各事業所で、生きもの調査から
始まる自然との共生を推進

鎌倉製作所と関係会社が
情報交換しながら活動

鎌倉地区

鎌倉地区では、当社と関係会社が、適宜協力・情報交換しながら、緑の質の向上に取り組んでいます。生きもの調査の結果に基づく希少種保全、外来種対策をはじめ、従業員の憩いの場となる緑地の整備など、様々な取組を進めています。
地区内では現在、3つのコンセプトに基づいた緑地を管理しています。それぞれ「お客様をお迎えする緑地」「従業員の憩いの場となる緑地」「生物多様性保全に貢献する緑地」というコンセプトを軸に植栽の構成などを工夫しています。

事業所所在地

〒247-8520 神奈川県鎌倉市上町屋325番地

主な取扱製品

誘導飛しょう体システム、火器管制システム、情報・通信・指揮システム、人工衛星、人工衛星搭載機器、衛星通信用地上設備、ITS、DSRC応用システム、統合セキュリティー、LBS、高精度測位応用システム、三次元GIS

主な取組テーマ
  • 特定外来種の防除 [A-1-(2)]
  • 希少種キンラン・クゲヌマランの保全 [A-2-(2)]
  • 地域在来種を主体とする緑地の造成 [B-4-(1)] [B-4-(3)] [B-4-(4)]
  • 小型鳥類のための巣箱や水場の設置 [B-4-(2)]
  • 従業員の憩いの場となる緑地・緑化スペースの造成 [C-6-(2)]
  • 従業員が自ら進めるオフィスの緑化 [C-6-(1)] [C-6-(2)]

[ ] 内は取組テーマの分類を示します。詳細については以下を参照ください。

鎌倉地区の活動の方向性

取組の特徴
  • 鎌倉製作所と地区内の関係会社がそれぞれに活動しつつ、適宜協力して取組を推進

鎌倉地区の活動テーマ

鎌倉の豊かな自然と調和する事業所づくりを共通のテーマに

鎌倉地区の担当者
製造管理部 製造企画課 EMS推チーム 鎌倉地区の担当者
製造管理部 製造企画課 EMS推チーム 鎌倉地区の担当者
製造管理部 製造企画課 EMS推チーム 鎌倉地区の担当者
製造管理部 製造企画課 EMS推チーム鎌倉地区の担当者
製造管理部 製造企画課 EMS推チーム

当地区では、鎌倉製作所による取組と並行して、地区内で事業を営む三菱プレシジョン(株)でも独自の取組を進めています。両社が適宜協力・情報交換しながら、活動内容を充実させています。

同じ敷地内といっても、在来種率が50%を超える場所もあれば、低くなる場所もあるなど、植生には違いがあります。もちろん活動内容も異なりますが、共通しているのは、地元・鎌倉の豊かな自然と調和する事業所をつくるという考え方です。

この考え方を起点に、緑地づくりや、従業員が緑に親しめる職場づくりなど、それぞれができることを見つけて取り組んでいます。

地区内の緑地の管理・活用についても、互いに意見や情報を交換して、よりよい方法を見つけていければと思っています。

生物多様性緑地と
「鎌ぷらガーデン」を整備

3つのコンセプトに基づく鎌倉地区の緑地のうち、「生物多様性保全に貢献する緑地」「従業員の憩いの場となる緑地」の2つに“鎌ぷらガーデン”という愛称をつけ、地区内西側のエリアに隣接させて一体的に整備しています。

左が整備当初、右が2023年6月現在の様子。2年以上が経ち、緑地の樹木も成長してきた

左が整備当初、右が2023年6月現在の様子。2年以上が経ち、緑地の樹木も成長してきた

左が整備当初、右が2023年6月現在の様子。2年以上が経ち、緑地の樹木も成長してきた

生物多様性に貢献する緑地
周辺の自然と調和する設計で、生きものの休憩場所やすみかに

地元鎌倉でよく見られるアジサイなど、地域在来の種が育つ地元鎌倉でよく見られるアジサイなど、地域在来の種が育つ

生物多様性保全に貢献する緑地(約2,180m2)は、近隣にある「鎌倉中央公園」の植生を参考に、タブノキやコナラなどの地域在来種を植栽し、地域本来の環境を再現。樹木の高さにばらつきを持たせるほか、実をつける種を入れるなどの点にも配慮しており、周辺に生息する鳥類や昆虫類が立ち寄ることができ、将来的にはすみかにもできる緑地として設計しました。

