保護猫カフェに行ってみよう!保護猫カフェに行ってみよう!

本取材の際には、入念な感染対策を行いました。
外出の際は、くれぐれも感染予防を心がけましょう。

保護猫カフェとは、さまざまな事情から孤児となった猫たちと直に触れ合えるだけでなく、
家族として迎え入れられる施設のこと。
猫に居場所を提供し、新たな飼い主との接点となることで、猫の殺処分の削減に貢献しています。
今回は、都内で保護猫カフェ「駒猫」を経営する吉田清美さんにお話を伺いました。
ペットとの新たな出会いの場に、保護猫カフェを加えてみませんか?

保護猫たちのバックグラウンドはさまざま 保護猫たちのバックグラウンドはさまざま

猫が保護される理由は多岐に渡ります。災害、飼い主による遺棄などのほか、特に問題視されているのが多頭飼育崩壊です。猫は繁殖能力が高いため、避妊去勢を怠ると頭数があっという間に増え、飼い主の手には負えなくなります。猫を飼うなら、責任を持って適切な医療処置を施すこと。これは飼い主に課せられた義務のひとつです。

猫の保護活動は、愛護団体と保護猫カフェとの連携によって成り立っています。愛護団体が猫を保護し、ワクチン接種やウイルス検査、血液検査などを行った後、受け入れ先となるのが保護猫カフェです。ここでは猫に生活空間を与え、新たな飼い主への橋渡しを行います。

癒やし空間と命のシェルター。ふたつの顔を持つ保護猫カフェ 癒やし空間と命のシェルター。ふたつの顔を持つ保護猫カフェ

保護猫カフェのメニューはお店によって異なりますが、共通するのは猫との触れ合いの場であるとともに、里親の募集を行っていること。所定の手続きを経れば、気に入った猫を家族として迎えることができます。一般的な猫カフェに比べると雑種が多く、猫たちの顔ぶれの入れ替わりが頻繁なのも特徴です。足を運ぶたびに新たな出会いに恵まれます。

「猫は飼えないけれど、保護猫のために役に立ちたい」という方は、お店を訪れ、癒やしのひとときを過ごしてください。里親になる以外にも支援の手段はあるのです。利用料金は、施設の運営費などに充てられ、猫たちの生活を守る手助けになります。寄付や支援金を募っている施設も数多くあります。

ルールとマナーを守って過ごそう ルールとマナーを守って過ごそう

保護猫カフェで過ごす際の注意点を押さえておきましょう。まず入店時には、衛生管理のためにもストッキングや靴下を履くこと。絶対にしてはいけないのが、猫を追いかける、叩く、しっぽをつかむ、大声を上げる、寝ている猫を無理に起こすといった、猫の嫌がる行為です。なかには小学生以下のお子さんの入店をお断りしているカフェもあります。優しく抱っこするのは構いませんが、猫がすり抜けたり飛び降りたりしたら、無理に触れるのは控えましょう。猫は揺れるものや光るものに飛びかかることがあるため、大ぶりのピアスなどのアクセサリーは外しておいたほうが安全です。写真撮影の際にはフラッシュをオフにすることも忘れずに。

猫と触れ合うときの基本は「受け身」 猫と触れ合うときの基本は「受け身」

人間からスキンシップをし過ぎず、「受け身」の姿勢で猫と接する。これが猫と触れ合う際の基本です。猫の方から近寄ってきたら、まずは指1本をそっと猫の顔に近づけます。指の匂いをくんくんと嗅いでくれたら、最初の挨拶は大成功。様子を見ながら、そっと撫でてあげるといいでしょう。どこを触ったらいいか分からないときは、まずは喉元や顎の下あたりを試してみてください。ほかにも撫でられると喜ばれやすいのが頭と背中。ゴロゴロと喉を鳴らす仕草が、リラックスしている証拠です。一方、脚の付け根やしっぽの付け根、お腹などは敏感な部分のため、撫でるときには要注意。全身をくねらせて喜んだり、せがんだりすることもあれば、嫌がることもあります。警戒したり逃げだした場合は、無理に触ってはいけません。

1歳未満の子猫はおもちゃが大好き。人間がおもちゃを振れば、子猫のほうから勢いよく近づいてくるはずです。ただし、生まれて半年前後の子猫は、遊ばせ過ぎると過呼吸になることもあるので、休ませながら触れ合いましょう。

保護猫を迎え入れる 保護猫を迎え入れる

保護猫カフェで出会った猫と一緒に暮らしたい。そう思ったら、里親として名乗りをあげませんか? 譲渡にあたっての基本的な条件はお店によって異なりますが、駒猫の場合は主に3つです。まず、ペットが飼育できる住居にお住まいであること。次に、里親の年齢が原則として60歳以下であること。3つ目に、最低2回は来店して猫と触れ合っていることです。このほかにも、猫の月齢や性格に応じて条件が加わることもあります。里親になりたい旨をお店のスタッフに伝えたら、案内に従って必要書類の提出や面談などを行います。疑問や不安に思ったことは気軽に尋ねましょう。スタッフと二人三脚で、猫を家族として迎える体制を整えていきます。

トライアルを経て新しい家族に トライアルを経て新しい家族に

譲渡の直前には、猫と一定期間をともに暮らすトライアルがあります。一般的に1〜2週間のことがほとんどですが、警戒心が強い猫の場合や譲渡先に先住猫がいる場合は、もう少し時間をかけて相性をしっかり見極めることも。トライアルの際に、譲渡金のほか手術代や血液検査代、ワクチン代などの支払い(※)も必要です。晴れて譲渡が決定したら、猫を正式に家族として迎え入れます。
トライアルの結果、万が一譲渡が見送りとなった場合は全額返金されます。

譲渡後の心構えとして覚えておきたいのは、猫の反応に一喜一憂しないこと。猫だって環境が変われば不安なものです。1カ月ほどは夜鳴きし続けることも珍しくはありません。新しい生活環境に慣れるにつれて、自然に収まるのでご安心ください。「相性が合わない!」と焦るのではなく、慣れるまでじっくりと見守る姿勢が大切です。

2022.05.10

吉田清美(よしだ・きよみ)さん

保護猫カフェ駒猫 代表
ペットシッターやドッグホテルでの勤務を通じて動物保護の知見を蓄えた後、都内の保護猫カフェでのボランティア活動を経て独立。2018年より保護猫カフェ駒猫を開業。「多くのお客様に、気軽にお店に足を運んで猫と触れ合っていただきたい」と語る吉田さん。保護された猫たちが新しい家族に迎えられ、幸せに暮らす姿を見る喜びが活動の原動力です。

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