技術紹介
5Gで多様なアプリケーションを
実現する「ネットワーク仮想化技術」
5Gシステムは「大容量」「低遅延」「多接続」といった特徴があり、これらの特徴を生かした多様なアプリケーションが期待されています。例えば、スマートフォン等での高画質な動画視聴(大容量)や制御に遅れが許されない自動運転(低遅延)、さらにIoTにおけるセンサや監視カメラ等の膨大な数の機器との同時接続(多接続)などです。
このようなアプリケーションを実現するために必要なネットワークの性能要件(通信容量、許容遅延等)は、アプリケーションごとに異なります。そのため性能要件に応じて、柔軟にネットワークを構築することが求められています。
光アクセスネットワークにおいて、異なる性能要件をもつネットワークを柔軟に構築するための技術として注目されているのが、ネットワーク仮想化技術です。ネットワーク仮想化技術とは、物理的なネットワークを論理的なネットワーク(スライス)に分割、もしくは統合して扱う技術です。この技術によってひとつの物理的なネットワーク上に、性能要件の異なる複数のスライスを構築できるため、多様なアプリケーションを同時かつ効率的に収容することが可能になります。
当社は光アクセスネットワーク上に容易にスライスを構築するための、ネットワーク管理技術の開発を行っています。この技術の特長は光アクセスネットワークを構成する多種多様な物理的な装置(光ファイバー、OLT、ONU等)の性能や接続等の様々な通信資源の情報をネットワーク管理者が扱いやすい抽象的なモデルで表現していることです。これによりネットワーク管理者は複雑なネットワークの情報を把握していなくても、アプリケーションの性能要件を満たすスライスを容易に構築することが可能になります。
強度・速度の異なる信号を高速再生する「PONシステム向け光トランシーバ技術」
OLT用光トランシーバは、PONシステムを実現する上で重要なデバイスです。PONシステムでは、ONUとOLT間の距離(光ファイバーの長さ)が異なるため、OLTに届く光信号の強度は送信元のONUに依存します。
また10G-EPONシステムでは、既存の1Gと10Gの混在による多重伝送を実現しているため、OLTには1Gbpsと10Gbpsの伝送速度の光信号が届きます。そのためOLT用光トランシーバは、異なる強度・伝送速度で不連続に届く光信号を高速に再生する必要があります。
当社では強度の異なる光信号を一定強度に揃える技術や伝送速度の異なる光信号をひとつの光トランシーバで再生する技術を開発し、PONシステムの実現に貢献しています。
本成果には、総務省からの委託を受けて実施した「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発」ならびに「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発」の成果の一部が含まれています。