下水や工業排水を高速でろ過。
水処理設備の省エネ化・コンパクト化を実現します。

概要

ろ過膜をオゾン水と次亜塩素酸ナトリウム水で洗浄する「浸漬型膜分離バイオリアクター(EcoMBR®)」を開発しました。膜表面積当たりの処理水量を従来比約2倍に増量した高速ろ過により、ろ過膜の使用本数を半減し、コンパクト化と従来比26%の省エネを実現します。

Eco-MBR

技術ポイント

従来の浸漬型膜分離バイオリアクターにおける課題

浸漬型膜分離バイオリアクターは、活性汚泥中に浸漬したろ過膜を用いて活性汚泥と処理水を分離します。

従来の浸漬型膜分離バイオリアクター

ろ過を継続するとろ過膜に目詰まり物質が蓄積するため、圧力損失が増大します。そのため従来の浸漬型膜分離バイオリアクターでは、ろ過とは反対方向から次亜塩素酸ナトリウム水を供給し、目詰まり物質を除去してろ過膜を洗浄します。しかし、ろ過速度が大きいほどろ過膜が目詰まりしやすくなるため、洗浄効果の小さい次亜塩素酸ナトリウム水では高フラックスろ過※1はできませんでした。また膜表面に付着した活性汚泥を剥離するためには、ろ過膜の下部から大量の気泡を供給する必要があり、エネルギー消費量が大きくなります。

従来の浸漬型膜分離バイオリアクターにおける課題

目詰まり物質を効果的に除去する「EcoMBR®

今回開発した「EcoMBR®」は次亜塩素酸ナトリウム水とオゾン水を使用してろ過膜を洗浄します。オゾンは次亜塩素酸ナトリウムの1.4倍の酸化力があり、次亜塩素酸ナトリウム水では除去しきれなかった目詰まり物質に対しても有効です。本開発技術ではろ過膜に次亜塩素酸ナトリウム水を注入したのちにオゾン水を注入します。それぞれの薬品での洗浄条件を調整することで効果的かつ経済的なろ過膜の洗浄が可能です。

目詰まり物質を効果的に除去する「 EcoMBR® 」

優れた省エネ性で持続可能な水循環社会の実現に貢献

「EcoMBR®」は次亜塩素酸ナトリウム水とオゾン水の使用により、ろ過膜の目詰まり物質を効果的に除去するとともに、高フラックスろ過を実現します。高フラックスろ過が実現することで、ろ過膜の使用本数の半減が可能です。その結果、送風機からろ過膜の下部に供給する膜表面洗浄用の風量を半減し、省エネ性が向上すると期待されます。「EcoMBR®」を下水や工業排水の再生に適用することで、国内のみならずグローバルで持続可能な水循環社会の実現に貢献します。

Eco-MBRの省エネ性向上

※1ろ過膜1本あたりのろ過水量を増やし、ろ過膜数を減らした運転

※2日本下水道事業団:膜分離活性汚泥法の技術評価に関する 第2次報告書(2013)