産業用機器内の金属腐食を段階的に検知し、
故障の未然防止に貢献します。
概要
硫黄化合物など大気中の腐食性ガスによる金属部品の腐食進行度を検知する技術において、産業用機器内のプリント基板に実装できる小型の金属腐食センサーを世界で初めて※1開発。複数の金属腐食センサーを組み合わせることで、金属部品の腐食進行度を段階的に検知できます。今後、当社の産業用機器などに適用し、故障の未然防止に貢献します。
技術ポイント
腐食環境診断ニーズの増加
金属は硫黄化合物などの大気中の腐食性ガスにさらされると表面から内部に腐食が進行し、金属サビへと変化します。金属サビは金属よりも抵抗値が数十万倍以上高くなるため、抵抗値が徐々に上昇し腐食断線が起こります。
工場において、産業用機器内の金属が腐食しやすい環境であるかを診断するため、外付けのセンサーを用いて金属片の色の変化やサビの定量分析などが行われていますが、外付けのセンサーでは産業用機器内に近い腐食環境を確認することが難しいという課題がありました。
世界初、小型の金属腐食センサーをプリント基板に実装
本センサーは金属薄膜と抵抗体で構成される簡易構造を採用し、外形寸法を幅1.6mm×奥行0.8mmという微小なサイズに抑え、世界で初めてプリント基板への実装を実現しました。
外付けセンサーなどの新たな計測器の取り付けが不要で、産業用機器内部の環境により近い状態で、金属部品の腐食進行度検知が可能になります。
複数の金属腐食センサーを組み合わせて、腐食進行度を段階的に検知
今回、金属サビの抵抗値特性に着目し、複数の金属腐食センサーを組み合わせて、大気中の腐食性ガスによる金属部品の腐食進行度を検知する技術を確立しました。
金属腐食センサーに使用する金属薄膜の材質や厚みなどを変えることで、各金属腐食センサーの金属腐食の進行を調整します。これら複数の金属腐食センサーの合成抵抗値を測定し、断線した際の合成抵抗値変化から金属部品の腐食進行度を段階的に検知できます。
※12019年9月4日現在、当社調べ。