再生可能エネルギー普及の課題を解決し、
カーボンニュートラル実現に貢献します。

概要

需要家が保有する太陽光発電や蓄電池、EV、エコキュートなどの分散型エネルギーリソース(DER)の出力合計を5分以内に、かつ制御目標値の±10%以下で制御する要素技術を開発しました。

DERの余力を活用して電力の過不足を吸収することで、再生可能エネルギーの普及やエネルギーの地産地消が進み、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献します。

分散型エネルギーリソースの有効活用技術 概要

技術ポイント

高速かつ正確に、DERの出力調整が必要

電力の小売全面自由化を機に、「計画値同時同量制度」が導入されました。電力需要の計画値と実績を30分ごとに一致させるためには、最後の5分程度で30分間の出力積算値が計画値にぴったり合うように、出力を精度よく調整しなければなりません。

しかし、高精度に出力を制御するために直接制御できる電源や蓄電池を多く保有すると、コストが高くなってしまいます。そこで、需要家が保有する太陽光発電や蓄電池、EV、エコキュートなどのDERを活用するため、5分以内に出力を制御する要素技術を開発しました。

高速かつ正確に、DERの出力調整が必要

差分解消のために出力目標値を補正すると、オーバーシュートが発生

DERを活用するには、多数のDERを1分程度の周期で制御して、5分程度で精度よく制御目標値に追従させることが必要です。

従来は、出力目標値の指令後に、制御目標値とDER出力合計の差分を計算して、 ①差分が大きいことを検知すると、 差分を解消するため②前回の出力目標値を補正し、追加で指令を出していました。しかし、制御目標値に対するDERの出力合計を制御システムが正しく把握するまでに時間遅れが発生するので、出力目標値を変更し続けると出力目標値が過剰に補正されて、③オーバーシュートが発生します。

差分解消のために出力目標値を補正すると、オーバーシュートが発生

時間遅れを考慮したDERの応動モデルを作成

そこで、過去のDER出力合計の実績から、 (a)DERに出力目標値を指令する際の通信時間、(b)出力目標値がDERの出力に反映されるまでの制御時間、(c)DERの出力値を制御システムが受信する際の通信時間による時間遅れを予め考慮し、制御目標値に対する応動モデルを作成しました。この応動モデルにより、正確に差分を計算する工夫をしています。

小規模で応動が不確実なDERは、複数を束ねて1つの応動モデルを作成することで平滑化を図り、一方、大規模で応動が予想しやすいDERは、単独で応動モデルを作成して制御目標値への追従精度の向上を図ります。

時間遅れを考慮したDERの応動モデルを作成

5分以内にDERの出力合計を目標値±10%以下に制御する「出力制御」

これにより、①応動モデルと実績応動量の差分を検知し、②前回の出力指令値に差分を加算して出力指令を行っても、③オーバーシュートの発生を抑制することができます。

その結果、5分以内にDERの出力合計を制御目標値±10%以下に制御することが可能になりました。DERの出力を調整できる余力を有効活用することで、天気任せの太陽光発電や風力発電に起因する電力の過不足を回避できるようになり、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

5分以内にDERの出力合計を目標値±10%以下に制御する「出力制御」

DERの余力を推定する技術開発

DERの出力目標値を決定するにあたり、DERの出力をどれだけ変更できるか、その余力を事前に把握しておくことで出力制御の精度がさらに向上すると考えます。

今後、DERの余力を推定する技術を開発し、今回開発した出力制御技術と合わせて、電力ICTソリューションのパッケージソフトウェア「BLEnDer®」 シリーズのうちDERを活用するパッケージへの2024年以降の搭載に向けて、機能開発を進めていきます。

DERの余力を推定する技術開発

BLEnDer: Bid Liaison and Energy Dispatcher の文字を組み合わせた名称(電力市場向けパッケージ型ソフトウェア製品)。

SDGsへの取組

  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを

SDGsとは?