世界トップクラスの誤り訂正技術で、
100ギガビット/秒超の大洋横断伝送を可能にします。
概要
100ギガビット/秒超の長距離・光ファイバ通信を可能とする、世界トップクラス※1の誤り訂正技術※2を開発しました。
長距離・大容量光ファイバ通信では伝送信号の減衰や雑音の重畳などにより、伝送情報のビット誤り※3が多発します。従来の標準方式の誤り訂正技術では、大洋横断伝送(9,000km)などの長距離伝送において10ギガビット/秒の信号しか送信できませんでした。
開発した新しい誤り訂正技術を用いることで、100ギガビット/秒での大洋横断伝送が可能となり、国際通信の超高速大容量化に貢献します。
技術ポイント
軟判定技術、LDPC符号及びBCH符号を組み合わせることで訂正性能が飛躍的に向上
軟判定技術と誤り訂正符号の一種である低密度パリティ検査(LDPC)符号※4、BCH符号※5を組み合わせて開発した誤り訂正技術により、100ギガビット/秒超の大容量の長距離通信が可能になりました。軟判定技術とは、“0に近い1”や“1に近い1”など、“確からしさ”を表す情報を併せ持つ判定方法です。
今回開発したLDPC符号は、軟判定技術を活用して検査行列中の性能劣化要因の発生を抑えた独自の「空間結合型LDPC符号※6」で、さらに、BCH符号を組み合わせることで、LDPC符号の残留誤りを訂正し、世界トップクラスの符号化利得※712.0dBを実現しました。
従来の標準方式の誤り訂正符号であるReed-Solomon符号では、100ギガビット/秒での伝送は2,400kmが限界でした。しかし今回開発した技術により、100ギガビット/秒での伝送距離を4倍に延伸し、9,000kmの大洋横断伝送を可能としました。また、光ファイバ通信の400ギガビット/秒や1テラビット/秒への大容量化を見据えた誤り訂正技術の開発も進めています。本技術は光通信分野における誤り訂正技術を大きく進展させましたが、更なる長距離・大容量光通信システムを低電力で実現するため、今後も研究開発を進めます。
※12018年7月 当社調べ
※2送信したい情報ビットに一定の規則に従った情報(パリティビット)を付加。受信側において付加した情報をもとに、ビット誤りを検出し訂正する技術です。光通信システム以外にもDVDや携帯電話などに幅広く使われています。
※3デジタル情報ビットは0か1の2値で区別されますが、1を送信したのに0として受信される、またその逆をビット誤りと呼びます。
※4LDPC(Low-Density Parity-Check)符号。行列内の“1”の密度が低いパリティ検査行列を用いることを特徴とする符号。並列処理による復号が可能で超高速信号の誤り訂正に適しています。
※5BCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号。代数系で定義される誤り訂正符号です。
※6規定する行列(パリティ検査行列)の構成方法を制約することで性能を向上させたLDPC符号です。
※7誤り訂正符号化する場合に必要な信号対雑音比が、誤り訂正符号化しない場合に比べて向上する割合です。