2024年02月号
特集 「カーボンニュートラル,サーキュラーエコノミー」
- 巻頭言
- カーボンニュートラル社会の実現に向けた,エネルギー&カーボンマネジメント技術と三菱電機への期待
- 巻頭論文
- 三菱電機グループのカーボンニュートラル,サーキュラーエコノミー
- 特集論文
- 全5編
特集概要
三菱電機グループはサステナビリティの実現を経営の根幹に据えて、実現に向けて注力する5つの課題領域を明確化しています。これらの課題領域において、事業を通じて社会課題を解決することで、持続可能な社会に貢献していきます。また、温室効果ガスの削減に向けた取組みを強化するなど、企業として持続可能な社会への責任も果たしていきます。 本号では、課題領域であるカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現に寄与する三菱電機グループの取組み、製品・サービス及び技術について紹介します。
巻頭言 | |
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巻頭論文 |
2.
三菱電機グループのカーボンニュートラル,サーキュラーエコノミー(PDF:726KB) 村井道雄 三菱電機グループは,サステナビリティの実現を経営の根幹に位置付けて,環境課題の解決に率先して取り組むことを定めた“環境ビジョン2050”に基づいて,中期的な環境計画を策定してカーボンニュートラル及びサーキュラーエコノミーへの取組みを進めている。カーボンニュートラルでは排出削減に対する責任と貢献の両立を図り,サーキュラーエコノミーでは環境配慮設計やプラスチックのリサイクル等を通じて取り組んでいる。また,グループ内の取組みだけでなく,社外との連携も進めている。このような取組みは社会の一員としての責務であるとともに,更に新しい技術や価値を生み出す機会になる。 |
特集論文 (全5編) |
3.
内野進一/中川直樹/高山啓輔 欧州ではカーボンニュートラルを目指しており,燃焼式からヒートポンプ式への転換が進んでいる。一方でヒートポンプ式に使用されるHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒に対してフッ素化ガス(以下“Fガス”という。)の総量が規制で強化されている。さらにFガス規制の改正によってGWP(Global Warming Potential)の数値での規制が強化され,HFC冷媒の使用継続が困難になる見込みである。自然冷媒であるR290は高温出湯が可能であり,ボイラーからの置換が有利である一方,強燃性冷媒であり,着火リスクを低減する必要がある。その着火リスクを低減するために省冷媒,着火源を隔離した新しい室外機を開発し,併せて流通,保管からリサイクルまでのライフサイクルでの着火リスク低減のための対応を行った。 |
4.
REACT:離島での持続可能な再生可能エネルギー利用(PDF:331KB) ジェームス フリーマン/ジャイドル コードリー/クリストファー オルキス 気候変動対策として,再生可能エネルギーの活用が強く求められている。気象条件で発電量が変動する再生可能エネルギーによって電力需要を100%満たすことは困難であるが,自給率は需要側の柔軟な対応で大きく向上させることができる。ヒートポンプは冷暖房や温水供給を高効率に行う技術であり,蓄電・蓄熱機器と組み合わせて柔軟な運転を行うことで,変動する再生可能エネルギーを有効活用できる。今回,欧州での分散型再生可能エネルギーの有効利用のため,コミュニティ規模でヒートポンプと蓄電・蓄熱機器を組み合わせた,クラウドベースのエネルギー管理技術を開発した。さらに,この技術を適用して欧州の離島での実証プロジェクト“REACT”に参画した。 |
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5.
製造業向けカーボンニュートラルソリューション(PDF:947KB) 坂本直聡 近年,サステナビリティに取り組むことが企業経営にとって極めて重要な要素になってきている。その中でも,気候変動は国際社会の共通の課題になっており,カーボンニュートラル実現に向けてGHG(GreenHouse Gas)を多く排出する製造業での取組みが重要になっている。 |
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6.
家電リサイクルで回収した再生プラスチックをセンサー用無線通信端末に初採用(PDF:465KB) 亀井大輔/久津摩勇人/岩満 豊 三菱電機は環境ビジョン2050(注1)で提起している資源循環の取組みでプラスチックの自己循環リサイクルを本格化させ,家電製品を中心に再生プラスチックの使用を進めている。しかしながら,ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)については安定した耐久性と難燃性を持つ再生プラスチックを生成することが困難で,これまで採用に至らなかった(1)。 |
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7.
製品環境データ収集システム(e-Proシステム)(PDF:600KB) 深井泰雄 三菱電機グループはカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーをマテリアリティ(重要課題)と位置付けている。カーボンニュートラルでは,Scope3排出量の大部分を占める製品関連の取組みがキーになって,製品ライフサイクル視点でのCO2排出抑制が必要である。また,サーキュラーエコノミーでも,製品に投入された多くの部材を資源循環させるため,グループ全体で製品の環境配慮設計の推進が必要になる。それらの取組みの基礎になる製品に関する環境データを迅速かつ正確に収集・一元管理できるe-Proシステムを構築した。現在,このシステムを中心に,環境配慮設計や製品環境法規の対応を推進している。 |