また、緑地の中には散策路を設け、隣接する「鎌ぷらガーデン」から立ち入れるようにしています。より近くで自然を観察することを通して、従業員が生物多様性について考える場にもなっています。

セキレイ科の幼鳥セキレイ科の幼鳥

カマキリの一種カマキリの一種

キジバトキジバト

2020年9月の整備直後から、緑地内には多くの鳥や虫の飛来が確認されています。今後、環境の安定を待って生きもの調査を行い、「生物多様性保全活動により、生息する生きものにどのような変化が生じるのか」を確認する予定です。

従業員の憩いの場となる緑地
太陽系をイメージした「鎌ぷらガーデン」

従業員の憩いの場となる緑地は、「鎌倉地区らしさ」をコンセプトに、主要製品である衛星部品のイメージから太陽系を模した広場(約870m²)としました。降水量の多い日だけ水が満たされる「浸透池」を太陽に見立てて、周囲に太陽系の惑星をイメージした8本のシンボルツリーを配置しています。

例えば、水星の位置にはシダレヤナギを植樹。「太陽に最も近い惑星」「太陽系で最も公転速度が速い惑星」といった特徴から、水の近くに生え、しなやかに風になびく枝を持った種を選びました。また、地球の位置には、「人と自然との関わりについて思いをはせてほしい」という願いから、日本の美しさの象徴であり、人が手入れしないと美しさを維持しにくいソメイヨシノを配しています。

また、広場の開設に当たっては、従業員に親しみを持ってもらうために名称を公募。多くの候補の中から「鎌ぷらガーデン」と決定しました。

池を太陽に見立て、惑星をイメージした8本のシンボルツリーを配置池を太陽に見立て、惑星をイメージした8本のシンボルツリーを配置

池を太陽に見立て、惑星をイメージした8本のシンボルツリーを配置

広場の概要やシンボルツリーの由来をイントラサイトで発信広場の概要やシンボルツリーの由来をイントラサイトで発信

これらの緑地や広場の情報はイントラネットに掲載するほか、さまざまな機会に情報発信しています。2021年4月には広場入口に案内板を設置しました。案内板では「鎌ぷらガーデン」および隣接する生物多様性緑地の意義や概要を説明しており、特に生物多様性緑地については、事業所周辺の山の植生を参考としたことや、今後立ち寄ってほしい生きものについても記載しています。同時に、「鎌ぷらガーデン」内の各シンボルツリー周辺に樹名板を設置。樹木自体の情報とあわせ、それぞれの惑星に見立てた理由を説明し、愛着を持ってもらえるよう工夫しています。

「鎌ぷらガーデン」と生物多様性緑地について説明する案内板を設置

「鎌ぷらガーデン」と生物多様性緑地について説明する案内板を設置

「鎌ぷらガーデン」と生物多様性緑地について説明する案内板を設置

広場内のシンボルツリーには樹名板を添え、惑星に見立てた理由などを説明

広場内のシンボルツリーには樹名板を添え、惑星に見立てた理由などを説明

広場内のシンボルツリーには樹名板を添え、惑星に見立てた理由などを説明広場内のシンボルツリーには樹名板を添え、惑星に見立てた理由などを説明

お客様をお迎えする緑地を整備

日本庭園風のエリア日本庭園風のエリア

2020年9月までに整備したもう一つの緑地が、お客様をお迎えする「おもてなしのみどり」です。鎌倉地区には、海外からのお客様も多く来訪されます。そこでこの緑地は、鎌倉の雰囲気を感じてもらえる緑地として設計。イロハモミジやカマクラヒバをはじめ鎌倉にゆかりのある植物を中心に、手入れのしやすさなども考慮して樹種を選びました。また、灯篭や景石も設置しています。

また、お客様が移動されるルート沿いのエリアに加え、本館応接室から見えるエリアにも日本庭園風の緑地を整備。鎌倉地区のイメージ形成に役立っています。

景観を意識し、花を咲かせる種を選んでいることから、このエリアにも鳥類の飛来が確認されている

景観を意識し、花を咲かせる種を選んでいることから、このエリアにも鳥類の飛来が確認されている景観を意識し、花を咲かせる種を選んでいることから、このエリアにも鳥類の飛来が確認されている

