- トップページ
- 個人のお客様
- 三菱電機 CME(CLUB MITSUBISHI ELECTRIC)
- 暮らし・趣味
- 暮らしのコラム
- 健康な歯で、気持ちよい毎日を。
毎日の歯磨きを、何となく、慣れた手順で済ませていませんか?
「年齢を重ねるほど、セルフケアの差が口の中に出てきます」と教えてくれたのは、
東京都江戸川区にある宝田歯科の宝田恭子先生。
「磨いたつもり」で終わらず歯の健康をしっかり保つために、大人世代が気を付けたい歯磨きのポイントを先生に伺いました。
歯の病気や口内のトラブルは年齢とともに増加しますが、高校生まではその数がとても少なく、歯周病になる割合も5%以下。ひとつの理由として、彼らは1日のうちで口に物を入れる回数が少ないからだと考えられています。規律ある学校生活の中では、給食以外で食べる機会はほとんどありません。授業後も部活動や塾などがあれば、夕食まで物を食べずに過ごすことになります。
一方で、仕事中や家事の合間に、ついつい間食してしまう大人は多いと思います。しかし、頻繁に口に物を入れるのは、口腔内の菌にたくさんエサを与えているということなのです。
口の中を「誰にも見えない自分の部屋」と考えてみましょう。ひどく散らかっている部屋だと、少し片付けたぐらいではきれいになりません。口の中も同じこと。間食以外でも、歯並びがあまり良くなかったり、歯医者に行っていなかったりといった要因で、口の中が「ひどく散らかった状態」になると……当然、掃除も大変になってしまいます。日頃の意識、生活習慣が大切だという前提を忘れないでくださいね。その上で、具体的なケアのコツをご紹介しましょう。
歯の形や生え方によって、口の中の環境は人それぞれ。歯ブラシだけでなく、自分の歯並びや口腔内の状況に応じて、ツールを使い分けることが大切です。
代表的な補助ツールが、デンタルフロスと歯間ブラシです。前者は歯周病ではない若い人にも使ってほしいものですが、後者は加齢で歯茎が下がってきた方に有効です。「ここ、食べ物が詰まりやすくなってきたな」と感じるようになるのは、歯茎が下がることで、歯の根の間が広がってしまうから。そこはカスがたまりやすくなりますので、歯間ブラシでしっかり掃除しましょう。コツはゆっくり丁寧に、歯茎を傷つけないようにやさしく磨くこと。サイズもいろいろ用意されているので、自分に合ったものを選んでください。
毎回の歯磨きで歯間ケアをやるのは難しくても、夕食の後や就寝前など、1日1回はしっかり時間をとって行いましょう。
現在の歯磨き粉は、ホワイトニング、虫歯予防、歯周病予防など、さまざまな効果の違いがあります。大切なのは自分の症状・悩みに合ったものを選ぶこと。だから「家族で1本」は好ましくありません。何の問題もない子どもと歯茎の腫れた親が、同じ歯磨き粉でいいはずがないのです。「マイ歯ブラシ」だけでなく、「マイ歯磨き粉」も心がけましょう。
効能や成分はパッケージに表示してあるので、歯医者さんとも相談しながら選ぶといいですね。つけすぎると泡立ちや味で満足してしまい、やった気になってしまう人も多いので、適正量を守ることもポイントです。
歯ブラシはペングリップで軽く握り、当てる角度は、歯と歯茎の溝を狙って45度に。下あごの左表から右に向かって順に進み、表が終わったら裏へ。それを上あごでも繰り返します。スタート地点を決めて順番に磨くのが大切です。歯石がつきやすい上の奥歯や、前歯の裏も念入りに。舌で感触を確かめて、ぬるっとしているところがあったらそこはもう一度。つるつるになるまで丁寧に仕上げましょう。
食事のたびにすぐ磨くのが理想。私の周りには、ポーチに歯磨きセットを入れて持ち歩く人も多いです。歯磨きが難しければ手持ちのコットンで拭ったり、しっかりうがいをしたり、とにかく歯の間や表面にものを残しておかないよう心がけてください。
使ったお皿を洗わずに食器棚に戻すなんて、気持ち悪くてできませんよね。口の中に食べかすが残ったままにしておくのは、それと同じようなこと。とにかく大切なのは「意識」です。
当院のとある患者さんが骨折して入院したとき、「病院ではいつも通りの歯磨きができなくてつらかった」とおっしゃっていました。家族に真っ先に差し入れてもらったものが、歯磨きセットだったとか。
近年、災害時の避難所等での大きな課題として、口腔ケアが挙げられるようになりました。水を満足に使えない環境では歯磨き自体がままならず、心身に悪影響を及ぼすからです。だから、当たり前に、思うままに、自分の好きな歯ブラシで歯磨きができるのは、実はとても幸せなこと。面倒だと思わずに、ぜひその幸せを享受してくださいね。
2024.07.01
宝田恭子さん
宝田歯科
宝田歯科は、東京・江戸川区の小岩駅からほど近い歯科医院です。「歯磨きすれば、自分に自信が持てます。きれいな部屋にはいつでも『さあどうぞ』と人を招き入れられるのと同じことです」と院長の宝田恭子先生。従来の治療に加えて、美容やアンチエイジングに関する発信や動画配信にも力を入れています。