1991年に設立した米国三菱電機財団(Mitsubishi Electric America Foundation:MEAF)は、障がいのある若者たちが生き生きと活躍できる社会を目指して活動を推進しており、その助成額は累計で約1,500万ドルを超えます。
設立当初は、障がい者が教育を受けられるよう手助けをするテクノロジーの開発・普及にかかわるプロジェクトを中心に助成してきましたが、2002年には、障がいの有無にかかわらず共生できる社会づくりに注力するようになりました。それでもなお約70%が社会に進出する健常者と比べると、若年障がい者の就業率は21%と低迷していたことから、2012年にM>PWR possible(エンパワーポッシブル)イニシアティブを立ち上げ、障がいのある若者の就業率向上を目的に特色あるプロジェクトへの助成を行っています。
MEAFによる助成活動は、単なる資金提供にとどまらず、①プロジェクトの普及支援および②米国三菱電機グループ従業員によるボランティア活動によっても価値を提供していると考えます。
プロジェクトの普及支援
プロジェクトの普及支援は、社会に新しい取り組みを普及させて既存システムを変えるための投資だとMEAFは考えています。近年は、障がいのある若者が自らの可能性を追求できるよう応援するM>PWR possibleイニシアティブを通じて、障がいのある学生が社会へ出て働くまでの就労移行支援を行っています。
助成事例として、インターンシップを経て就業へとつなげるProject SEARCHへの支援があります。このプロジェクトに参加した認知障がいのある高校生の就業率は、全米の障がい者の雇用率平均21%と比較して、70%と驚異的な数字を達成しています。当初は1拠点、年に12人の若者が対象でしたが、MEAFの支援により今では世界400カ所以上で、年間約1,800人の就職を後押しできるまでに成長しました。
従業員によるボランティア活動
米国三菱電機グループの従業員ボランティアは、MEAFと連携して活動しています。「accessTEAM」は、障がいのある若者たちが望むこと・必要とすることに十分にアクセスでき、社会で共生できるよう応援している従業員ボランティアの総称です。S.T.E.A.M.(科学、技術、工学、アート・デザイン、数学)分野での就労アクセスを応援する意味も込めています。2019年のボランティア活動は12,000時間であり、財団が社会に与える影響をより大きなものにしています。
従業員によるボランティア活動の事例として、学生を職場へ招く「Disability Mentoring Day」の取組があります。障がいのある高校生や大学生に、工場や倉庫、事務所での就労体験の場を提供し、彼らが豊かな人生を送れるようキャリア形成の手伝いをしています。