「みつびしでんき野外教室」とは
「みつびしでんき野外教室」は身近なフィールドで、参加者とリーダーとなる社員とが、共に自然を体感するもので、自然共生社会の実現に向けた「環境マインドの育成」の施策です。
自然保護のために何が必要なのかを自ら考え、行動するために
三菱電機グループが目指しているのは、「自然保護のために何が必要なのかを考え、自ら行動する人」、つまり環境マインドを持った人の育成です。自然に親しむことで、人間が自然に与える影響に気づき、自然保護への意識が高まり、環境への負荷を減らそうという行動につながっていくと考えています(下図)。私たちが事業を継続するには生物多様性の恩恵が不可欠です。一方、日々、様々な資源の利用や化学物質・廃棄物の排出などによって生態系に負担をかけています。それを意識し、水・大気・土壌への負荷を低減し、製品を通じて負荷の低減と改善に貢献していく必要があります。
環境マインドの礎は「五感をフルに使った自然体験」によって深く、太く養われます。野外教室は、自然体験を通じて、社員も、その家族も、地域の皆様も一緒になってエコロジー(生きもの同士のかかわり)を共に発見するための取組みです。自然保護は三菱電機グループだけでできるものではないからこそ、様々な人々と環境マインドを共有することが大切です。2006年10月にスタートした野外教室は、社会・環境貢献、地域コミュニケーションの場としての役割も果たしています。
「みつびしでんき野外教室」の特長
プログラムの企画・運営を社員が担当
野外教室の開催で大切にしているのは社員の“手づくり”ということ。「野外教室リーダー養成講座」を受講したグループ社員がプログラムを企画し、「野外教室リーダー」を務めます。フィールドの選定、自然体験の方法、開催時期(季節)はリーダー次第。養成講座を通じて得た感動や発見を活かし、創意工夫して思い思いに企画を練り上げていきます。また、参加者により深い感動を味わってほしいという思いから、地域の有識者やNPOなどの協力も得ています。リーダーが増えるたび野外教室のバリエーションも広がっていきます。
事業所近隣のフィールドが「教室」
野外教室の開催場所は、山、森、公園、海、川、田んぼ、牧場など様々です。全国に広がる野外教室リーダーたちは、身近な自然をフィールドに、時には事業所構内を活用して教室を開催します。棲む生きものも、生えている草木も、音も匂いも場所によって多様な表情を見せます。子どもも大人も五感をフル活用して自然の営みを感じ、発見できる様々な体験の場を提供しています。
コロナ禍でも活動を継続「生きものみっけ」
参加者が集まっての活動が制限される中、2020年度は、中止となった野外教室の代わりに、親子で楽しみながら生きものをみつける夏休み企画「生きものみっけ」を実施しました。参加を希望する親子に、夏に全国で見られる生きもの30種が記されたチェックシートを配布し、家の周辺や出先で生きものを探してもらいました。
みつびしでんき野外教室の特長
自然の循環を学ぶ
五感を使って自然を体験する
第9次環境計画(2018~2020年度)の
目標と2020年度の成果
第9次環境計画(2018~2020年度)では、「みつびしでんき野外教室」「里山保全プロジェクト」の2020年度末時点での累計参加者数を2018年3月時点から12,000人増の51,000人以上とすることを目標としました。2019年度までは47,808人と順調に推移しましたが、2020年度は、コロナ禍で、集合しての活動を見合わせざるを得ない地区もあり、第9次環境計画での実績は累計48,872人となりました。
2021年度は新型コロナウイルス感染症拡大への対策を十分に講じた上で、国内の全事業所(39地区)で実施する予定です。今後も里山保全活動とみつびしでんき野外教室の一体化による地域交流・貢献に取り組んでいきます。
野外教室に参加して、
考えと行動がエコチェンジ!
