産業向けネットワークの信頼性、安全・安心の向上に貢献。
技術を公開することで、社会の発展に寄与します。
概要
鉄道、自動車、工場などでは、多くの機器同士がネットワークで接続され、連携しています。そのため、リアルタイム性、高信頼性、ネットワークの最適化、さらに安全・安心への取り組みなどが求められます。当社ではこれらを確立したネットワーク技術を開発し、様々な産業分野への適用を進めています。中でも、工場向けのネットワークでは、当社が開発した技術を公開することで社会の発展に貢献しています。
技術ポイント
鉄道インフラを支える高信頼Ethernet®※1スイッチ技術
各列車の運行状況等は無線基地局を介して指令室にて統括し、指令室から各列車に制御を指示します。このような鉄道インフラ向けネットワークでは、信頼性の高いシステムが求められます。当社では、ネットワークに障害が発生した場合でも障害を高速に検知し、短時間で経路を切り替え、障害を迂回して通信を継続するEthernet®※1スイッチ技術を開発しました。
今回開発したEthernet®※1スイッチに加え、線路沿いに設置した光リングネットワークにより、Ethernet®※1スイッチ16台接続時に5ms以内の切り替えを実現。鉄道インフラにおいて安全運行のための通信基盤を支えています。
自動運転における車載機器ネットワーク設定最適化技術
自動運転が発展した時代では、現状よりも更に多くの機器やセンサーが自動車の内部で相互に接続されるようになります。例えば、走行制御に関する機器では「低遅延」の通信が、カメラ等のセンサーでは「大容量」の通信が、車内の各機器との接続には「多接続」の通信が求められます。このように、車載機器ネットワークでは多様な要求仕様の併存が不可欠です。
車載機器ネットワークにおいて、多様な要求を満たす最適なパラメーターを求めるには非常に複雑な計算が必要となります。当社ではその最適なパラメーターを機器情報やネットワーク構成を基に自動的に算出する技術を開発しました。来たる自動運転時代に当社の技術が貢献します。
工場での作業者を守る安全・安心への取り組み
工場向けネットワークでは、Ethernet®※1ベースの統合オープンネットワークの総称である「CC-Link IE®※2」を活用することで、生産現場だけでなく、情報系を含めた生産システム全体を最適化し、シームレスな接続を実現しています。
さらに、CC-Link IE®※2に加えて、TSN (Time Sensitive Networking) 技術を活用し、制御通信(リアルタイム通信)と情報通信(非リアルタイム通信)の混在を可能とする環境において、リアルタイム性を担保するCC-Link IE TSN®※2の開発も進めています。このCC-Link IE TSN®※2は、効率的な通信プロトコルにより幅広い用途で使用できるオープンネットワークであり、様々な機器(各種ロボット、安全シーケンサ、安全リモートI/O、産業用PC など)をネットワークで繋ぐ生産現場で、シームレスな通信とリアルタイムなデータ収集を実現します。
工場では、人は機器と同じ空間で作業します。もし作業者が誤って機器の動作範囲に侵入した場合には、作業者と接触する前に機器を確実に停止させる必要があります。当社では、CC-Link IE TSN®※2上で動作し、作業者の侵入を機器に通知する際の通信成功率を保証する「CC-Link IE安全通信機能」に関する技術を開発しています。これにより、作業者と機器との接触を引き起こす通信エラーの発生頻度を10万年に1回未満に抑えられるようになります。
工場向けネットワークで当社技術を公開し、社会の発展に貢献
当社はCLPA®※2(CC-Link PARTNER ASSOCIATION、一般社団法人 CC-Link協会)の一員として、工場向けネットワーク技術をCLPA®※2に提案しています。そして、承認された技術はCLPA®※2を通じて公開されています。このように当社の技術を世界中で使えるようにすることで、社会の発展に貢献しています。これらの技術はISO※3、IEC※4などの国際標準規格、中国、韓国などの国家標準規格、また業界標準規格などを取得しています。
※1Ethernetは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の登録商標です。
※2CC-Link IE、CC-Link IE TSN、CLPAは三菱電機株式会社の登録商標です。
※3ISO: International Organization for Standardization(国際標準化機構)
※4IEC: International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)