コラム
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2002年 7月分 vol. 8
太陽系を駆ける「想い」
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

写真 太陽系を脱出し、恒星間飛行に飛び立とうとしている惑星探査機ボイジャーは1枚のレコードを運んでいる。それは「宇宙人へのメッセージ」。直径30センチの純金製のレコードだ。

 「いつかどこかの星に住む知的生物がこのレコードを聞いてくれるかもしれない」そんな願いをこめて、ボイジャー・レコードには人類の59の言語(日本語の「こんにちは」も)赤ちゃんの泣き声、地球についての115枚の写真、地球を代表する音楽、自然の音などが収録されている。音楽にはバッハやモーツァルトだけでなく、ペルーの結婚式の歌や日本の尺八の曲「鶴の巣篭もり」もエントリー。再生時間は2時間30分。再生方法の説明もちゃんとつけてある。

 このレコードがあるから、「今ごろどこを飛んでいるかな」と、いつまでもボイジャーに想いを馳せてしまう。

 ボイジャーは今や地球生命の代表になっているけれど、私たちの極めて個人的なメッセージを太陽系の彼方に送ることができるサービスがある。おまけに自分の髪の毛、つまりDNAを送るサービスもあって、あのSF作家の巨匠アーサー・Cクラークもすでに自分の髪の毛を送っているらしい。「チームエンカウンター」と名づけられたこのプロジェクトは宇宙ベンチャー企業Encounter2001 社などの企業が開発したもの。ホームページや書店でキットを購入し、DNA(髪の毛)またはメッセージを返送する。集められたメッセージなどはセイルクラフトに搭載されて2004年ごろにアリアン5ロケットで打ち上げられる予定。

 セイルクラフトは打ち上げから数週間後、ヨットの帆のように開く。大きさは70メートル×70メートル。過去にこんな大きな探査機はない。それでも秒速約80キロメートルのスピードで宇宙空間を進み、およそ15年後には太陽系を超えてしまうと言う。

── でも、すでにどこかの星の知的生命はとっくにこんなことをやっていて、ボトルにでも入ったメッセージが近いうちに地球に届いてもおかしくない、ような気がしませんか?



Voyage's greetings to the Universe
http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/goldenrec.html


チームエンカウンター(ウィルライフ)
http://www.willife.com/