親として、生活者として。
仕事以外でも環境のために
何ができるか考えるようになりました。
「こんなにたくさんの生きものがいるのか」。それが、兵庫県・芦屋川での水生生物観察での驚きでした。親子で参加したのですが、自分も童心に帰り、もう夢中になって生きものを探しました。レッドリストに載るような動植物は遠い存在に感じるものですが、これだけ多種多様な生きものを目の当たりにして、命の連鎖の中で希少な生きものも維持されているんだと合点がいきました。
次の年には、香川県・讃岐広島での野外教室に参加。ここではプログラムの一環としてプラスチックごみを収集し、その多さに愕然としました。調べたところ、日本の海岸には年間で東京ドーム2分の1杯分ものごみが漂着するのだとか。一千万人がかりでも、一人19kgを片付ける必要があるんです。野外教室のプログラムはたくさんあり、気づきや考えさせられることが多く、参加してよかったと思っています。
私の仕事は、ガス絶縁開閉装置という機器の開発設計です。環境へのインパクトが大きい機器であるため、仕事を通じて常に環境のことを意識してきました。野外教室への参加を機に、子どもたちも自然や環境についてより関心を持つようになったことは大きな喜びです。最近は釣りに夢中で、「きょうは大潮だからきっと釣れるね」などと潮回りのことも気にしている様子。初めて行った天文台では、澄み切った満天の星空を見上げて感嘆の声を上げていました。今後はキャンプなどにも出かけ、一緒に、より一層自然に親しんでいきたいと思っています。子どもの環境への興味を育てる一方で、例えばごみ問題への対処では「みんなを動かす」ために何ができるか、といったことも考えていきたいですね。
受配電システム製作所
受配電システム部 C-GIS設計課
釣本 崇夫
子どもたちが、
「虫が好き」から一歩進んで生態系に
関心を抱くようになりました。
我が家は全員自然や虫が大好きで、子どもたちは虫を見つけるとインターネットで調べています。「この虫はどんな虫なのかな」と思って検索すると、次々と興味を誘う情報が出てきて知識もどんどん広がります。そんな子どもたちを見ていて、私としては、実際に「目で見る」「触れる」機会をもっと増やしたいと思っていました。それが親子で野外教室に参加した動機でした。
やはり実体験に勝るものはなく、野外教室に参加して以降、子どもたちは大きく変わりました。それまでは捕まえることで満たしていた虫への好奇心がグンと膨らんだようで、虫を飼育するようになりました。夏休みの自由研究のテーマにもなったほど。虫の飼育を通じて生態系への興味もどんどん増しています。虫の世話を一緒にするのも楽しいですし、そうした成長を見られるのもうれしいですね。「野外教室には、子どもを変える力があるんだ」と思いました。
私自身のことで言うと、野外教室に参加したことで、「自然を、生態系を守りたい」「子どもたちの世代に、豊かな環境を引き継ぎたい」という思いが、一層強くなりました。家庭では、夫婦で電気製品のこまめなオフを心掛け、洗車用の洗剤も環境への影響が少ないものをしっかりと吟味。業務では、生産性を高めれば省エネや省資源になるという考えから、生産技術の改善に取り組んでいます。
高周波光デバイス製作所
製造管理部 生産技術課
渡邉 修
「生きものみっけ」を使って、
子供たちとさまざまな生きものを
見つける喜びを共有しました。
今年は新型コロナウィルスの影響で外出もままならず、フラストレーションを溜めていた子供たち。そんな時に「生きものみっけ※」のお知らせを受け、「これだ!」と思い、参加しました。
子供も私も、これまで名前を知らなかった昆虫や鳥を見つけては、「こんなところにいるんだ!」という発見と共に、徐々に埋まっていく「生きものみっけシート」に大喜び。さらに、レアに設定されていた「クマゼミ」を見つけた時に、子供たちのテンションはマックスに。遠方に出かけた際も、興奮して目覚めた子供と朝から昆虫探し。そのおかげで念願のセミの羽化を発見することができました。生きものみっけを通じて、全40種中、33種見つけることができましたが、子供たちも私も、意外なほど身近に生きものがたくさんいることに気づきました。「セミはなぜ鳴くのか? どこから音が出ているのか? オスとメスの見分け方は?」と自然と湧いてきた疑問に悩む姿や、捕まえた昆虫を元の場所にやさしく戻してあげる姿をみて子供たちの成長も感じることができました。
これを機に、子供たちには生きものに興味を持ち、生きものを大切にする心を育んでいって欲しいと願っています。
先端技術総合研究所
環境システム技術部 水質制御G
栗原 幸大
※生きものみっけ:新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となった「みつびしでんき野外教室」の代替として、親子で楽しみながらチェックシートの生き物をみつける企画