既存の緑地では、
外来種管理と在来種保全への取組を推進

2016年5月・10月に実施した生きもの調査の結果をもとに、ブラジルチドメグサ、オオキンケイギクなどの特定外来種の防除を進めています。

これに加えて、構内で生息が確認された絶滅危惧種※1である「キンラン」「クゲヌマラン」について、専用の保全地を定め、保全活動を行っています。保全地は地区内東側の敷地境界線付近にあり※2、従業員に踏まれないように簡易的な柵で囲っていましたが、見た目もあまり良くない上、何が生息しているのかわかりにくいという懸念もありました。そこで2022年8月にガーデンフェンスを設置するとともに、絶滅危惧種が生息していることを紹介する資料も掲示しました。

また、イントラサイト内の公式サイトに、保全活動の概要や現状について紹介する資料を掲載。特に株数の増減データは毎年調査し、最新の内容を反映しています。

※1環境省「レッドリスト2018」絶滅危惧Ⅱ類

※2キンランは当初、構内の工事予定地で発見されたため、近縁種であるクゲヌマランが発見された地点(構内のコナラの根元)に移植し、この周辺を保全地とした

キンラン・クゲヌマランの保全地キンラン・クゲヌマランの保全地

他県では希少種に認定されているナンバンギセルなどの種も確認された他県では希少種に認定されているナンバンギセルなどの種も確認された

従業員が緑の恩恵を受け、
自然を意識できる環境づくりを推進

三菱プレシジョン(株)では、種に配慮しながら緑地を維持するとともに、植物がもたらす心身への癒しなどの効果を最大限に活かせる環境・仕組みづくりにも取り組んでいます。労働環境の改善はもちろん、従業員が生きもの・生態系について意識することにもつながるという考えです。

従業員自ら緑を育てる仕組みづくり

オフィスにも多くのグリーンインテリアを導入しています。オフィスの緑は「健康によい影響を与える」「労働生産性の向上につながる」といった研究結果もあることから、職場改革の一環として積極的に取り組んでいます。それだけでなく、従業員が自ら植物を育て、緑を増やしています。

  • オフィスのグリーン活動

新入社員にむけた研修ー環境講座の中で、「多肉植物寄せ植え」を実施し、座学が続く研修の中で、実際に手を動かし、植物に触れることで、リフレッシュすることを体感しています。
寄せ植え前と後では、新入社員の顔が明るい笑顔に変わっています。

植物を育て増やすというサイクルが定着し、新人研修に使用する多肉植物は、従業員が育てたものから、分けたものを利用しています。
寄せ植えをした鉢植えは、配属先で育成するようにすることで、植物を通じて、指導担当の先輩や上司、所属部門を超えたフロア内でのコミュニケーションツールに活用しています。

多肉植物カット芽配布会や、観葉植物の株分けを実施し、従業員が植物に興味を持ち、触れる機会を設けています。

オフィスのグリーン活動

オフィスのグリーン活動

  • Refresh&Magnetスペース

緑を多く配置したスペースをオフィス内の各所に設置し、休憩や打ち合わせに活用できるようにしました。ここの植物も従業員が育て、世話をしています。

関係会社の三菱電機照明(株)に相談し、「緑が映える照明」や「植物が育ちやすい照明」を導入する工夫も

関係会社の三菱電機照明(株)に相談し、「緑が映える照明」や「植物が育ちやすい照明」を導入する工夫も

関係会社の三菱電機照明(株)に相談し、「緑が映える照明」や「植物が育ちやすい照明」を導入する工夫も

「ヒーリングガーデン」の整備

業務の合間に小休止を入れると、注意力が回復し、業務効率の向上につながると言われています。そこで地区内の緑地の一角に、従業員が小休止に利用できる憩いの場を整備。開放感があり、みどりが多く目に入るようにベンチを配置するなどなど、心地よい刺激を受けてリフレッシュできるよう工夫しました。また、小さな生きものが利用できる水場を設けたり、鎌倉で作出され、地域で愛されている園芸種の「玉縄桜」を植えるなど、周辺地域との調和にも配慮しています。

