野 絵理 × 三菱電機「ヘルスエアー® 機能」 搭載 循環ファン 設計者 袴田 浩之

#07 TSUKASADORU HITOTACHI

対談篇 後篇伝統も最先端も、目指すのは
心地よい暮らしと喜び

(対談篇 後篇)

お互いの話に興味深く耳を傾けながら、
ものづくりのさまざまな側面について3人の対談は続きます。

専門家が集い
壁を乗り越えていく

袴田さんが製品開発をする上で苦労したことは何ですか。

袴田

「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンは、開発当初から、コンパクトでありつつも、しっかりと風量を確保できることを目指して開発していました。それで、ある程度自信が持てる試作品がようやく完成したので風量を測ってみたのですが、全然足りなかったんです。かなりショックだったんですが、もう1回作り直してでも、なんとか最初に目指していた性能を確保しようと、試行錯誤を繰り返しました。

河合

自分ひとりで考え直すのでしょうか。それとも、他の技術者の方と話しながらでしょうか。

袴田

弊社には空気を送るファンを専門にする従業員もいまして、そういった人や先輩と一緒に、みんなでこの課題をどうしようかっていうのを練り上げてチームで解決していきます。

河合

それは私たちも一緒ですね。作業で悩んだ時にベテランの方や先輩に相談すると、すごく腑に落ちたりします。貼るとか、描くだけですけど、ほんとにちょっとしたコツっていうのはすごいなと思いますね。先人の知恵ですよね。

挑戦心とともに
効率を追い求めていく

袴田

先ほどの話ですと、日々、やはりどのように作業したら早くできるかとか、効率よくやるためにとか、色々研究をされているのだなと思いました。

河合

袴田さんのようにメカニカルで難しいことは何もしてないですけど、家紋はたまに見たこともないようなデザインのものに出会うこともあるので、よし、やってやろうみたいな気持ちになります。ちょっと変なこと言われた方が燃えるというか(笑)

袴田

チャレンジ!という感じなのですね。

河合

そうですね、袴田さんもたまに言われませんか?そんな無理難題言われても…とか、相反することを言われてしまった…とか。もっと小さくしてもっとパワフルにしてくれとか。

袴田

つくっていく中で、色々な関係部門が集まって審議などをします。この設計でいいのかとか、この評価が足りてないのではないか、とか。その中で、結構難しい課題というものも出てきますね。

河合

なかなか1回では解決しないですよね。

袴田

はい、何回も審議を行い課題を解決していきます。効率化という意味で似ていると思ったのは、製品を開発する時は二度手間にならないようにチェックリストで確認して進めたり、資料作りなどに無駄な作業がないかを考えたりしています。早く効率よく終わらせるのは自分のためでもあるし、会社のためでもあるので、そういうところはやはり日々変化というか、改善していきたいと同じように思っています。

浅野

新しい技術や考え方なども入ってくるわけですよね。それもどんどん取り入れながら、いいところを取って進化していくってことですよね。

袴田

そうですね。弊社には最先端の技術などを研究開発する「先端技術総合研究所」がありまして、そこで生まれた技術を製品に応用する「住環境研究開発センター」などもあります。私の所属する中津川製作所でそれらを製品化していきますが、それぞれが役割分担をしながら連携しているので、変化に合わせてスピーディーに製品開発できる強みはあると思います。

浅野

凄いですね。技術を進化させて、より良いものを生み出していくという。

袴田

この製品でいえば、ファンの担当部門は日々、運転音をさらに小さくしていくために、流体解析を用いて突き詰めています。ファンのちょっとした形状や隙間を変えるだけで、本当に音が変わるので。

浅野

ファンだけを追求する世界!驚きました。

袴田

安藤商店さんで、それぞれの専門の方が技術を追求されているのと同じように、弊社でもそれぞれの専門の人間が日々試行錯誤をしています。

つくったものが
つかわれていく幸せ

ものづくりをする中で、みなさんはどのような時にやりがいを感じますか。

河合

家紋には色々な形のものがありますが、やはり綺麗に早く塗れた時には、いい仕事ができたなという自己満足がありますね。あとは、出来上がったものを受け取った人が喜んでくれると想像できた時です。現代でもこんな特別な仕事に携われている、昔の人の仕事と肩を並べるじゃないですけど、そんな仕事なかなか無いし面白いなと思いながらやっています。

浅野

私も似ていますが、何十年も前のものを修理して欲しいというご依頼があった時に、今まで大切にされていたものを今後も大切にしていただけるように、自分がそこに携われているのはすごく嬉しいことだなと思います。その歴史を繋げていけるというか。伝統工芸の職人が減ってきている時代に、その仕事で自分がお客様に喜んでいただけることは何よりも嬉しいですね。

袴田

お客様に喜んでもらえるという点は自分も同じですし、世の中への貢献感、そして達成感が得られたときは、やりがいを感じます。貢献感で言いますと、この製品は一般的な店舗などでもお使い頂いていますので、自分が食事に行ってふと見上げた時に、自分が携わった製品を見つけた時は嬉しいですね。達成感については、課題に対してみんなで協力して解決した時です。そういった貢献感、達成感を得られた時にやりがいを感じます。

現代の生活様式に合わせた
ものづくりをしていく

お客様に喜んでいただくために
これからも進化していく

最後に、今回の対談での気づきや感想をお聞かせください。

河合

私たちは昔ながらのこと、袴田さんは最先端のことを手掛けていますが、お客様が快適に心地よく過ごす時間や空間を演出するという意味では、一緒なのかなと思いました。それと、課題を見つけた時の解決方法や、お客様に喜んでもらいたいという想いも共通していますね。

浅野

やはりお客様に喜んでいただける、現代の生活様式に合わせたものづくりをしていくところが同じだなと思いました。雪洞や提灯も昔からある形のものですが、今の時代に合わせてサイズが小さく形がスマートになっています。

袴田

つくるものは違っていても、お客様にお使いいただいて喜んでいただけるものを目指すことが大事だと改めて思いました。雪洞や提灯は0のものから、より快適な空間を演出するもので、「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファンはどちらかというと、例えば空気が汚れてしまったとか、マイナス的なものを0に持っていくようなイメージの製品ですが、どちらも人が快適に暮らせるように、プラスにしていく、改善して快適にしていくという点で、共通すると思いました。

あと、屋外で使う提灯には耐湿・耐水のものを使われるというお話がありましたが、我々も用途に合わせて、例えば樹脂ひとつとっても、薬品に強いものなど、使うシーンに応じて最適な材料や部品を選定します。同じものづくりとして、その材料選定なども含めて考えていることに共感しました。

本日はどうもありがとうございました。

柔らかな光を解き放つ提灯、雪洞。清潔な空気を送り出す「ヘルスエアー®機能」搭載 循環ファン。
どちらも人の暮らしにそっと寄り添いながら、快適で心地よいひとときを演出してくれます。
伝統と最先端の根底で響き合う、ものづくりへの思いはこれからも新しい価値と喜びを私たちにもたらしてくれることでしょう。