自分自身では気付きにくい、わずかな動作の違いを
事前学習なしでAIが分析。生産現場の作業改善などに貢献します。
概要
当社AI技術「Maisart®(マイサート)※」を用いて、事前の機械学習なしに人のわずかな動作の違いも見つける独自の「行動分析AI」を開発しました。
人が自分自身では気付きにくいわずかな動作の違いを自動的に見つけることができます。例えば工場の生産現場では、作業者の手順の違いや無駄な動作の検出により一人ひとりに合わせた作業改善ができ、生産性向上に貢献します。
技術ポイント
推定された標準動作パターンから非標準動作を検出
工場での製品の組み立て作業を対象とした分析では、センサーで計測した両手の3次元位置を元に「Maisart®」が分析します。
①動作要素の境界推定
「部品の取り付け」や「ネジ締め」などの動作要素の境界を推定していきます。まずは計測データを等分割し、境界を仮設定。次に動作要素ごとの波形を抽出し、計測データとの比較を繰り返すことで動作要素の境界を更新して決定します。
②標準動作パターンを決定
推定した複数の動作要素を整列させ、標準動作パターンを自動的に決定します。動作要素は色分けされ、それぞれにかかる標準時間も決定されます。
③非標準動作の検出
分析対象となる計測データの動作パターンと標準動作パターンを比較し、標準動作とは異なる非標準動作を自動的に検出します。
AIが得意な部分を活かして、人が改善
従来の作業改善では、非標準動作などの改善ポイントの分析を人の目で行っていました。このため、分析に多くの手間と時間がかかり、改善活動が停滞してしまう状況がありました。
今回開発したAIでは、改善ポイントを数秒から数分程度で自動分析し、その場でフィードバックすることが可能です。社内工場で行った実証実験では、人の目と比べて約1割程度の所要時間で、正解率約9割の分析が可能であることを確認しました。これにより、生産現場の改善活動を飛躍的に加速することができます。
また、事前の機械学習を必要とせず容易に導入できる特徴を活かし、工場以外の様々な分野への適用が期待されます。
※1Maisart(マイサート):Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略
全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド
「Maisart」は三菱電機株式会社の登録商標です。