一年を通して最も華やかな星々で彩られる冬の星空。
金砂、銀砂をまき散らしたような星空を見上げながら神話に思いをはせると、夜空はまるでシアターのようです。
季節によっても星空は、様々な変化が見られます。
そこで、今回は2016年に楽しめる天文現象をご紹介しましょう。
皆既日食と部分日食
3月9日、東南アジアの島々などで皆既日食と部分日食が起こります。皆既日食が見られるのは、スマトラ島からボルネオ島、スラウェシ島を通る細長い帯状の地域。そのほかの地域では部分日食になります。
日本では北海道から沖縄まで全国で部分日食を見ることができます。太陽の欠け方は小笠原や沖縄で大きく、北海道では小さくなります。食分*が0.258の東京では、欠け始めは10時12分、食の最大は11時08分で、12時05分に食が終わります。部分日食でも太陽の光はとても強烈です。必ず日食用のサングラスなどを使用してご覧ください。
*食分…太陽の視直径を1とした場合、日食時に太陽がどれだけ月によって隠されたかを小数点を含めた数字で表したもの
火星が接近
地球のすぐ外側を回る火星は、地球と火星の公転軌道の関係で2年2か月ごとに小接近を繰り返しながら、15年、または17年に大接近をいたします。今回は2018年に起きる大接近の序章ともいえる中接近です。火星の最接近は5月31日で、-2等級の明るさで初夏の空にギラギラ輝きます。小型の望遠鏡を向ければ、赤い火星の表面に淡い模様を見ることができます。
今年の火星はてんびん座、さそり座付近に見えます。さそり座のアンタレスは「火星に対抗するもの」という意味の赤色の1等星です。火星と赤さを競うように見えるところから、この名が付いています。火星とアンタレスの色を見比べてみるチャンスです。
ペルセウス座流星群
7月から8月にかけて流星がたくさん飛びます。7月28日のみずがめ座δ(デルタ)南流星群、7月30日のやぎ座α(アルファ)流星群、8月12日〜13日のペルセウス座流星群、そして8月18日のはくちょう座κ(カッパ)流星群などです。
中でもペルセウス座流星群は、1月のしぶんぎ座流星群、12月のふたご座流星群とともに三大流星群と呼ばれる素晴らしい流星群です。8月12日は月齢9の少し太った半月が夜空にかかりますが、22時ごろには沈んでしまうため最良の条件で流星を眺めることができます。ペルセウス座が北東の地平線上に姿を現すのも22時ごろ。今年も1時間あたり60個の流星が飛ぶと予想され、夜半以降たっぷり楽しむことができます。
スーパームーン
月を眺める季節といえば、陰暦8月15日の中秋の名月(今年は9月15日)や、陰暦9月13日の十三夜(今年は10月13日)を思い浮かべます。満月前後の月はことさら美しく感じますが、最近では「スーパームーン」といって、いつもより大きく見える満月(または新月)が注目されています。
今年のスーパームーンは11月14日。地球から月までの平均距離は38万4400キロですが、地球を回る月の軌道は楕円のため、約35万7000キロから約40万6000キロまで変化します。11月14日の月までの距離は35万6511キロ。このときの満月は一番遠くの距離にある満月より14パーセント大きく、30パーセントも明るく輝きます。
都会でも星がよく見える日があります。雨上がりの夜や、風でスモッグが吹き払われた時が星空観測のチャンスです。懐中電灯のほかに双眼鏡、星座早見盤、星座ガイドブックなどがあると、観察の幅が広がります。
観察場所は、河川敷や小高い丘など、街明かりの少ない場所が向いています。グループで行動することをお勧めしますが、一人で観察されるときは、自宅の部屋の明かりを消して夜空を見上げてみるのもよいでしょう。目が慣れてくると、思いのほか星が見えてきます。
星空撮影に興味ある人は、カメラを三脚に取り付けてシャッターを切ってみましょう。撮影場所が明るい所と暗い所では撮影条件が異なります。明るい所ではF2.8〜4のレンズにISO400で露出は数秒から10秒ほど。一方暗い所ではF2.8〜4のレンズにISO800〜1600で露出は10〜30秒になります。「さそり座の火星」や「ペルセウス座流星群」はこの方法で撮影できます。何コマか試し撮りをして適正露出をつかんでください。
最近では星空が簡単に写せる機能が付いたデジタルカメラを見かけるようになりました。トライしてみてはいかがでしょうか。