── この冬、191カ国・約90万人の名前をつんだ探査機が小さな星に向けて打ち上げられます。
その探査機は、宇宙科学研究所が今年の11月~12月に打ち上げる予定の小惑星探査機「ミューゼスC」。ミューゼスCに載せる「ターゲットマーカー」に世界中の人たちの名前を刻もうと、7月6日まで募集を行った。締めきり直後の集計では、アメリカ人48万人・日本30万人でほとんどを占め、
カナダ、オーストラリア、イギリスが続いた。目標の100万人には惜しくも届かなかったものの、これだけ多くの人が参加するミッションは宇宙開発史上初めてだ。
めざす小惑星は、1998SF36。約4年前にアメリカ人が発見し、まだ命名されていない。(そう言えば、大阪の子供達が「TAKOYAKI(たこやき)」と命名した小惑星が5月に発表された。)1998SF36は地球に近づく軌道をまわる、大きさ約500メートルの小さな星だ。ターゲットマーカーはこの星に着陸し、90万人の名前は半永久的に残ることになる。
ミューゼスCはもちろん名前を運ぶのが主な目的ではない。小惑星は「太陽系の化石」。太陽系ができたときの状態をとどめている。そこで惑星が誕生した頃の様子を調べるために、小惑星からサンプルを採って地球に持ち帰ろうという野心的なプロジェクトだ。開発された技術は世界初に近いものばかりで、各国の注目を集めている。
ミューゼスCが1998SF36近くに到着するのは2005年夏。約5ヶ月間の調査では、小型ジャンプロボット「ミネルヴァ」が表面を移動しながらの探査も行う。その後いよいよ降下モードへ。高度100kmでターゲットマーカーを投下。反射する光を目印に探査機は小惑星表面に着陸、サンプルを採る。回収カプセルが地球に帰るのは2007年夏の予定。
7月27日(土)の宇宙科学研究所の一般公開では、「ミューゼスC」の展示がある。約90万人の名前が記載されたシートのコピーが展示される予定だとか。ちなみに名前の大きさは数ミクロン。うーむ、どうやって探すんだ?!
宇宙科学研究所
http://www.isas.ac.jp
小惑星探査機ミューゼスC
http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/muses-c/index.html
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