「リサイクル」と
「自己循環リサイクル」

「一般のリサイクル」と「自己循環リサイクル」は、どうちがうじゃろう?

「リサイクル」という言葉は、みんなも知っておるように、使い終わったものをもう一度資源に戻して活用することじゃな。資源と製品のサイクルが再びまわるから「リサイクル」というが、では「自己循環リサイクル」とはいったいなんじゃろうか?

実は一般の「リサイクル」というのは、ある製品が再資源化されても、必ずしも同じ製品の素材になるとは限らないんじゃ。家電製品に使われているプラスチックもそう。ほとんどが燃料となったり、日用雑貨などへダウングレード(格下げ)されてリサイクルされることが一般的じゃった。じゃが、循環型社会のためには、家電製品に使われたプラスチックが再び家電製品の素材としてリサイクルできるのが望ましい。これを「自己循環リサイクル」というんじゃな。

プラスチックを例に、「一般のリサイクル」と「自己循環リサイクル」の違いを整理すると、こうなるわよ

これが、プラスティックの自己循環リサイクルの全体像じゃ。順番に説明していくぞ。

6%の壁、80%を可能にしたヒミツ

なぜ、今までは、再び家電製品に使われるプラスチックがたった6%しかなかったのか、想像できるかな?

家電リサイクル工場では、金属やプラスチックなど、様々な素材を取りだすために「解体」をするんじゃが、最初は手作業で取り外しやすい部材から解体を始めるんじゃ。その時、手で解体した部材が混じりけのない単一のプラスチックで作られていれば、再び家電製品の材料として生まれ変わらせることができる。例えば、冷蔵庫の引き出しをイメージすると分かりやすいかのう。

しかしじゃ、手で解体できるものは限られておってな、大部分は破砕機という機械で砕いて解体される。粉々になっても、金属については、鉄は磁性を利用して回収し、銅やアルミニウムは導電性(電流の通しすさ)の違いなどを利用してプラスチックと分離して回収できるんじゃが、金属を回収した後に残るプラスチックにはいろんな種類が混ざってしまって分離回収が難しい。これまでたった「6%」しか自己循環リサイクルできなかった理由は、手作業で解体し回収・選別ができたプラスチックの量がプラスチック全体の6%にすぎなかったからなんじゃ。例えば、ルームエアコン120台※からプラスチックを回収するとおよそ1,000kgになるんじゃが、そこから再び家電製品に使えるのは、およそ60kg、ルームエアコン7.5台分※のみということになるな。

ルームエアコン1台に使用されるプラスチックは約8kgとして算出

家電製品に使用されているプラスチックは高級品なんだって。たった6%しかもう一度使えないんじゃもったいないよね。

そうじゃ。だから、三菱電機グループは、1999年から自己循環リサイクルへの挑戦を開始して、6%の壁をやぶったんじゃ。

最終的には、様々なプラスチックをきっちりと選別して回収できれば、プラスチックリサイクル率は高まる。そのための第一歩となる「混合破砕プラスチック」、そして「微破砕プラスチック」をつくり出したことが画期的なんじゃ。細かく砕くと科学の力で高品質のプラスチックのみを選別・回収、再生することが可能になる。これは、次のページで詳しく紹介するが、80%もの自己循環リサイクルを実現したヒミツは、ここにあるんじゃ。さっきのルームエアコンの例で言えば、120台を回収すると最大で96台分ものプラスチックを自己循環リサイクルできるというわけじゃ。

自己循環リサイクルの実施例

自己循環リサイクルを実現したプラスチックは、ルームエアコンのファンやフィルター、冷蔵庫の冷気吹き出し口、基板ケースなど、様々な用途に用いられているのよ。

ルームエアコン「霧ヶ峰」(MSZ-ZW、ZXV、ZD、HXVシリーズ)

2025年度モデルZ・ZXV・ZD・HXVシリーズにおいて。自己循環型リサイクル材の資源再利用指数(JIS C 991(2014)電気・電子機器の資源利用指数などの算定及び表示の方法)に基づく。算定単位:エアコン室内機、資源再利用指数:19.2%(最大)。資源再利用質量:1.6kg(最大)。調達の状況によって自己循環型リサイクル材の使用率は変動する場合があります。

冷蔵庫(MR-MZ、WZ、B、Rシリーズ)