ヒーリングガーデンヒーリングガーデン

桜満開シーズンの様子桜満開シーズンの様子

マネジメントの声

鎌倉製作所 製造管理部長 勝元 晋平 鎌倉製作所 製造管理部長 勝元 晋平 鎌倉製作所 製造管理部長 勝元 晋平 鎌倉製作所 製造管理部長 勝元 晋平

3つのコンセプトに基づく緑地の整備完了から数年が経ちました。今では数多くの生きものが緑地に集まっているのを目にします。見ごろの花などを示した緑地紹介資料を毎月イントラサイトに掲載してきたことで、従業員にも活動が浸透してきました。最近では従業員から「こんな生きものを見た」「きれいな花が咲いていた」といった声も寄せられ、生物多様性保全活動の輪の広がりを感じています。

今後は地区内の建物配置を見直していく構想もあるため、例えば建物の新築などの機会に、新たな緑地をあわせて整備するなど、さらなる拡大も視野に入れて取り組んでいきます。

その際、緑地のどこまでを人が管理するかは慎重に検討していきます。人の手が加わったために、本来ならば自然に保たれたはずの生態系のバランスを崩すこともあり得ます。加えて、一から十まで人工的に調整した環境は、当然ながら管理の負荷も大きくなります。手入れをする部分と、自然の成り行きに任せる部分とを見定め、望ましい管理方法を実現できるよう、試行錯誤していきます。

これからも地域と調和した、生きものが利用しやすい緑地を目指すとともに、関係会社との連携をより強め、地区一体となって活動を展開していきます。

鎌倉製作所 製造管理部長 勝元 晋平

鎌倉地区の活動の方向性

以下は三菱電機グループの各事業所による生物多様性保全活動の方向性を示した一覧表です。
鎌倉地区の活動がどの方向性に当てはまるのかを、色で示しています。

希少種保全と生きものが暮らしやすい環境の保全に注力

活動の方向性
  • A 生きものへの
    負の影響を低減する
  • 1.「開発圧※1」「外来種圧※2」の抑制  ※3
  • (1)生きものに対する影響把握
  • (2)外来種管理
  • 2.「希少種」「固有種」への注意喚起と保全
  • (1)構内生物リストの公開
  • (2)希少種、固有種の保全
  • (3)周辺の保全課題への協力
  • 3.農薬影響の管理や、緑地・天然資源の保全
  • (1)生きもの殺傷の抑制
  • (2)水や土壌等の天然資源への配慮
  • B 生きものとの
    より豊かな共生を目指す
  • 4.機能緑地の設定
  • (1)緑地管理の体制
  • (2)飛翔性生物の利用地の整備
  • (3)「みどり+生きもの」優先地の整備
  • (4)事業所周辺への「みどりの連続性」の提供
  • (5)事務所周辺の生物多様性保全活動への貢献
  • 5.緑地の単純化、特定化など、産業的志向からの
    脱却
  • (1)植生の多様化・多層化
  • (2)植物などの特性に合致した緑地管理
  • (3)地域への貢献・配慮
  • C 働く中で従業員が
    自然との関係を取り戻す
  • 6.生態系サービスの職場での積極的享受
    (休憩所、フロア)
  • (1)文化的サービスの享受・場づくり
  • (2)供給サービスの享受・場づくり
  • 7.「無関心」「無関係」状態から、
    「全員が関係ある」状態へ
  • (1)理解と行動促進の教育
  • (2)職場・業務での関係創出

※1開発圧:棲みかの破壊。事業拠点を新たに建設することや、天然資源の採取などのために開発が行われること(サプライチェーンでの開発を含めて)、などが該当。操業による水の使用が周辺地域や水源、ひいては生きものの生息環境に影響を与える場合などもこれに含まれると考えられる。

※2外来種圧:その地域にもともと存在しない生きものが、外構や建物の脇の緑地、生垣などをつくる際に地域の外から樹木や草木を導入することがある。何気なく行われる生きものの移動が、地域固有の種の生息を脅かしたり、遺伝的な汚染の原因となることがある。

※3外来生物法の「特定外来生物の飼育、栽培、保管又は運搬」に関する規定に則り活動を実施。

生きもの調査結果

敷地内の緑地で植物を対象とする調査を実施

鎌倉地区では、外部の専門会社に依頼し、植物を対象に2016年5月と10月の2回、生きもの調査を実施しました。調査では400種以上の植物の生息が確認でき、うち在来種は5割程度であることが分かりました。

鎌倉製作所 生きものリスト(PDF:64KB)PDF

フォトギャラリー